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ロングインタビュー

梁正秋選手インタビュー「自分のプレーを自信を持って強気にやり切る!」

 取材日:2016年9月27日

梁正秋選手インタビュー「自分のプレーを自信を持って強気にやり切る!」

ニュージーランドでのラグビー留学を経験し、チームメイトは「成長して帰って来た」と口をそろえる。春から好調を維持し、入部2年目の今シーズン、開幕戦から目標だった「9番」をつけて試合に出場。伸び盛りの若きSHに迫った。

梁正秋

りゃん じょんちゅ

PROFILE
  • 1992年12月14日、大阪府大阪市出身。171cm・75kg
  • 東大阪朝鮮中学→大阪朝鮮高校→京都産業大学→コベルコスティーラーズ(2015年4月入部)
  • ポジションはSH
  • 昨シーズンまでの公式戦出場回数2(プレシーズンマッチ2015を含む)

相手SHと実力の差を感じたパナソニック戦

4試合連続でスタメン出場。開幕戦の先発は予想していたのでしょうか?

「夏合宿期間中に行われた最後の試合(vs 東芝ブレイブルーパス戦)で先発出場させていただき、自分でもジム(・マッケイヘッドコーチ)の求めるプレーができたと手応えを感じていました。だけどトップリーグ開幕戦でメンバー入りできるのかは、半信半疑で。なので、先発が告げられた時はとてもうれしかったです。ただ、開幕戦(vs NTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦)も第2節(vs パナソニックワイルドナイツ戦)もパフォーマンスがあまり良くなくて。こんなプレーをしていたら外されてしまうと危機感はありました」

初戦とパナソニック戦を振り返ってください。

「あの2試合は、春からやってきたクイックにボールを動かすアタックをするというよりも、相手を研究してセットプレーで崩すイメージで、終始固い試合運びになってしまいました。僕自身も局面局面で迷いながらプレーしていたところがあり、判断がワンテンポ遅れたりしてしまって...。NTTコム戦は勝てて良かったです。パナソニック戦は、終始受けに回ってしまって、何もできなかったという印象で...」

パナソニック戦では京都産業大学の先輩でもある田中史朗選手が途中出場しました。同じSHとして田中選手のプレーはどのように写りましたか?

「史さん(田中史朗)だけでなく、先発の内田(啓介)さんも、走るタイミングやスピード、ゴール前でのFWの使い方など、うまいなと思いました。あの試合は悔しさしかありません。相手SHと圧倒的な力の差を感じて。僕の判断が正しければ、いい場面もあったのに、王者のプレッシャーに負けてしまって判断が狂ってしまった。練習では話し合っていたことが、試合ではできなかった。プレッシャーに押され、気持ちで負けていたのかなって。あの試合で、改めてSHは常に強気でプレーしないといけないと思いました。どんなプレーをするにしても、自分の判断が正しいと思って強気でプレーしないと。悔しい試合になりましたが、気づいたことも多かったです」

パナソニック戦以降の2試合(第3節 vs コカ・コーラレッドスパークス戦、第4節 vs トヨタ自動車ヴェルブリッツ戦)では、ボールがテンポよく動いていました。

「パナソニック戦の敗戦の後、橋本(大輝)さんやシュガーさん(佐藤貴志)、ニック(イーリ ニコラス)といったリーダーがジムと話し合ったり、チーム内でも何度かミーティングをしたりして、どういうアタックをするのか、再度確認して、全員が同じイメージを共有できるようになりました。僕もジムに意見を聞いて、コーラ戦からはできるだけ素早くクイックにボールを出して、アタックを止めないように意識するようになりました。特にトヨタ自動車との一戦は、みんながいい判断、いいパフォーマンスをしていたと思います」

パナソニック戦の敗戦がチームを変えた。

「そうですね。チームとして、どういうボールの動かし方をすればいいのか、迷っていたところがあったので、細かいところまで詰められたことが良かったです。ただ個人的に反省点としては、SHとSOは、ヘッドコーチがどういうラグビーをしたいのかを一番理解しないといけない立場だと思っていますので、事前にもっとジムと話をして、みんなに発信できていたらと悔やまれます。そうすれば、開幕戦からコーラ戦やトヨタ自動車戦のような試合ができていたのかなと。まだ2年目ですが、そういうことができるようにならないといけないと思いました」

これからウインドウマンスまで5連戦です。

「身体はしんどいですが(笑)、充実しています。昨シーズンはほとんど試合に出られなかったので、身体を動かしたくて仕方がなかった。今シーズンは痛い敗戦もありましたが、トップリーグで試合ができて楽しいですね」

メンタル面で収穫があったチーフス派遣

ところで、梁選手は春にチーフスへ2ヶ月間、派遣されましたが、ニュージーランドではどのような収穫がありましたか?

「フィジカルがとにかく強くて、ラックも激しい。そんな中でボールをさばけたのは、いい経験になりました。ただ、スキル面よりも、僕は、メンタル面で大きな収穫を得ました。チーフスでは、週に1度、田邊(秀樹)さん、沢居(寛也)さんと僕、3人一緒にメンタルスキルのセッションを受けていたのですが、そこで集中力の上げ方や試合に向けての気持ちの作り方などを教えてもらって。そのセッションでいろいろと気付くことが多かった。例えば、昨シーズン、僕は『9番で出る』ということを目標にしていたのですが、それが逆にプレッシャーになっていて、いいところでミスしたり、自分らしいプレーができなかったりして、またアンディー(アンドリュー・エリス)のことを、実際にすごい選手ではあるんですが、必要以上にすごいと思い過ぎてしまって、何かを学ぼうとか、盗もうとか、そんなことばかり考えてしまっていました。そういうことに気づかされて、結果がなんであれ、今、自分ができる一番のプレーをすればいいんだとなりました。春からは1つ1つのプレーを、自信を持って、練習でも試合でもやろうと臨んでいます」

気持ちの面での変化が大きかった。

「そうですね。帰ってきてからは、自信を持ってプレーできるようになりましたし、練習でも、これまで以上に声を出すなど、積極的にチームにコミットするようになりました。あと、メンタルスキルのコーチから、その日の練習や試合で、良かったこと、悪かったことを、なんでもいいからレビューするように言われたんです。それは今でも続けています」

いい経験してきたんですね。

「朝から晩までラグビー漬けの毎日。僕は、3週目に足首を怪我し、その後、3、4週間、練習に参加できなかったのですが、それでも毎日、楽しかったです。チーフスと並行して、練習に参加していたクラブチームは、ラグビーを好きでやっているという選手ばかりで、彼らと一緒にプレーしていると僕も楽しくなりましたし、チーフスでは、チームが南アフリカ、アルゼンチン遠征の時に、ノンメンバーと練習して、これがスーパーラグビーなんだと、レベルの高さを肌で感じて。高校の頃からずっとテレビでスーパーラグビーの試合を見ていて、いつかあの場所でプレーしたいと思っていたので、その気持ちがより一層強くなりました」

目標はスーパーラグビーでプレーすること?

「そうです!それは高校の頃からの目標です」

シュガーさん、アンディーは師匠であり、ライバル

好きな選手や憧れている選手は?

「ジョージ・グレーガンです。SHらしいSHだなと憧れていました。特にゲームメイクの部分がすごいなと。SHがゲームを作っている。アンディーもそう。そういう選手に憧れますね」

エリス選手の試合もよく見ていたんですか?

「高校生の頃から見ていました。僕にとってアンディーはスーパースターなんです。それもあって余計にすごい選手なんだと思い過ぎてしまったところはあります」

エリス選手からアドバイスをもらったりしないのですか?

「僕から聞きにいって教えてもらうこともありますし、アンディーから言ってくれることもある。アンディーも成長してもっと上手くなってほしいと言ってくれて。スーパースターですし、人間的にも素晴らしい人です。あとアドバイスという点では、シュガーさんもいろいろと教えてくれます。僕は、これまで悩んだり迷ったりした時に、自分で考えて答えを出してきたので、誰かに聞いたり、教えてもらったりすることがなかったんです。だけどコベルコスティーラーズには、経験豊富なシュガーさんやアンディーがいて、教えてくれる。おふたりは、僕にとって師匠であり、いいライバルです」

特に学びたいことは?

「やはりゲームメイク、ゲームコントロールの部分ですね。シュガーさん、アンディーを見ていて、重要な局面でこういうプレーをするんだと思うことも多くて。よく聞いたりしています。 その部分はまだまだなので、経験を積んで、身に付けていきたいです」

現時点での、梁選手の武器は?

「まずはディフェンス。タックルは中学から好きで、自信を持っています。それと声を出してFWを動かすところとSHから持ち出して仕掛けていくプレー。これからもそこをどんどん出していきたいです」

第5節以降も活躍を期待していますね。

「今シーズンは、自分のプレーを自信を持って強気にやり切ろうと決めていますので、それをぶれなくやっていきたいと思います!もちろん9番で試合に出続けられるようにしっかりアピールして、頑張ります!」

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