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ロングインタビュー

ジム・マッケイ ヘッドコーチ インタビュー「トップリーグ後半戦の戦いに向けて」

 取材日:2016年10月27日

ジム・マッケイ ヘッドコーチ インタビュー「トップリーグ後半戦の戦いに向けて」

昨年まで開催されていたプレーオフトーナメントが廃止され、リーグ戦のみで順位が決まる今シーズン、コベルコスティーラーズは、第9節vsNECグリーンロケッツ戦で痛い2敗目を喫し、前半戦を4位で終了。就任1年目の指揮官に、ウインドウマンスの強化ポイントや後半戦に向けての意気込みを聞いた。

ウインドウマンスは、重要な時間。これまで以上にハードワークし、良い形で後半戦に入っていく。

ウインドウマンスまで1試合を残していますが(取材日は10月27日)、第8節を終え、チームの状況はどうですか?

「新しい体制で1からチームを作りあげるのは大変なことですが、これまでのところ着実にステップアップしてきています」

成長を感じているところを教えてください。

「我々がどういうチームであり、どういうラグビーをするのか、選手たちの中で理解度が高まり、同じ意識を持って戦えるようになったことが一番の成長です。それが、現時点で、トップリーグの中で2番目に多い、44本というトライ数に現れているのだと思います。特にキックカウンターやターンオーバーからのアタックは、我々の大きな強みになっています。それをさらに追求し、圧倒的な武器にしていきたいですね」

逆に物足りなさを感じているところは?

「ディフェンスです。特にここ数試合、トライを与え過ぎている。ただディフェンスに関しても、開幕戦から比べると徐々に向上はしてきています」

これまでの戦いを振り返った時、第2節vsパナソニックワイルドナイツ戦がターニングポイントになったように思うのですが。

「そうですね。それまでも、選手、スタッフ間で話をしていましたが、あの敗戦の後、互いに正直な意見をぶつけ合いました。それがいい方向に作用した。敗れはしましたが、結果的にあの敗戦があったから、今の成長があるのだと思います」

また、フォワードは多くの怪我人が出ました。

「マット(・バンリーベン)、(アンドリース・)ベッカー、(伊藤)鐘史といった選手が怪我をし、戦線離脱を余儀なくされましたが、彼らの代わりに入った選手が皆、素晴らしいパフォーマンスをしてくれました。ここ数シーズン、出番がなかった鈴木(敬弘)、大窪(光)。彼らは、やるべき仕事をしっかりと全うしてくれましたし、第1節から試合に出続けている(谷口)到、安井(龍太)も、怪我で抜けた選手の穴を埋めるべく、ラインアウトの部分でリーダーシップを発揮し、仕事をやり切ってくれた。怪我人が多数出て、厳しい状況でしたが、それを跳ね返したことは自信になります。選手層がさらに厚くなったといえるのではないでしょうか」

前半戦、成長を感じた選手を教えてください。

「第3節からスタンドオフに入っているニック(イーリニコラス)。彼の能力に期待し、責任を与え、それに見事に応えてくれました。非常に良いパフォーマンスを発揮し続けてくれています。また(山下)楽平も、素晴らしいプレーを見せている。そして、フォワードでは、安井、到、張(碩煥)。特に張は開幕戦から大きくステップアップしました」

ウインドウマンスの強化のポイントとは?

「まずはディフェンス。良くなってきているとはいえ、まだまだ改善の余地はあります。ディフェンスは課題のひとつであることは間違いないので、突き詰めていきます。そして、リスタートのキックオフキャッチのところ。ここは時間をかけてやっていかなければいけないポイントです。それと、我々の武器であるキックカウンターやターンオーバーからのアタックをより確実性の高いものにしていきたい。また、プレーの部分だけでなく、怪我から復帰したばかりの選手、試合に出続けてリカバリーが必要な選手もいますので、選手一人一人にあわせて必要なものを練習に取り入れてやっていかなければいけません。チームとしてディフェンス、リスタートのキックオフなど、さまざまな要素を強化していくことはもちろんですが、そこには個人の成長が必要不可欠ですので、フィットネス、フィジカルなど、個人の能力を上げることにもフォーカスしてやっていきます。ウインドウマンスの5週間は、我々にとって非常に重要な時間になりますので、これまで以上にハードワークし、良い形で後半戦に入りたいですね」

ところで、10月3日に発表の日本代表スコッドに入ったのはコベルコスティーラーズからは木津(武士)選手のみです。それについてはどう思われましたか?

「代表スタッフにうちの選手を認めてもらいたいという思いはありますが、我々が決めることはできませんので。代表メンバーが1人というのは残念ですが、ポジティブに考えると、今回、多くの代表選手を輩出しているヤマハや東芝よりも、ウインドウマンス期間中の強化において優位であるので、最高の準備をしたいと思います」

現時点で、マッケイヘッドコーチが目指すラグビーの完成度はどれくらいでしょうか?

「50パーセントくらいですね。私は美しいラグビーを目指しています。ポジティブでクリエイティブなラグビー。それを選手たちがフィールドで体現できるようにしていきます」

クリエイティブなラグビーというと、10月20日、コベルコスティーラーズの想像力溢れるラグビーの礎を築いた平尾誠二GMが他界しました。

「これからも選手一人一人の中に平尾GMの遺産は生き続けることでしょうし、彼をはじめとするOBの方々が作り上げてきたものをさらに良いものにして、次の世代へと引き継いでいきたい。新しいコベルコスティーラーズの歴史を作り上げていきたいと改めて決意しました」

では最後に、後半戦に向けての意気込みとファンの皆様方へメッセージをお願いします。

「後半戦は難しい相手との対戦が続きますので、さらにチーム力を上げて、見ている方が楽しめるポジティブなアタッキングラグビーで勝ち進めることができるようにしていきたいと思います。神戸で開催される3試合は、友達を誘ってスタジアムにぜひ足を運んでください。我々と一緒にシーズンを戦っていきましょう」

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