close-up KOBE -Long interview-

ロングインタビュー

退団選手インタビュー Part.6 平原 大敬

 取材日:2022年5月19日

退団選手インタビュー Part.6 平原 大敬

平原 大敬

HIROTAKA HIRABARA

PROFILE
  • 1986年12月21日生まれ、宮崎県宮崎市出身
  • 宮崎ラグビースクール→高鍋高校→帝京大学→コカ・コーラレッドスパークス→豊田自動織機シャトルズ→コベルコ神戸スティーラーズ(2019年度)
  • ポジション/フッカー
  • 2021−2022シーズンまでの公式戦出場回数/30

「ラグビーだけでなく組織の作り方も学べた3シーズン。 これからはSteel Matesとしてチームを応援します!」

今後はどうされるのでしょうか?

「宮崎に帰って家業を継ぎます。いつかは、と考えていたのですが、具体的な時期は決めていなかった。家業を継ぐにあたり国家資格をいくつか取得しないといけないですし、準備もあるので、昨シーズンのオフに『今シーズンをラストシーズンにしよう』と決断しました。体力的にはまだまだプレーできますが、家業のことを気にしながらラグビーをするのは、チームメイトに失礼だと思い、どこかで踏ん切りをつけないといけないと思ったんです。それが、今シーズンでした。15歳からラグビーをはじめて、ちょうど20年。後悔はありません。やり切りました!ラグビーに対して100パーセントの情熱を注ぐことができました」

コベルコ神戸スティーラーズでプレーした3シーズンはどうでしたか?

「以前所属していたチームでは勝てないことが多く、どうやったらチームを強くできるのか、そればかり考えていて、自分の成長にフォーカスすることがなかなか難しかった。スティーラーズは個人個人が目標に向かってハードワークする集団で、本気で日本一を目指しています。そこで、僕も自分に向き合って、日本一を目指して戦うことができました。現役最後の3年間をこのチームで過ごせたことは、自分にとって誇りです」

ラストシーズンと決めた今シーズン、開幕2試合はメンバーから外れましたが、焦りはなかったのでしょうか?

「焦りはなかったですね。ただ、これまでのラグビー人生を振り返った時に、怪我で試合に出られないということはあったのですが、コンディションも良くてノンメンバーというのは初めての経験だったんです。いろんな感情が入り混じる中でスタンドから試合を観戦し、『やっぱり試合に出たい』と改めてそう思って…。現役最後のシーズンに初めてノンメンバーという立場で試合を見られたことも良かったと思います」

印象に残っている試合を教えてください。

「入団1年目の『ジャパンラグビー トップリーグ2020』開幕戦です。有田の怪我もあり先発出場のチャンスが巡ってきました。初めて経験するラグビースタイルで、システムを理解して、その通りに動くことが大変でしたが、カップ戦を経験し、自信もついていました。チャンスをしっかりモノにしようと、セットプレーでもフィールドプレーでも良いプレーをすることだけを考えて開幕戦に臨み、高いワークレートを残すことができて、試合後のロッカールームで、コーチ陣からその試合でもっとも勇敢に立ち向かった選手に贈られる特別な賞をもらいました。チームに認められたことが嬉しくて、その試合が一番印象に残っています」

現役最後の試合となった今シーズンの最終戦シャイニングアークス東京ベイ浦安戦はどうだったのでしょうか?

「現役最後の試合ということで、コーチ陣が先発に起用してくれたのですが、僕自身はラストゲームと意識せずに、普段と同じようにやるべきことをやろうと試合に臨みました。シャイニングアークス東京ベイ浦安はスクラムに自信を持っているチームです。僕もスクラムを強みにしているので、負けたくないと思い、フロントローのメンバーとコミュニケーションを取って、スクラムで優位に立つことができ、自分の持ち味で勝利に貢献することができて嬉しかったです。ただ、現役最後のラインアウトのスローイングがノットストレートで…(苦笑)。もともとスローイングは得意ですし、あまりノットストレートを出す方はないんですが、人生甘くないなと、良い教訓になりました(笑)」

3シーズンで学んだことは?

「僕が入団したのは、トップリーグで優勝した後でしたが、みんなが練習に取り組む姿勢はいい意味で泥臭くて、ハングリー精神旺盛でチャレンジャーでした。その姿勢に驚きましたし、日本一を目指すには、ここまで突き詰めないといけないんだと知れましたし、強いチームの作り方を見られたことは、今後、家業を継ぐ上で役に立ちます。和気あいあいとやることだけがチームでない。同じ目標に向かって全員がハードワークすることで、自然とチームがひとつになるんだなと思いました。あとレガシー活動を経験できたことも良かったです。この3年間でラグビーだけでなく、組織の作り方も学ぶことができました」

影響を受けた選手はいるのでしょうか?

「ハシモ(橋本大輝)ですね。入団するまで面識はなかったのですが、チームで唯一の同い年ということもあり、彼のことは意識していました。僕もコカ・コーラでキャプテンを経験しましたが、チームづくりと自分のことを両立するのが難しくて。けど、彼は自分のやるべきことをしっかりやって、キャプテンとしてもチームを良い方向に導く。それが自然にできているところに、リーダーとしての能力の高さを感じました。彼は見習うべきところがたくさんある選手でした」

チームに期待することは?

「リーグワンチャンピオンになって欲しいですし、みんなに愛されるチームになることを期待しています。強いのはもちろん、ファンや地域の方々を大事にして、スタジアムが真っ赤に染まるようなチームになってください。OBとして、スティーラーズでプレーしていたことが自慢になるようなチームであり続けて欲しいですね」

チームメイトへメッセージを。

「目標に向かって努力するチームメイトを見て、僕も負けまいと思い、それが成長につながりました。そう思わせてくれたチームメイトには感謝しかありません。今後は、僕もSteel Matesです!一番熱いファンになって、みんなのことを応援します。チームがどういうラグビーをするのか、誰が『2番』を付けて出場するのか、楽しみにしていますし、みんなの頑張っている姿を活力にして、僕も仕事に打ち込みます!」

ファンの皆様へメッセージをお願いします。

「僕が入団したシーズンからコロナが流行してしまい、ファンの皆様となかなか会うことができなかったのですが、先日、初めてファンクラブイベント『Steel Mates感謝祭』を経験することができました。とても楽しかったですし、皆様と会えて嬉しかったです。コロナ禍で応援の制約がありましたが、皆様の情熱は感じられましたし、それを力に変えて試合に臨んでいました。ワールドカップ後に行われた『ジャパンラグビー トップリーグ2020』はスタンドが満員になって、チームも強かった。リーグが中止にならずに、ファンの皆様ともっと勝利の喜びを分かち合うことができれば良かったのですが。これが唯一の心残りです。3年間でしたが、たくさんの応援ありがとうございました。これからは、僕も皆様と同じように、Steel Matesとしてチームを応援します。引き続きコベルコ神戸スティーラーズを変わらぬ情熱で支えていただきますようお願いします」

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