close-up KOBE -Long interview-

ロングインタビュー

退団選手インタビュー Part.10 アンダーソン フレイザー

 取材日:2022年5月12日

退団選手インタビュー Part.10 アンダーソン フレイザー

アンダーソン フレイザー

ANDERSON FRASER

PROFILE
  • 1984年4月20日生まれ、ニュージーランド出身
  • ブリスベン・ブロンコーズ(リーグラグビー)→トゥーンバ(リーグラグビー)→クラナラ・シャークス(リーグラグビー)→コベルコ神戸スティーラーズ(2009年度)
  • ポジション/ウイング
  • 2021−2022シーズンまでの公式戦出場回数/122
  • 代表歴/トンガ代表(4キャップ)

「スティーラーズは私にとってHOME。 これからも大好きですし、応援します!」

13シーズンは長かったですか?

「1シーズンごとにいろいろなことがありましたが、感覚的には、あっという間でしたね」

改めて日本でプレーしようと思った理由を教えてください。

「当時、私はリーグラグビーでプレーしていたんですが、トップリーグでプレーする友人から『日本は素晴らしい国だぞ』と教えてもらったことがきっかけです。それで、エージェントに日本でプレーしたい旨を伝えて、スティーラーズからオファーをいただき、来日することになりました。日本のことも、日本のラグビーのことも知らなかったですし、当初はとりあえず2年間だけプレーして、リーグラグビーに戻ろうと考えていたのですが、スティーラーズを好きになり、気がつけば13シーズン在籍することになりました(笑)」

スティーラーズのどこに魅力を感じましたか?

「1928年から脈々と続く歴史とチームメイトですね。元木(由記雄)さんや大畑(大介)さんといったスーパースターを筆頭に、才能あふれる選手ばかりで、それに入団したシーズンは平尾(誠二)さんが総監督を務めていて、日本ラグビー界のレジェンドだと聞きました。私も頑張って活躍して、そんな素晴らしいチームの歴史の一部になりたいと思うようになりました」

印象に残っているシーズンを教えてください。

「入団1年目の2009年シーズンと優勝した2018年シーズンです。1年目のシーズンは、私にとって大きなチャレンジでした。ラグビーについては、初めて経験する日本のラグビーでしたが、ボールが動いてスピードが早いところは、リーグラグビーと似ていると感じましたし、すぐに適応することができました。ラグビーだけでなく、言葉や文化など戸惑うこともありましたが、チームメイトのサポートのお陰で1年目から楽しむことができました。2018年シーズンは、ウェイン(・スミス)が私たちに明確なビジョンを示してくれて、それを信じて、神戸のラグビーを作り上げたシーズンです。また、レガシー活動も印象的でした。神戸製鋼所の第3高炉のことや阪神淡路大震災のことは聞いたことはありましたが、すべてを知らなかったので、会社のことを理解する良い機会になりました。私はこれまでチームのことしか考えていなかったのですが、そのシーズン以降は、会社のことも考えるようになり、スティールワーカーとしてチームのため、会社のために戦おうと思うようになりました。これは、私にとって大きな変化でした」

印象に残っている試合を教えてください。

「一番印象深いのは、『ジャパンラグビートップリーグ2018−2019』決勝です。ずっと優勝したいと思っていましたが、何年もできなくて…。苑田(右二)さんがヘッドコーチをしていた時に、日本選手権でファイナルまで進みましたが、サントリーサンゴリアスに敗れて。ギャリー(・ゴールド)がヘッドコーチを務めたシーズンは、ディフェンスが整備されチーム力が上がり、雰囲気も良かったのですが、プレーオフトーナメントで敗退。2018年シーズンは、DC(ダン・カーター)やアンディ(アンドリュー・エリス)、クーピー(アダム・アシュリークーパー)といったワールドクラスの選手を中心にワンチームになって戦い、決勝に臨む前から『勝てるぞ』という雰囲気もあって、実際に優勝ができて…。長年追い求めていたことを達成でき、最高の瞬間になりました」

影響を受けた選手を教えてください。

「(谷口)到、ラッシーさん(平島久照)、ヤンブー(山下裕史)、ハシモ(橋本大輝)。到は、口うるさいけど(笑)、優しくて、プライベートもよく一緒に過ごして、オンフィールド、オフフィールドで影響を受けました。ラッシーさんは、スクラムのプロフェッショナル。スクラムにかける思いや姿勢に感銘を受けました。ヤンブーとハシモは、社員として働きながらラグビーをプレーし、目の前のことにハードワークする。彼らはスティールワーカーです。私も彼らのようなスティールワーカーになろうと思い頑張ってきました」

コベルコ神戸スティーラーズはあなたにとってどういうチームでしょうか?

「ひとつの目標に向かってワンチームになり、一生の友達、たくさんの思い出を作ることができました。スティーラーズは、私にとってHOMEですね。今シーズンを持ってチームを離れますが、私の体にはスティーラーズの赤い血が流れています。いつまでも大好きですし、HOMEだと思っています」

今後はどうされるのでしょうか?

「これからもラグビーを続けます。同い年の到も現役選手として頑張っているので、私もまだまだプレーします」

チームに期待することは?

「素晴らしいクラブハウスもできて、会社のサポートに報いるためにも、優勝しないといけない。若い選手達が経験を積んで成長し、これまで以上に良いチームになってリーグワンチャンピオンになって欲しいですね」

チームメイトへメッセージを。

「コロナが流行してからは、みんなで飲みに行くことができなかったことが残念ですが、それまではオフフィールドでも、みんなと一緒に過ごして、楽しい時間を過ごすことができました。みんなには感謝の言葉しかありません。お互いにこれからも頑張りましょう!」

ファンの皆様へメッセージをお願いします。

「13シーズン、応援ありがとうございました!ファンの皆様の声援は今でも耳に残っていますし、真っ赤に染まったスタンドは目に焼き付いています。特にラグビーワールドカップ後に開催された『ジャパンラグビートップリーグ2020』でノエビアスタジアム神戸が満員になったことは忘れられません。これからも変わらずチームのサポートをよろしくお願いします。そして、僕のこともチームと同じように引き続き応援してください」

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