取材日:2025年3月23日
【試合レポート】 3月23日(日) NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25 第12節VS東京サントリーサンゴリアス
第7節のリベンジマッチは小瀧のラインアウトスティールから松永のトライで劇的な逆転勝利
秩父宮ラグビー場でNTTリーグワン2024-25 第12節東京サントリーサンゴリアス戦が行われ、コベルコ神戸スティーラーズが土壇場で試合をひっくり返し39-37で勝利した。
ホストゲームとして行われた第7節での対戦では後半追い上げを見せるも、一歩及ばず29-31で悔しい敗戦となった。今節はリベンジマッチである。前節で「80分間一貫性あるパフォーマンスをやり切る」というテーマのもと、自分たちのラグビーをやり切り、三重ホンダヒートに快勝した。今節も80分間精度高くプレーすること、それに加え、アグレッシブ・アタッキングラグビーを掲げる東京SGに対し、今シーズン強化してきたディフェンスで圧倒することをテーマに臨んだ。
SOガットランドのキックオフではじまった前半、いきなり神戸Sがチャンスを掴む。ハーフライン付近で反則を得ると東京SG陣22mライン付近でのラインアウトに。そこから展開し、CTBリトルからラストパスを受けたWTBモエアキオラが右コーナーに飛び込む。スタートダッシュに成功したかに思えたが、その3分後、SOガットランドのキックをWTBコルビがキャッチすると連続攻撃を仕掛けられてWTB尾崎にトライを献上。2連敗中で7位の東京SGにとってもプレーオフ進出に向けてこの試合は落とせない。意地と意地がぶつかり合う中で両チームともにPGで加点し、試合はシーソーゲームの様相を呈する。しかし、徐々に神戸Sのハンドリングエラーやタックルミスが目立つようになる。19分、自陣でのノックフォワードから繋がれて、CTB中野にトライを奪われると、23分にはテンポの良く攻撃を仕掛けられトライを献上。ゴールキックも決まり、8-20。もうこれ以上失点は許されない。SH日和佐が抜け出し、LOカウリートゥイオティがゴール前へと迫る。ここはサポートが遅れボールを奪われるも、すぐさまNO8ララトゥブアが絡んで反則を奪う。ゴール前ラインアウトのチャンスにスタンドのスティールメイツは沸き立つが、HOターナーの放ったボールはノットストレート。その後も敵陣深くでプレーするものの、ハンドリングエラーが出てスコアに繋がらない。もどかしい時間が続く中で、34分、ハーフライン付近でボールを奪い取ると、パスを繋いで最後はLOレタリックが30m走り切りトライ。前半終了間際にはゴール前ラインアウトからモールを押し切ってHOターナーがグラウンディングし、20-20で折り返した。
前半は攻守で精度が低く苦しい展開にし、ハーフタイムには「簡単なミスを無くそう」と声が上がった。勝負の後半だが、先にスコアしたのは東京SG。自陣でハイタックルの反則を犯すと、4分、ゴール前ラインアウトからサインプレーを決められてトライを許す。さらに8分にもPGで加点され、20-30に。相手の勢いあるアタックを前になかなか反撃の糸口が見えない中で、17分、途中出場のWTBブルアが自陣10mライン付近でボールに絡んで反則を奪って、ようやく敵陣へ。さらに立て続けに反則を得て、20分にはNO8山本にイエローカードが提示され、神戸Sは数的優位な状況となる。21分、FWで繋いでゴール前まで迫ると最後はLOレタリックがこの日2本目のトライをマークする。31分にもSOガットランドのキックパスからWTBモエアキオラのトライが生まれて逆転。難しい角度のゴールキックを決めて、34-30に。しかし、怪我人が多く今シーズン苦しい試合が続く東京SGではあるが、そう簡単には勝たせてくれない。35分、ハーフライン付近で神戸Sが反則を犯すと、ゴール前ラインアウトからFW攻撃を仕掛けられて、ゴール中央ラックから途中出場のSH福田が飛び込み、再びゲームをひっくり返される。残り時間はあとわずか。神戸Sは反則から敵陣22m付近でマイボールラインアウトを得る。サインプレーからHO松岡へとボールが渡りタッチライン際を走り抜けるも、相手に押し出されてしまう。万事休すか。そう思ったスティールメイツも多いことだろう。だが、神戸Sは諦めない。攻守が入れ替わり、東京SGボールラインアウトに。ここで途中出場のLO小瀧が右手を伸ばして殊勲のスティールを見せる。HO松岡がボールを受けて、NO8サウマキ、SOガットランド、CTBラファエレ、CTB李とテンポよく繋ぎ、ラストパスを受けたWTB松永がトライラインを駆け抜けトライ!ホーンが鳴り響く中でSOガットランドのキックは外れるも、神戸Sが37-39で劇的勝利を収め、NO8サウマキのリーグ戦通算50試合出場を白星で飾った。
試合後、レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(以下、HC)は
「試合を通じてパフォーマンスが悪かったですし、特に前半30分は相手に圧倒されていました」と苦い表情。今シーズン強化し、武器の1つであったディフェンスもミスタックルが多いなど「良くなかった」と述べ、アタックに関しても「敵陣22mライン内に入ってもミスが多くスコアまで持っていくことができなかった」と振り返る。それでも「前半20-20で折り返して、最後に勝ち切ることができました。これまで拮抗した展開の試合を落としてきています。パフォーマンスは良くなかったですが、勝ちをモノにできたことが収穫です」といい、最後まで諦めない姿勢を見せた選手を讃えた。
共同キャプテンの李は、試合を決めたWTB松永のトライについて
「コルビ選手が間に入ってきたので、パスダミーをして自分で走るか迷いましたが、外が空いているというコールがあったので、(松永)貫汰さんにパスをしました。内側にいたティム(ラファエレ ティモシー)とブリン(・ガットランド)がうまく仕掛けてくれてスペースができましたし、ラインアウトをスティールしてくれたことに感謝です。トライを取り切ることができて良かった」と安堵した。
今節は攻守でミスが多く、80分間自分たちのラグビーが精度高くやり切ることができなかった。また、この試合に向けてのテーマであったディフェンス面でも李は「東京SGのスピード、テンポあるアタックを前に、本来のディフェンスで圧倒することができなかった」と反省の弁。そんな中でプレーオフ進出に向けて大事な一戦に勝てたことが大きい。
スクラムで反則を取るなど今節でも持ち味を発揮したベテランの山下(裕)も「勝って反省できることが一番」と笑顔を見せる。
「今日の試合から学んだことを成長に繋げて、次節は今節よりも良いチームになれるようにします」(李)
リーグワンがはじまってから6連敗中という難敵を相手に勝ち切ったことは、大きな自信に繋がるはずだ。リーグ戦も残り6試合となり、3分の2を消化した。神戸Sはこれからも成長の歩みを止めず、上位浮上を目指す。
SH日和佐 篤
「相手には日本で一番上手いSHがいます。流選手に仕事をさせないことが鍵になってくるのですが、彼から良いテンポのアタックが生まれましたし、自分たちにミスが多く出て、難しい試合にしてしまいました。ただ、そういう難しい試合に勝って、学べたことが一番の収穫です。自分たちがどういう状況になればバタバタするのか、どういう状況になれば良いプレーができるのかが理解できたと思います。今日の試合は良い教訓になりました。まずは勝てたことを喜んで、また次節に向けて準備をしていきます」
WTB松永 貫汰(プレーヤーオブザマッチ受賞)
「ラインアウトを小瀧さんがスティールしてくれてカウンターアタックに繋げることができました。カウンターアタックはよく練習しているところなので、それをそのまま出せてトライになり嬉しいです!試合内容については、ポジショニングが明確になっていなくて、タイミングが悪かったり、ラインが浅くなっていたりして、そこでハンドリングエラーが多く出てしまいました。ただ、攻守でミスが多かったですが、そこで20-20で折り返せましたし、試合を通じて焦りはなくて。後半、最初にスコアされて、もつれた試合になりましたが、チャンスで仕留め切ることができたことが勝利の要因です。今節はプレーオフ進出に向けて大事な一戦になるとミーティングでも話していたので、勝てたことはとても大きい。ただ、リーグ戦はまだ続きます。今日の試合で得たものを繋げないといけません。チームは練習でやっていることをそのまま試合でも精度高く出せるようにならないといけないですし、個人としてもディフェンス面もアタック面も改善できるところがあります。特にコミュニケーションはさらに良くしていけますので、内側の選手に余裕を持ってプレーさせられるようにしていきたいと思います」
〜NEXT GAME〜
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25第13節
3月30日(日)14:30 KICK OFF
コベルコ神戸スティーラーズVSリコーブラックラムズ東京
@秩父宮ラグビー場
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〜NEXT HOSTGAME〜
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25第14節
4月6日(日)14:30 KICK OFF
コベルコ神戸スティーラーズVS東芝ブレイブルーパス東京
@神戸総合運動公園ユニバー記念競技場
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