取材日:2024年5月20日
2023-24シーズン退団選手インタビューPart.9 池永 玄太郎
プレシーズンマッチやトレーニングマッチでパスやキックパスを駆使して周りを活かし、自らも力強いランでチャンスメイクする姿が印象的でした。在籍した5シーズンでは公式戦3試合の出場に終わり、なかなかチャンスに恵まれなかったですが、「たくさんのことを吸収することができました。今度はそれをグラウンドで発揮できるよう頑張ります!」と前を向きます。学んだことや影響を受けた選手のことなど、神戸スティーラーズで過ごした5シーズンについて語ってくれました。
池永 玄太郎
GENTARO IKENAGA
PROFILE
- 生年月日、出身地/1997年1月27日生まれ(27歳)、大阪府大阪市出身
- 経歴/上宮太子中学→上宮太子高校→天理大学
- 入団年次/2019年
- ポジション/CTB
- 身長・体重/182cm・100kg
- 2023-24シーズンまでのチーム公式戦出場回数/3
「考えてプレーするようになり、ラグビーの理解度も上がりました。神戸スティーラーズで得たものをグラウンドで発揮できるようにします!」
在籍した5年間を振り返ってどうですか。
「あっという間の5年間でした。シーズン毎にいろいろなことがありましたが、オンフィールドでも、オフフィールドでも楽しかったという印象しかありません」
入団してすぐに神戸ラグビーに対応することはできましたか。
「難しかったです。神戸スティーラーズに入り、こんなに頭を使ってラグビーをしないといけないのかと驚きました。動きや連携など細かいところにまでこだわって練習をして、それを実際にグラウンドで体現する。学生時代も大まかな決め事はありましたけど、感覚でプレーしていたところがありましたから。リーグワンのレベルになると感覚だけでは通用しません。戦術をしっかり理解して、それをやり切らないと。このままでは試合に出られないと危機感を感じて、山さん(山中 亮平)、シンタさん(林 真太郎)をはじめ、バックスの選手から教えてもらったり、アドバイスをもらったりしました。シンタさんはセンターが本職ですが、ウィング に入ることも多かったので、外にいる選手の意見を聞けたことは良かったです。センターとしてプレーの幅が広がりました。考えてプレーすることは初めての経験だったので大変でしたが、ラグビー選手として1段階も2段階もレベルが上がったように思います」
大学時代からプレースタイルは変わりましたか。
「ガラリと変わりました。大学時代は体が大きい方だったので、走り込めばなんとかなるという感じだったのですが、リーグワンのレベルになると、ラン以外にもパス、キックといったスキルが必要です。もともとパスは得意でしたが、さらにスキルを磨こうと思いました。それで、視野を広く持ちスキルを使って周りを活かすことやコミュニケーションを取ることを常に意識してプレーするようになって。特にコミュニケーションは意識し、周りの選手からも一緒にプレーしていて、ほしい時にボールが来るし、スペースを見てくれているので助かると言ってもらえるようになりました。大学時代には言われたことがないので、すごく嬉しかったです。ただ、コーチ陣からはもっとインパクトあるプレーをしてほしいと要求されて。ナニ(ラウマペ)やマイキー(マイケル・リトル)はそれぞれ強みにしているプレーがあるので、センターとして周りを活かすことと同時に力強さも合わせて自分の強みを出していかないといけないと感じました」
今後はラグビーを続けるのでしょうか。
「続ける予定です。神戸スティーラーズでラグビーの理解度が上がりましたし、スキルも身に付いたと自信を持って言えます。神戸スティーラーズに在籍した5シーズンで大きく成長できたので、今度は試合でそれを発揮したいという気持ちが強くて。試合に出て活躍できるようにこれからも努力し続けますし、僕も年齢的に中堅に入りますので、神戸スティーラーズで学んだことを、たとえ別のチームであっても若い選手に伝えていきたいと思っています」
今後の目標は。
「同期とはすごく仲が良くて、お互いに切磋琢磨してきました。だからこそ、神戸スティーラーズの同期たちの中で、一番長くラグビーを続けられるようにしたいなって思います」
井上 遼選手からも同期は仲が良いと聞きました。
「めちゃくちゃ仲が良いです。普段からよく食事に行きますし、オフシーズンにはキャンプに行ったり、旅行に行ったり。今回、僕と(井上)遼が退団するということで(小畑)健太郎の発案で、同期全員の顔写真が入ったTシャツを作ってくれたんです。同期には本当に恵まれました。同期の活躍に刺激を受けて、互いに競い合って励まし合ってきた5シーズンだったなって。今後ラグビーを続ける中で、同期入団の選手がいると思いますが、神戸スティーラーズの同期は僕の中で特別な存在です。これからもラグビーではライバルであり、プライベートでは仲の良い友達であり続けたいです」
プレーやラグビーに取り組む姿勢などで影響を受けた選手はいるのでしょうか。
「ディフェンスの面ではポジションは違いますが、(山下)楽平さんにシステムのことなどをよく聞いていましたし、ポジショニングや相手の追い方などは真似たりしていました。あと、シンタさん(林 真太郎)には攻守にわたりなんでも聞いていました。いろんな人に質問して教えてもらっていたので、プレー面で影響を受けた選手はたくさんいます。姿勢の面では橋本 大輝さんです。ラグビー選手としてストイックに自分のプレーを追求するだけでなく、人としても素晴らしくて、まさに人格者だなと。神戸スティーラーズに入って一番驚いたのは、ベテランの橋本さんがトレーニングルームを1人で掃除されていたことです。その後、練習後の円陣で『ロッカールームが散らかっているから掃除しよう』と落ち着いた声で言われて、『ラグビーはそういうところもプレーに出るから』と。当たり前のことなんですが、それができない人も多いと思います。橋本さんのことはずっと尊敬していますし、僕もそんな人になりたいとずっと思ってきました」
池永選手は外国人選手と仲が良いと聞きましたが。
「ナニ(ラウマぺ)と気が合って仲良くなり、そして今シーズンはアーディ(・サベア)に可愛がってもらいました。何度か食事に行くことがありましたし、アーディからは『家族と一緒にニュージーランドに遊びにおいで』とも言ってもらって。入団1年目の時は、DC(ダン・カーター)から指名されて、一緒に個人練習をしたりしました。在籍した5シーズンはラグビー界のスター選手と一緒にラグビーをしたり、食事に行ったりすることもあり、たくさんの刺激を受けました。かけがえのない貴重な経験をたくさんさせていただきました」
チームに期待することは。
「今シーズンはレンズ(デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ)のもとでチームが大きく成長したと思います。プレーの精度など、あと少し積み上げることができていたら、プレーオフに進めていたんじゃないかなと。僕も最後までプレーオフに進めると信じていました。今シーズンは残念な結果に終わりましたが、来シーズンはバックボーン(試合メンバー外の選手)を含めたチーム全員が同じ方向を向いて戦い、求めている結果を出してほしいと思います。僕が在籍したコベルコ神戸スティーラーズには強くあり続けてほしいです!」
チームメイトにメッセージをお願いします。
「僕が退団し、寂しい思いをしている選手も多いと思います!5シーズンありがとうございました!試合メンバーも、バックボーンのメンバーも、チームにコミットして一つになれば、結果がついてくると思います。もちろん、僕も頑張ります」
では最後にSteel Matesにメッセージをお願いします。
「Steel Matesの皆様からよく声をかけていただき、嬉しかったです。5月11日に行われたSteel Mates感謝祭ではたくさんの方から『寂しい』と言っていただきました。公式戦には3試合しか出ることができなかったですが、皆様の中で記憶に残る選手になれたのかなと。イベントや試合会場で直接交流したり、SNSを通じて応援メッセージをもらったりして、頑張る力をもらっていました。本当にあたたかい応援をありがとうございました。これからもラグビーを続けますので、引き続きご声援よろしくお願いします」
今シーズンは、レニーHCからスタンドオフもオプションに入れて欲しいと提案され、センターだけでなく、10番でも練習していたそう。「大学時代にもスタンドオフはやったことがあります。久しぶりにプレーし新鮮でしたし、良い経験になりました」と池永選手。目指す選手像が大学の大先輩である立川 理道選手(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)という彼は、今シーズン、10番を経験したことで、より立川選手を意識するようになったとか。目指す選手像に近づくため、そして試合に出て活躍するために、新しいステージでも努力し続けると決意していました。