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ロングインタビュー

ジャック・フーリー選手インタビュー 「自分たちのラグビーを信じて、すべての練習、すべての試合でハードワークすれば、結果はついてくる」

 取材日:2017年1月17日

ジャック・フーリー選手インタビュー 「自分たちのラグビーを信じて、すべての練習、すべての試合でハードワークすれば、結果はついてくる」

大きくて、強くて、速くて、そして、イケメン!南アフリカ代表でも活躍していたラグビー界の貴公子が、2012年、コベルコスティーラーズにやって来た。2013-2014シーズンにはトライ王に、ベストフィフティーンには3年連続3回(パナソニック時代を入れると4回)輝いた。グラウンド外では、いつも笑顔でサインや記念撮影に応じ、ファンサービスも抜群。チームメイトから、ファンから愛されていたモシことジャック・フーリー選手が、今シーズン限りでユニフォームを脱ぐこととなった。モシからのラストメッセージをお届けする。

ジャック・フーリー

Jaque Fourie

PROFILE
  • 1983年3月4日生まれ(34歳)、南アフリカ共和国・カールトンビル出身
  • キャッツ(スーパー12)→ライオンズ(スーパー14)→ストーマーズ(スーパーラグビー)→パナソニックワイルドナイツ(2011年〜2012年)→神戸製鋼コベルコスティーラーズ (2012年入部)
  • ポジション/CTB
  • 身長・体重/190cm・105kg
  • 2016-2017シーズンまでの公式戦出場回数63 (プレマッチシーズン2015を含む)
  • 代表キャップ72(南アフリカ)

ラストゲームは忘れられない一戦

寂しくなりますね。

「僕も5年間過ごした神戸を離れるのは寂しいです。しかし、その時が来ました」

引退を決めたのはいつ頃なのでしょうか?またその理由を聞かせてください。

「15年間、キャリアを積んできて、フィジカル、メンタル共に疲れを感じるようになってきていました。特にここ3シーズンは怪我が多く、自分のプレーをするのが難しくなっていた。シーズン当初はフィフティフィフティだったのですが、いざ開幕すると、どんどんキャリアを終える方向へと自分の気持ちが固まっていき、最終的にウインドウマンス中、母国へ帰った時に引退を決意しました。神戸に帰ってきてから、チームメイトにそのことを告げ、トップリーグ後半戦の戦いに臨みました」

神戸で行われたラストゲーム(第15節vsサントリーサンゴリアス戦)はどうでしたか?

「チームメイトが勝って、僕を送り出そうと言ってくれていました。そういう仲間の気持ちがうれしかったですね。5シーズン一緒に戦ってきたメンバーとプレーできる最後の時間なので、僕自身、楽しもうと思って試合に臨みました。敗れてしまいましたが、仲間やファンの方々が盛り上げてくれて、忘れられない試合となりました」

コベルコスティーラーズの応援席には、「THANK YOU,FOURIE」というボードも掲げられていました。試合後は、胴上げされたり、ベッカー選手とアンダーソン選手が肩にフーリー選手を乗せてグラウンドを歩いたりしていましたね。

「ボードも見えていました。ファンの方々の声援がすごくて、とても光栄に思いました。胴上げは初めての経験だったのですが、面白かったですね。スコッティー(アンドリース・ベッカー)とフレイ(フレイザー・アンダーソン)の肩からの景色は、いつもより目線が高くて(笑)。ラストゲームのスタンドの風景を見せようとしてくれた2人の気持ちに感動しました」

日本でラストゲームを迎えるとは想像していましたか?

「6年前、日本でプレーしようと決めた時点で、もう南アフリカに戻ってプレーすることはないと思っていました。ただし、期間は決めていたわけではないです。パナソニック時代を含めて、この6年間はあっという間でしたね」

日本のラグビー界は急激に進化を遂げた

ところで、来日当初を振り返っていただきたいのですが、当時、トップリーグのレベルはどのように感じましたか?

「スピードはあるなと思いました。ただ最初の1、2年はフィジカルの強さを感じなかったのですが、ここ数年でフィジカルが上がってきました。またトップリーグ自体のレベルも随分と高くなったと思います。どのチームも、外国人コーチを招聘し、強化を図っていますし、考えられないようなスピードで日本のラグビーは進化を遂げています」

来日当初、スプリングボクスが日本代表に敗れる日が来るとは想像できましたか?

「まったく思いもしませんでした(苦笑)。怪我をしていてプレシーズンリーグ2015に出られなかったので、スプリングボクスとジャパンの試合は、神戸の自宅で見ていたんです(コベルコスティーラーズは長崎でNTTコミュニケーションズシャイニングアークスと対戦)。結果には驚きましたが、日本でプレーしている自分自身にとって、ジャパンの勝利は誇らしかったですね。あの勝利が日本のラグビー界にもたらしたものはとても大きかったと思います」

昨年からサンウルブズがスーパーラグビーに参戦しています。また山下(裕)選手もチーフスでプレーしました。コベルコスティーラーズの選手の中で、スーパーラグビーでも通用すると思う選手はいますか?

「山中(亮平)は昨年、サンウルブズであまりプレーする機会がなかったですが、フィジカルが強いですし、通用すると思います。あと、(山下)楽平も。彼は山中と違って身体はそれほど大きくないですが、スピードがありますし、スーパーラグビーでも十分戦えるレベルだと思います」

自分たちのラグビーを信じて、来シーズンこそ優勝を

ところで、フーリー選手が在籍した5年間でコベルコスティーラーズは優勝を達成することはできませんでした。チームに何が必要だと思いますか?

「4シーズンで4人ヘッドコーチが替わっていることが、成功を収めることができない要因のひとつかもしれません。新しいコーチのやり方に慣れたと思ったら、また別のコーチが来て、というのが続きましたから。しかし、来シーズン、ジム(マッケイヘッドコーチ)が指揮を執ることで、継続性が生まれます。来シーズンはこれまでより良い結果が期待されると思います」

優勝の可能性は感じている?

「もちろんです。それは入部した時から感じていました。才能ある選手がたくさんいますし、継続性ある正しい導きさえあれば、必ず優勝できると思います」

フーリー選手は、今後、コベルコスティーラーズがどういうチームになってほしいと思いますか?

「自分たちが信じるラグビーに対して、全員がひとつなって邁進するチームになってほしいですね。先ほど言ったようにここ4シーズン、毎年コーチが替わって、自分たちのラグビーを成熟させることが難しかったと思いますが、来シーズンは今シーズンと同じスタイルを追求できますので、選手、スタッフ一丸となってリーグに向けて準備をし、来シーズンこそ優勝を現実のものにしてほしいと思います」

いつかコーチとしてチームに戻ってきたい

フーリー選手にとって、コベルコスティーラーズとは?

「コベルコスティーラーズは、みんなで集まって食事に行ったり、飲みに行ったり、選手同士の距離が近い。コベルコスティーラーズの仲間は私にとって家族ですし、コベルコスティーラーズで過ごした5年間は人生の一部です。いつかコーチとして、コベルコスティーラーズに戻ってきたいですね」

どういうコーチを目指そうと思っていますか?

「15年間の間、たくさんのコーチと関わってきました。その中には良いコーチもいましたし、そうでないコーチもいました。良いコーチから学んだことを生かした上で、選手からこの人についていきたいと思われたり、指導されることに対して誇りに感じてもらえたりするようなコーチになりたいと思います。もちろん、それが容易でないことは分かっています。コーチングの勉強をして、いろいろな経験を積んで、選手がついていきたいと思ってもらえるようなコーチになりたいですね」

ちなみに、プレーヤーとしては、常にどういう選手を目指していたんでしょうか。

「プロフェッショナルな選手であり続けること。そのために常にハードワークしてきました。これからは、良いコーチになるために、ハードワークしていきます!」

仲間、そしてファンの皆様、ありがとう!

コベルコスティーラーズに在籍した5年間で一番の思い出は?

「たくさんありますが、やはりラストゲームですね。チームメイトが僕のために良い思い出を残そうと一生懸命やってくれたことが記憶に残っています」

チームメイトへメッセージをお願いします。

「素晴らしい時間をありがとう。いい仲間に囲まれて、幸せな5年間を過ごすことができました。自分たちのラグビーを信じて、すべての練習、すべての試合で、ハードワークすれば、結果はついてくる。そして、フィールド内だけでなく、フィールドの外でも、ラグビーを楽しんでください!」

では最後にファンの方々へメッセージをお願いします。

「コベルコスティーラーズというチームは、ただの1ラグビークラブではなく、日本のラグビー界において特別な存在であると思います。それはなぜか。コベルコスティーラーズが持つ輝かしい歴史と、そして、いつも熱狂的に応援してくれているファンの方々の存在が、そうさえていると思います。いつも試合会場であたたかい声援を送ってくれた皆様も、私にとって家族の一員です。皆様のことは忘れられない思い出のひとつとして、母国に持って帰ります。5年間、応援ありがとうございました。これからもコベルコスティーラーズに熱いご声援をお送りいただきますよう、よろしくお願いします。そして、いつかまた皆様と会える日を楽しみにしています」

ありがとうございました!

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