チーム
【ニュージーランド武者修行レポート】日下 太平選手編
マナワツ・ターボス(ニュージーランド)に派遣され、8月9日から幕を開けるニュージーランド州代表選手権(NPC)出場を目指す前田 翔選手、日下 太平選手、アタアタ・モエアキオラ選手。武者修行レポート第1回目は、高校時代をクライストチャーチボーイズハイスクールで過ごした日下選手が担当。6年ぶりにラグビーの本場で汗を流す日下選手が、NPC開幕を控え、プレシーズンマッチで得た手応えや目標などを語ってくれました。(取材日:7月30日)
6月30日に日本を出発し、1か月が経ちました。
成田からオークランドへ向かう飛行機では、前日行われたJAPAN XV vs マオリ・オールブラックスを観戦していたDC(ダン・カーター)と偶然一緒になって!DCからは「頑張って!」と声をかけてもらいました。
DCと再会し、幸先の良いスタートとなったマナワツ・ターボスでの武者修行ですが、まず生活のことから紹介します。
チームのあるパーマストンノースは、オークランドから飛行機で1時間。北島南部の街で、ビーチが綺麗なネーピアや首都のウェリントンには車を使えば2時間ほどで行けます。街には、ナニ(・ラウマぺ)、ディフェンスコーチのウェスリー・クラーク、ジョーさん(ジョー・ラッシュアシスタントマネージャー)が住んでいて、ナニとは初日に食事をしに行きましたし、ウェスリーは個人練習にもよく付き合ってもらっていています。特に僕はディフェンスとスピードが課題だとコーチ陣から指摘されたこともあり、心強い存在です。
僕ら3人は、今、グラウンドの近くにある、チーム関係者の家に住んでいます。とても大きな家で、僕らがそれぞれ1部屋ずつ使っても空いている部屋が5つほどあるくらい。食事は基本的には自炊していて、時々、僕が作った料理を(前田)翔に振る舞っています。
ニュージーランドは、クライストチャーチボーイズハイスクールを卒業して以来になりますが、本当に何も変わっていなくて!
スーパーマーケットでよく買っていたプロテインバーやライスクラッカーなどのパッケージも当時のまま。あと、クライストチャーチとパーマストンノース、街は違いますが、あちこちに芝のラグビーグラウンドがあるのは同じです。それに、こちらに着いてからクラブラグビーの準決勝を観戦したのですが、応援が熱狂的で、やっぱりニュージーランドは国をあげてラグビーが好きなんだな、ラグビー王国だなと改めて思いました。
ラグビーについては、Aチームにあたる「マナワツ・ターボス」は、フルタイムのプロ選手がほとんど。若い選手が多くて、スーパーラグビーのチームでプレーすることや、さらにその先にはオールブラックス入りを目指していることもあり、皆、意識高くハングリーに練習に取り組んでいます。
僕は、マナワツ・ターボスにスタンドオフが3人いることもあり、現時点(取材日は7月30日)でBチームの「マナワツB」に振り分けられているのですが、プレシーズンマッチではAチームの試合に出場することもありました。
練習は水曜を除いて平日は、毎日、マナワツ・ターボスで朝7時くらいから夕方くらいまでトレーニング、ミーティング、個人練習とみっちりやっています。加えて、週に2日、18時から2時間、マナワツBのトレーニングにも参加し、週末に試合というスケジュールで、ニュージーランドに来てから、まさにラグビー漬けの日々(笑)。
それから、マナワツ・ターボスはチームアクティビティで消防署を訪問したり、チームバーベキューをしたり、とても楽しいですね。
ラグビースタイルに関していうと、神戸でやっているシステムとはまったく違っていて、慣れるまでかなり大変でした。今もまだ完全にはシステムを覚えきれていないのですが、新しいラグビーを経験することで、違った視点を得られますし、神戸に戻った時に必ずプラスになる。チャレンジだと思い、必死に取り組んでいます。
プレシーズンマッチには2試合出場しました。最初の試合は、マナワツBで『10番』を付けて出たのですが、とにかく楽しくて!
今回のニュージーランド派遣にあたり個人的に掲げている目標が、NPCに出場することとラグビーを楽しむことです。
神戸スティーラーズでも、もちろん楽しんでプレーしているのですが、ミスをしてはいけないというプレッシャーやアピールしたいという思いが強くて。
一度、自分のプレーしている姿を動画や静止画で見た時、追い詰められた怖い表情で、楽しそうな顔をしていないなと思って…。
神戸スティーラーズのチームビジョンは『SMILE TOGETER』です。みんなを笑顔にするには、まずはプレーしている自分が楽しまないといけません。ニュージーランドにいる間は、ミスを恐れず、シンプルにラグビーを楽しもうと思っています。
そういう意味では、初めて出たプレシーズンマッチは結果的には負けてしまいましたが、のびのびとプレーすることができました。しかも、その試合までに2回しかチームで練習をしていなかったのですが、周りの選手のサポートもあり、楽しみながらプレーでき、充実感を得られて。
2試合目は、マナワツ・ターボスとタスマン・マコとの一戦です。この試合はフルバックで途中出場となったのですが、ボールを持つ機会がほとんどなくて、2試合目に関しては消化不良です。それにフルバックは経験がないこともあり、プレーする難しさを感じました。ただ、今後もマナワツ・ターボスでフルバックに入る可能性はあるので、良い経験になると前向きに捉えて取り組んでいます。
8月9日からいよいよNPCが開幕します。マナワツ・ターボスの初戦は11日、ホームでタスマン・マコとの対戦で、そこから10月5日まで全10試合を行います。
今回、ニュージーランドへ派遣していただき、本当に嬉しかったですし、期待されていることを感じました。レンズ(デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ)をはじめとするコーチ陣の期待に応えられるよう、自分の課題に向き合いつつ、スタンドオフやそれ以外のポジションに入っても結果をしっかり残して、NPCに1試合でも多く出場したいと思います。
そして、もう1つの目標である『楽しむこと』を忘れずにプレーしたい。
ニュージーランドで得た経験をチームに戻った時に活かすことができるよう、日々楽しみながら頑張ります!