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【レポート】9月7日(土)「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024」日本代表vsアメリカ代表にティエナン・コストリー選手、李 承信選手が出場しました
8月25日(現地時間)、敵地で開催の「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024」の第1戦でカナダ代表戦に勝利した日本代表。
この大会は、参加6チームがA(フィジー、サモア、トンガ)、B(日本、アメリカ、カナダ)2つのプールに分かれて総当たり戦を行い、プール1・2位が準決勝、3位が5・6位決定戦に進出します。
大会が始まる前にオンライン会見で李選手は日本代表のターゲットを聞かれ、「パシフィックネーションズカップ(PNC)は必ず勝利して優勝しないといけません」と決意していました。そのためには、第2戦で日本代表と同じくカナダ代表に勝利したランキング19位のアメリカ代表(日本代表は14位)を倒さなければいけません。
前回のワールドカップは予選で敗退し出場してはいませんが、アメリカ代表はフィジカルが強く、キックを多用してくるタフなチームです。日本代表は『超速ラグビー』を見せることはもちろん、フィジカルでも相手を凌駕すると誓っていました。
この一戦に、カナダ戦に続いてコベルコ神戸スティーラーズからFLティエナン・コストリー選手、SO李 承信選手が先発出場。
1万人を超えるラグビーファンが見守る中で行われた試合は序盤から日本代表がクイックにボールを動かし、スピード感あふれる『超速ラグビー』を見せます。攻撃のタクトを振るうSO李選手のゲームコントロールも冴え渡り、得点を重ねていく日本代表。
まずは5分、敵陣ゴール前中央で反則を得るとPGで先制。15分にはアメリカ陣10mライン付近日本ボールラインアウトからバックスへ。SH藤原 忍選手(S東京ベイ)からパスを受けた李選手が素早くキックを蹴るとCTBディラン・ライリー選手(埼玉WK)がキャッチし、サポートしていたCTBニコラス・マクカラン選手(トヨタV)へとボールが渡り、インゴールへ。李選手のゴールキックも決まり10-0に。18分、アメリカ代表にPGで得点されるも、直後のキックオフをマイボールにすると日本代表はアタックを開始。23分、ゴール前での相手の反則から藤原選手(S東京ベイ)が速攻を仕掛けてFWが力強いプレーで前進すると、最後はLOサナイラ・ワクァ選手(花園L)がグラウンディング。ゴールキックも決まり、17-3とします。その後、アメリカ代表に自陣ゴール前ラインアウトからモールを押し込まれトライを献上。ゴールキックも決まり、17-10に。7点差に迫られ、もうこれ以上得点を与えたくない日本代表は、李選手のふわりと蹴り上げたキックオフのボールをライリー選手が競り勝ちマイボールにするとアタックを継続。相手の反則もあり、ゴール前へと迫ると、再び藤原選手が反則から素早く速攻を仕掛けて、最後は途中出場のHO原田 衛選手(BL東京)がトライ。24-10で前半を折り返しました。
後半も最初に得点したのは、日本代表。5分、ライリー選手が自陣10mライン付近でパスを受けると圧倒的なスピードで相手を抜き去り、60m独走トライ。ゴールキックも決まり、31-0。しかし、ここから日本代表は我慢の時間へ。11分、18分と立て続けにトライを許し、31-24と7点差に。途中出場の日本代表キャプテンSO立川 理道選手(S東京ベイ)がハドルの中で「相手にしっかりプレッシャーをかけていこう」と声をかけ、チームを落ち着かせると、日本代表は勢いを取り戻します。22分、PGで加点し、34-24に。さらに、ハーフライン付近でのスクラムで反則を獲得すると、22mライン付近でのマイボールラインアウトのチャンス。立川選手、ライリー選手とオフロードパスを繋ぎ、最後はWTBマロ・ツイタマ選手(静岡BR)がインゴールへ。李選手のゴールキックも決まり、41-24。日本代表はアメリカ代表を破り、プールB予選リーグ1位で準決勝進出を決めました。
ティエナン・コストリー選手
「フィジカルの強いアメリカ代表に勝利できたことは良かったです。少しずつ『超速ラグビー』が向上していると感じていますし、フィジカルの部分でも相手を圧倒できたところもありました。ただ、モールを押し込まれて簡単にトライを奪われてしまい、モールディフェンスは修正しなくてはいけません。個人としてはキャリーもクリーンアウトも良くて、自信を得ることができました。チームは優勝を目指しているので、準決勝はマストウィンです!サモア代表との準決勝に向けてしっかり良い準備をして臨みます」
李 承信選手
「相手の強みであるフィジカルで負けないことと、カナダ代表との試合に続いてボールを動かすことをテーマに掲げ、アメリカ代表戦に臨みました。FWがしっかりプレッシャーをかけてくれましたし、前半から取り切る場面でトライをきっちりと取れたことも良かったです。後半は9番15番とコミュニケーションを取りながらキックを使って敵陣で戦うことができました。個人的にはキックゲームは苦手としていたのですが、良い形でゲームを進めることができ手応えを感じています。また今日は立川さんがグラウンドに入ってからフルバックでプレーしました。日本代表でスタンドオフ以外のポジションでプレーするのは初めてのことです。昨シーズン、神戸スティーラーズの試合でフルバックをした経験をいかすことができて、良い感触を得ました。準決勝のサモア代表戦もキックを使うところやボールを動かすところ、アタックの緩急などを意識して、周りとコミュニケーションを取りながらしっかりゲームコントロールしていきたい。また、サモア代表は個人の能力が高いチームです。フィジカルに加え、プレーの精度をさらに高めていかないといけません。サモア代表とは昨年、札幌で行われたテストマッチでは22-24という僅差で敗れ、ワールドカップでは勝利しましたが、個人的には4分しか出番がなくて悔しさがあります。勝って、PNC優勝に向かって勢いに乗れるようにしていきたいと思います」
試合後の記者会見でエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは「アメリカ代表は、日本代表と同じく若いチームですが、アメリカのラグビーは伸びていると実感しました。カナダ代表、アメリカ代表戦とPNCを望んでいた形で勝ち進むことができています。ただ、まだまだチームは修正するべき点や課題も多いです。そんな中で今日は藤原、李が良いプレーをして、チームを一歩前に進めてくれました」とHB団のパフォーマンスを評価していました。
9月に入ったとはいえ、気温が高く蒸し暑い中で行われた試合となり、日本代表はハンドリングエラーも多く重ねてしまいましたが、新生エディー・ジャパンの国内で上げるテストマッチ初白星です。
キックを使ってのゲームコントロールに手応えを得た李選手、そして「コーチ陣からパフォーマンスを褒めてもらいました!」と声を弾ませていたコストリー選手。両選手にとって自信を深めたPNC第2戦となった様子でした。
準決勝は、9月15日(日)東京・秩父宮ラグビー場にてプールA2位のサモア代表と対戦します。2019年大会以来、5年ぶりの優勝を目指す日本代表の応援をよろしくお願いします!