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【レポート】9月15日(日)「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024ファイナルシリーズ」準決勝 日本代表vsサモア代表に松岡 賢太選手、ティエナン・コストリー選手、李 承信選手が出場しました
プールBでカナダ代表、アメリカ代表を破った日本代表は、9月15日(日)東京・秩父宮ラグビー場にて開催の「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024 ファイナルシリーズ」準決勝でプールA2位のサモア代表(世界ランキング13位)と対戦しました。2019年大会以来、5年ぶりの優勝を目指す日本代表の負けられない一戦に、コベルコ神戸スティーラーズから李 承信選手が先発出場、松岡 賢太選手、ティエナン・コストリー選手がリザーブ入りしました。この試合は李選手がFB、立川 理道選手(S東京ベイ)がラグビーワールドカップ2015イングランド大会以来、9年ぶりに『10番』を背負うことに。
メンバー発表の記者会見でエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは、李選手のFBでの起用について「所属する神戸スティーラーズでもFBでプレーし経験があります。思い切りのよい判断に期待したい」とコメント。試合に出れば日本代表デビューとなる松岡選手については「小さいフッカーですが、タフな選手です」と評価していました。
真夏を思わせる強い日差しと強風の中で、試合はFB李選手のキックオフで開始。序盤から日本代表は敵陣で攻め続け、6分、李選手のディフェンスの裏へのキックをディラン・ライリー選手(埼玉WK)がキャッチし、そのままゴールラインまで走り抜け先制トライ。さらに10分には認定トライで7点を加点し、14-0に。11分、サモア代表の力強いプレーからトライを献上しましたが、試合は日本代表ペースで進みます。16分には、李選手がボールを足にかけ、右端に立つWTB長田 智希選手(埼玉WK)にボールをつなぐと、インゴールへ一直線。李選手のキックから再びトライが生まれ、21-7に。その後、サモア代表に2本続けてPGで得点され、21-13とされますが、前半終了間際、サモア陣22mライン付近のマイボールラインアウトからテンポよくアタックを継続し、最後はゴール前ラックからSH藤原 忍選手(S東京ベイ)、SO立川選手と繋いで、最後は李選手がパスを受けて、左端へトライ。李選手のゴールキックも決まり、28-13として前半を折り返しました。
後半も先にスコアしたのは日本代表。4分、自陣でのターンオーバーから李選手の裏へのキックをWTB長田選手が反応しボールを確保するとすぐさまサポートしていた李選手へ。さらに、FL下川 甲嗣選手(東京SG)にパスを繋いで、ディフェンスを振り切りトライ。ゴールキックも成功し、35-13とリードを広げました。その後、お互いに1本ずつトライを決めて42-20。21分、FLティエナン・コストリー選手がピッチへ。22分、司令塔を務めた立川選手が交代し、李選手がスタンドオフのポジションに。32分、サモア代表にキックカウンターからトライを奪われて、42-27とされますが、35分、この試合が代表デビューの松岡 賢太選手がついに投入されます。「短い時間でどれだけアピールできるのか。それしか考えていなかったです」という松岡選手が気合十分の表情でサモア陣22mライン付近での相手ボールスクラムへ。相手のアーリーエンゲージでFKを得ると、速攻を仕掛ける日本代表。粘り強く攻撃し、ゴール前まで迫ると相手はたまらず反則を犯します。ここで日本代表は前半から優位に立つスクラムを選択。ゴール前左中間スクラムから右へと展開し、最後は李選手のロングパスを受けた途中出場の高橋 汰地選手(トヨタV)がトライ。李選手のゴールキックも決まり、49-27でノーサイド。日本代表はサモア代表とのテストマッチ史上最多得点、最大得点差で見事勝利を飾り、決勝戦へ。また、すべてのゴールキックを決め、キックやパスでトライシーンを演出し、自らも1トライをマークした李選手がプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝きました。
松岡 賢太選手
「今日はファーストキャップを獲得することができ、嬉しかったですし、これまでサポートしてくれた家族やいつも応援してくれるスティールメイツに対し感謝の気持ちでいっぱいになりました。出番は後半35分からでしたが、アピールしようと思いグラウンドに入りました。スクラムではペナルティを取ることができましたし、ボールキャリーもできて。5分という短い時間でしたが、楽しかったです。とはいえ、リザーブで満足はしていません。チーム内でのポジション争いに勝って、『2番』で出場したいという思いがより強くなりました。実は土曜日、パリ・パラリンピックの車いすラグビーで初めて金メダルを獲得した池(透暢)さんから話を聞く機会がありました。池さんは事故で友人を亡くし、ご自身は片足を切断することになり、片腕も自由に動かすことができなくなったそうです。絶望の中で亡くなられた友人のために立ち上がり頑張ってこられた話に感銘を受けて。僕も限界をつくらずに毎日挑戦して、日本代表でスタートから出られるようにしたいですし、神戸スティーラーズでもたくさん試合に出て、優勝したい。日本代表やチームでこれまで以上に活躍してスティールメイツの皆様に日頃の応援の恩返しができるよう頑張ります!」
ティエナン・コストリー選手
「サモア代表に関しては、フィジカルの強いチームです。そういうチームに対して攻守においてコンタクトシュチュエーションで負けないように1週間良い準備ができていました。個人的には、今日はリザーブでの出場となりました。暑い中での試合ですし、グラウンドに入ったら声をかけたり、プレーではいち早く立ち上がったりして、みんなをエナジーアップできるように意識していましたが、スタートから出ていた選手がいい仕事をしてくれて、勢いに乗っていけました。決勝戦のフィジー戦も良い準備をして、勝てるよう頑張ります」
李 承信選手
「1週間、FBとしてプレーする準備してきて『10番』に入ったハルさん(立川 理道)、SHの(藤原)忍さんとコミュニケーションを取りながら、うまく試合を運ぶことができました。エディーさん(エディー・ジョーンズ)からはFBに入っても『10番』と同様にゲームコントロールしてほしいと言われていて。特にエッジ(タッチライン際)アタックをコントロールすることを意識していました。それと、今日は風が強かったのですが、風に関しては前日練習の時からわかっていたので、風下では順目にボールを動かしながら、コンテストキックを使っていこうと事前にハルさんと共有できていました。相手のディフェンスのラインスピードが速く裏のスペースが空いていると分析していたので、キックを使ってスコアに繋げられた場面もあって良かったです。ただ、後半、自分のキックから相手にカウンターアタックを仕掛けられてトライに繋がってしまって。タッチに蹴り出すべきだったなと反省すべき1本になりました。キックゲームについては、常に成長させないといけないと感じている部分なので、引き続きレベルアップしていけるようにしていきます。『15番』での経験はスタンドオフでのプレーにいかすことができます。ラグビープレーヤーとして成長できる良い経験をさせていただいていますし、今日はチームとしても、個人としてもポジティブな結果に終わり、自信を持てるゲームになりました。決勝戦も良いゲームができるよう頑張ります」
試合後の記者会見でエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは「サモア代表は、PNCで対戦したこれまでの2チームよりも強力です。そんなチームに対し、向い風の中で序盤から良い形で試合を進めることができ、ステップアップできた試合になりました」とコメント。プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた李選手については「ラインに仕掛けて、ゴールキックも良かったです。23歳と若い選手ですが、落ち着いてプレーしています。FBにもいい形で順応できています」と高く評価していました。
決勝は、9月21日(土)大阪・東大阪市花園ラグビー場にてアメリカ代表を破ったフィジー代表との戦いとなります。フィジー代表戦に向けて「今日出た課題はラック周りのディフェンスとキックチェイスです。フィジーは質の高いチームですので、良い準備をして臨まなくてはいけません」とジョーンズ日本代表ヘッドコーチは話していました。
PNCも残り1試合。日本代表とともに頂点目指して盛り上がりましょう!