取材日:2023年3月26日
3月26日(日)「NTTリーグワン2022–23」第13節クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦試合レポート
雨の花園ホストゲームで後半追い上げを見せるも届かず、悔しい敗戦
3月26日(日)花園ラグビー場で開催のホストゲームが行われた。対戦相手は、第5節で21–25と惜敗したクボタスピアーズ船橋・東京ベイだ。S東京ベイは、第12節終了時点で、10勝1敗1分で2位につける。南アフリカ代表のHOマルコム・マークスをはじめ、大型プレイヤーが多く、FWのフィジカルバトルに勝つことがポイントになる。
No.8が、前節で活躍しプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたサウマキから急遽、アーリーエントリーのコストリーにメンバー変更となったが、やることは変わらない。激しい肉弾戦を制すると試合に臨んだ。
大粒の雨が降る中、試合はS東京ベイのキックオフで開始された。立ち上がりからプレッシャーを受けるが、神戸スティーラーズも応戦。しかし、7分、不用意な反則から先制のPGを献上。互いにキックを蹴り合い、中盤での攻防が続く中、自陣10mライン付近で相手のキーマンの1人であるHOマークスに絡まれ、反則を取られると、ゴール前ラインアウトとなる。ここは相手ボールをスティールし、SOラファエレがボールをタッチラインに蹴り出してピンチを脱する。その後も相手ボールラインアウトをスティールするなど、好プレーが出るも、S東京ベイの有効的なキックにより、なかなか敵陣へ入ることができない。
24分、自陣22mライン付近中央で反則を取られると、相手はショットを選択。PGを決められ、0–6に。その後のキックオフが、直接タッチラインを割り、S東京ベイボールのセンタースクラムになると、SOフォーリーがラインブレイク。パスをつながれ、トライを献上する。ゴールキックも決まり、0–13に。まずは敵陣へ入ろうと懸命にプレーするも、ミスや反則により流れを掴むことができない。キックの応酬を経て、38分、敵陣22mライン内側に入ったところでマイボールラインアウトのチャンスを得る。サインプレーでHO松岡、SH中嶋へとつなぎ前進するもノックオンによりトライを取り切ることができず、そのまま0–13で折り返した。
後半も先に得点したのはS東京ベイ。3分、自陣10mライン中央付近で反則を取られると、PGを決められ、0–16。これ以上離されたくない神戸スティーラーズは、6分、FB山中の放ったロングキックを、相手がキャッチし損ねると、S東京ベイ陣22mライン中央でのマイボールスクラムのチャンスを得る。No.8コストリーがサイドアタックし、前進すると、そこから連続攻撃。ラックからSH中嶋、FL橋本、FB山中とつないで、山中がディフェンスに絡まれながらオフロードパス。最後はボールを受けたCTBバックマンが左端へとトライ。山中が難しい角度のゴールキックを決め、7–16にする。ここから追い上げたい神戸スティーラーズだったが、ハーフライン付近で相手に絡まれ反則を取られると、逆にピンチに。
10分、自陣22mラインアウトからFWに力強く前進され、あわやトライかという場面も。ここはTMOの判定によりノートライに。その2分後、自陣ゴール前での相手ボールスクラムからサイドアタックを仕掛けられトライを奪われる。しかし、FLがボールを持ち出す前に相手選手のオブストラクションがあり、トライキャンセル。苦しい時間帯を我慢し、反撃に転じたいところだが、ミスにより攻撃がつながらない。逆に20分、トライを許し、7—23とリードを広げられてしまう。
嫌な雰囲気が漂う中で、25分、相手WTBのプレーが危険なタックルと判定を受け、イエローカードが提示される。数的有利な状況で、神戸スティーラーズが追い上げを開始する。
26分、敵陣22mライン付近のマイボールスクラムから中嶋から代わったSH徳田が持ち出して右端へとキックパスをすると、WTBモエアキオラがキャッチし、FB山中へとつないでトライ。ゴールキックも決まり、14—23と9点差にする。さらに差を縮めたいところだったが、自陣10mライン付近でのラインアウトをスティールされると、ゴール前まで迫られる。その後も自陣でのプレーが続き、反撃の糸口が掴めずに、シンビンの選手がピッチに戻ってくる。38分、S東京ベイ陣22mライン付近でマイボールラインアウトのチャンスを得るも、トライを取り切ることができずに、14–23でノーサイド。花園でのホストゲームを勝利で飾ることができずに惜敗に終わった。
ホルテンヘッドコーチは「雨という天候ですので、本来の神戸ラグビーができないということは理解していました。その上で、キッキングゲームでテリトリーを取ることとフィジカルバトルに勝つこと。この2つにフォーカスし、準備をしてきたのですが、そこでうまくいかなかったことが、この結果に繋がってしまいました」と反省を口にした。キャプテンの橋本も「前半はほとんど自陣でプレーしていました。キックをもう少しうまく使えていたら…」と俯く。また、ホルテンヘッドコーチは、後半24分、相手にシンビンが出たところで1トライしか上げることができなかったことも、勝敗を分けたところだと話す。
「敵陣に入って精度高くプレーし相手にプレッシャーをかけるべきところで、逆に自陣でプレーすることになってしまって、勝ち切るチャンスを逃してしまいました」(ホルテンヘッドコーチ)
サウマキに代ってNo.8でプレーしたコストリーは
「今朝急遽出場が決まりました。こういう状況で試合に出るのはBL東京戦に続き2度目です。自分の役割を全うすることだけを考えてプレーしていました。ただ、S東京ベイのフィジカルの強さは、想像していた以上で…。個人としてもチームとしてもフィジカルバトルで負けてしまって。反則も多かったですし、雨の中での戦い方など、反省の多い試合になってしまいました」と振り返った。しかし、自身にとって、このような強度の高い試合をしたことは今後につながるとも話す。
「この経験を糧にして、これからもっともっと強くなります」(コストリー)
リーグ戦は、残り3試合となり、神戸スティーラーズは5勝8敗勝ち点24で9位に順位を下げた。
トライ1本、コンバージョンキック2本を決め、一人気を吐いたベテランの山中は、
「順位は気にせずに、自分たちのラグビーを全力でやり切りたい。そうすれば結果がついてくると思います」と語った。
次節は、4月7日(金)東京・秩父宮ラグビー場での東京サントリーサンゴリアス戦だ。神戸スティーラーズの力はこんなものじゃない。残り3試合で、Steel Matesに本来の姿を見せることができるよう、選手、スタッフ一丸となって取り組む。