close-up KOBE -Long interview-

ロングインタビュー

新人選手インタビュー Part.1

 取材日:2017年5月24日

新人選手インタビュー Part.1

今シーズンからコベルコスティーラーズの一員となった6選手をご紹介。

第一弾は、関西学院大学出身のSO清水晶大選手と京都産業大学出身のFB森田慎也選手です。

クエイド・クーパーのようなプレーヤーを目指す!

清水晶大

Akihiro Shimizu

PROFILE
  • 1995年2月18日生まれ(22歳)、大阪府茨木市出身
  • 茨木ラグビースクール→茨木市立西陵中学→京都成章高校→関西学院大学
  • ポジション/SO
  • 身長・体重/175cm・82kg

子供の頃からずっとスタンドオフ

ラグビーはいつからはじめたのですか?またきっかけを教えてください。

「5歳からはじめました。きっかけは、子供の頃、すごくやんちゃ(笑)で、母親が幼稚園からよく呼び出されて怒られていたんです。それで、父親がそんなに力が余っているなら、ラグビーでもはじめたらどうかと、近くのラグビースクールに連れて行かれて。父親はラグビーをやっていなかったのですが、祖父がラグビーをやっていて、西日本の代表に選ばれるなど、結構いい選手だったみたいなんです。ポジションはフランカーだったそうです」

それからラグビーにハマった。

「小学生の頃にはもうトップリーグの選手になりたいと言っていました。小学校の卒業文集では、大畑大介さんのようなスターになりたいと書いていましたから」

子供の頃のポジションは?

「子供の頃からずっとスタンドオフです!」

大阪府茨木市出身ですが、高校は京都成章へ進んだんですね。

「東海大仰星に行きたかったのですが、京都成章の湯浅監督が熱心に誘ってくださって。湯浅監督は、僕がオール大阪の一員として出場した全国大会の試合をたまたまご覧になられていて、僕のプレーを絶賛してくれたんです。それで、練習を見に来ないかと誘っていただいて、見学しに行ったら、雰囲気も良くて。仰星に行きたい気持ちもあったのですが、湯浅監督の『お前と日本一になりたい』という言葉に惹かれて、成章に行くことに決めました」

だけど、高校3年の時は、花園に行けなかったんですよね。

「2年の時だけですね。高校3年の時は、2点差で伏見に敗れてしまいました」

中学、高校、大学と1年生の時から試合に出ていたんですか?

「中学、高校では1年から試合に出ていたんですが、大学は、入部当初、5つくらいあるチームの中で下から2つ目のチームに振り分けられたんです。『これはやばい!』と思って、ヘッドコーチに『何が足りないんですか?』と聞いたら、コンタクトが弱いと言われた。当時、70kgくらいしかなく、ガリガリで、それから食事の量を増やして、78kgまで体重をアップしました。それもあって、1年からレギュラーとして公式戦でも使ってもらっていたんですが、シーズン途中で、勉強の関係で、メンバーから外れることになり、その時に4年生が活躍されて、それからリザーブに回ることになったんです。ラグビー人生で初めてのことだったので、本当に悔しくて。1年が終わった後、1からトレーニングや食事面を見直しました。その経験があって、結果が出て、2年からは司令塔を任せてもらいました」

大学2年の時は、関西リーグ制覇を達成。その後、ニュージーランドへラグビー留学されたそうですね。

「まだまだ成長できるとヘッドコーチに言ってもらい、3年生になるまでの約2ヶ月間、クライストチャーチに行かせていただきました。所属していたクラブチームはそれほどレベルが高くはなかったのですが、パスも早いし、ハンズアップもしっかりしていて、基本プレーがちゃんとしている。ほかにも、選手同士、コミュニケーションを取りながら考えてプレーすることなど、多くのことを吸収できました」

コベルコスティーラーズの10番を背負う存在に

清水選手の持ち味を教えてください。

「強気なアタックですね。スペースを見る能力やステップワークには自信があります。ただ、自分でこじ開けるプレーというのは、トップリーグでは難しくなってくると思いますので、味方を生かしたり、ここぞというところで自分が仕掛けたりできるようにしていきたいです」

プレースキックはしないんですか?

「できるんですけど、高校3年の時に、京都府予選で伏見工に2点差で負けた時、僕のショットが決まっていたら、勝っていたんです。それを外してから、蹴ることができなくって。もちろん、誰も蹴る人がいないとなれば、蹴ります!」

目指していたり、憧れていたりするスタンドオフはいるんですか?

「クエイド・クーパーです。ボールを持ったら、何をするのか分からない。そういう観ていて、ワクワクするプレーヤーに少しでも近づけたらと思います」

同い年でスタンドオフといえば、パナソニックの山沢拓也選手や松田力也選手が日本代表やサンウルブズでプレーしていますが、意識はしているのでしょうか

「松田は伏見工出身なので、高校の時に対戦していますし、ライバル意識がないと言えば嘘になる。でも、現状、自分の力が、日本代表のレベルに達していないことはわかっていますので、コベルコスティーラーズでしっかり力をつけて、レギュラーとして試合に出て、成長し、彼らに追いついていきたいです」

神戸の司令塔を狙う。

「はい!10番にはこだわりがあるので、10番をつけたいです。練習でも、今は、2チームでアタック&ディフェンスをする時に、正面(健司)さんとニックさん(イーリニコラス)がスタンドオフに入って、僕は12番に入っているんです。まだチームに入って間もないですし、アピールもできていないので、仕方がないのですが、悔しいですね。一生懸命、アピールして、10番を背負えるように頑張ります」

今シーズンの目標を教えてください。

「メンバーに絡んでいきます!」」

今後、ラグビープレーヤーとして達成したい目標は?

「大きくいえば日本代表ですが、まずはコベルコスティーラーズで10番をつけること。チームで必要とされる存在になることが目の前の目標です」

ところで、同期で京都産業大学出身の森田選手とは、関西リーグで対戦していると思います。いったい、どんな選手なのでしょうか?教えてください。

「ちょこまかしていますね(笑)。キックも蹴ることができるし、ステップも切れて、スピードもある。あと、パスダミーがうまいです。そこは、ディフェンスしていても、嫌でしたね。森田とは高校の京都代表でも一緒だったので、今も仲良くしています」

そうなんですね。森田選手にも清水選手について聞いてみますね。では最後に、ファンの皆様方にメッセージをお願いします。

「チームに勢いを与えるアタックをし続けたいと思います。クエイド・クーパーのような、見ていて面白いプレーをしますので、応援よろしくお願いします!」

目標は楽平さん。新人王を狙いにいきます!

森田慎也

Shinya Morita

PROFILE
  • 1994年10月15日生まれ(22歳)、京都府京都市出身
  • 洛西ラグビースクール→中学→洛北高校→京都産業大学
  • ポジション/FB
  • 身長・体重/170cm・78kg

手応えを感じた「ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ2017」

ラグビー選手らしからぬ体型ですね。

「よく言われますね(笑)」

ところで、3月、フィジーで行われた「ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ2017」にジュニア・ジャパンの一員として参加され、サモア戦でフルバック、フィジーウォリアーズ戦ではウイングで先発出場しました。まずは大会に出場した感想を聞かせてください。

「サモアも、フィジーも、体が大きいので、フィジカル面では勝てないですが、スピードをコントロールしたり、アジリティーを使って相手のフィジカルの強みを出させないようにしたりして、工夫をしてプレーしました。通用するところもあったので、自信になりました」

今年、誕生した「ナショナル・ディベロップメント・スコッド」(サンウルブズの遠征に参加しない選手と将来日本代表に選出される可能性のある選手たちのグループ/以下、NDS)のキャンプにも参加されたんですよね。そして、日本代表スコッド入りも果たしました。

「日本代表のスコッドに入ったことは驚きました。これまで高校日本代表に選んでもらいましたが、出場機会がほとんどなかったですし、大学時代には関西学生代表になったくらいで、代表とはほぼ無縁でしたので。でも、ジュニア・ジャパンの時に、周りは20歳前後の後輩ばかりでしたが、手応えを感じていたんです。だから、こういうプレーをしたら、日本代表に呼んでもらえるんだとわかりました。NDSでは、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチが考えているラグビーの戦術などを覚えながらやっていたので、頭をすごく使いました。結局、ジュニア・ジャパンの時に負傷した怪我が良くならず、日本代表は辞退することになってしまったんですが、このサイズでも上のレベルが目指せるということがわかったことは、2019年に向けて、モチベーションになります」

早く怪我を治してくださいね。ところで、森田選手が、ラグビーをはじめた年齢ときっかけを教えてください。

「7歳です。小学5年からはじめました。でも、本当は野球をしたかったんです。6歳上の兄がラグビーしていたことと、洛西ラグビースクールが家から近かったこともあって、ラグビーをすることにしました」

ポジションの変遷は?

「小、中学校では、主にスタンドオフです。でも、中学1年の時は、合同チームだったので、基本的にBKならどのポジションでもプレーしていました。中学2年の時に、ラグビー部の部員が僕だけになって、その時に隣の中学校の先生が誘ってくれたので、西陵中学校へ転校したんです。それからはスタンドオフとウイング。そして、高校に進んでからは、スタンドオフではサイズ的に狙われてしまうという監督の意向で、フルバックにコンバートしました。大学では1、2年は主にウイング、3、4年はフルバックです」

フルバックとウイング、どちらが得意なのでしょうか?

「フルバックの方が好きですね。フルバックはウイングに比べるとボールタッチの回数が多いですし、自由にいろんなところに参加できる。また、ウイングよりも内側にいるので、外をいかすという選択肢を持てます。自分でトライをするのも好きですが、自分のパスがトライにつながるのもうれしいですね」

憧れている選手を教えてください。

「高校時代は元ウェールズ代表のシェーン・ウィリアムズ選手です。サイズがないことは常に頭にあったので、小さくても、世界で活躍できるんだと、勇気をもらいました。今だったら、チーフスのダミアン・マッケンジー選手。小柄だけど、ステップワークがすごくって、憧れますね」

ところで、出身高校は洛北なんです。京都というと、伏見工か京都成章というイメージなのですが。

「伏見工の高崎先生に誘っていただいたのですが、伏見工には、同い年の松田力也(パナソニック)や中学校の時の上手い先輩もいたので、行っても試合に出場できない可能性があるなと思ったんです。それなら、洛北で試合に出て、伏見工や成章を倒すことを目標にしようと。その目標は達成できませんでしたが、高校では、自分たちで練習メニューを考えてやっていたので、自主性や主体性が身につきましたし、自分に厳しくなれました。また、先生に、フルバックという自分をいかすポジションを与えてもらったことも良かったです。京都府予選ベスト4で終わりましたが、伏見工や成章という全国区のチームと対戦できたことはよい刺激的になりました」

すべての面でレベルアップし、レギュラー獲得を誓う

そして、京都産業大学へ。理由を聞かせてください。

「兄も京産大だったのと、監督の大西先生が実家の近くに住んでいらっしゃって、昔から気にかけていただいていたんです。あと、兄が4年の時に、(山下)楽平さんが1年で、その頃から楽平さんのプレーに惹かれていて。楽平さんと一緒にプレーすることで何か学べるのではないかと思ったのも、理由のひとつです。楽平さんとは1年間ですが、一緒にやらせていただいて、いろいろ勉強になりました」

山下(楽)選手のどういうところに惹かれたのでしょうか?

「楽平さんは、たまたまいいところにいるように見えるかもしれないですが、ゲームをしっかり理解していないと、そういう位置にはいることはできないんです。ゲームを理解して、いい位置にいたり、反応良く飛び出していったり、それがトライにつながっている。楽平さんのトライの嗅覚は本当にすごいと思います」

森田選手はトライゲッターとしてはどうですか?

「僕はあまりトライが獲れなくて。周りの選手をいかすことを考えているので、トライが少ないのかな。トライも獲れるようにしていきたいです」

では、森田選手の持ち味を教えてください。同期の清水晶大選手は、森田選手のことを、ちょこまかしていて、パスダミーもうまいと教えてくれましたが。

「パスダミーは、抜く時に無意識に出てしまいますね。持ち味は、ステップワークといった、アジリティーの部分。そこはさらに磨いていきたいと思います」

森田選手から見た、清水選手はどういうプレーヤーですか?

「強気なプレーヤーですね。高校2年の時に京都選抜で国体に出たこともありますし、大学時代は関西学生代表で一緒でした。彼の強気なゲームメイクは好きですね。コベルコスティーラーズでも一緒に試合に出られるよう頑張ります」

コベルコスティーラーズで試合に出るために身に付けたいことは?

「フィジカルで勝つことは難しいと思いますが、負けないだけの体はしっかりつくらないといけません。フィジカルを鍛えて、タックルも激しくいけるようにしたいと思います」

山下(楽)選手は、ルーキーイヤーに、新人王を含め、三冠に輝きました。新人王は意識しますか?

「意識しますね。楽平さんは1つの目標でもありますので、そこを目指すとしたら、当然、新人王は獲らないといけないと思います。だけど、コベルコスティーラーズには、楽平さんだけでなく、正面(健司)さん、大橋(由和)さん、(アンダーソン)フレイザーさん、井口(剛志)さんといった、能力の高いウイングやフルバックの選手がたくさんいます。今のままだったら、試合に出られないと思いますので、すべてにおいてレベルアップして、レギュラーを獲れるよう頑張ります」

では、ファンの皆様方へメッセージをお願いします。

「1年目から試合に出ることが目標です。試合に出場し活躍して、コベルコスティーラーズの優勝に貢献できる選手になりたいと思います。そういう選手になれるよう、精進していきます」

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