取材日:2026年6月10日
2025-26シーズン 退団選手インタビュー Part.3 NO8アーディ・サベア選手
2023-24シーズン、攻守において圧倒的なパフォーマンスを発揮し、前年度9位から5位へと順位アップに貢献したアーディ・サベア選手が、2025-26シーズン、再びコベルコ神戸スティーラーズの赤いジャージーを身に纏って躍動しました。リーグワン初優勝に牽引する活躍を見せたサベア選手が、自身にとって2度目のリーグワンを通じて感じたことや得られられたものは。そして、トータル2シーズン所属した神戸Sに対してメッセージを送ってくれました。
「兄弟たちにはラグビーを楽しむことを忘れないでほしい。
その上で来シーズン、連覇を目指して突き進んでほしい」

アーディ・サベア
ARDIE SAVEA
PROFILE
- 生年月日/1993年10月14日生まれ(32歳)
- 出身地/ニュージーランド・ウェリントン
- 経歴/ランゴタイカレッジ→ ウェリントン→ハリケーンズ→コベルコ神戸スティーラーズ→モアナ・パシフィカ
- ポジション/NO8
- 代表歴/ニュージーランド代表(106キャップ)※2026年6月30日現在
- 2025-26シーズンまでの神戸Sでの公式戦出場回数/33
2度目の神戸Sで過ごしたシーズンは達成感しかない
今シーズンを振り返って、どのような感情が湧き上がっていますか。
「神戸という場所で半年を過ごし、愛おしい時間だったなと思います。神戸という街、ひいては日本で、素晴らしい人たちに出会って、チームでも愛すべき兄弟たち(チームメイト)と一緒にラグビーをして、リーグワン優勝という大きな目標を達成することができました。また、グラウンド外ではいろいろな場所を訪れて、さまざまな日本食にも挑戦しました。食をはじめ、日本の文化に恋に落ちるような感覚を覚えています。妻も子供たちも日本が大好きですし、改めて神戸Sで再びプレーできて良かったと心から思います」
2023-24シーズンにプレーした時と今シーズンを比べて、チームの変化は感じられましたか。
「間違いなくチームの成長を感じました。一番嬉しかったことは2023-24シーズンに所属していた選手がレベルアップしていたことです。その上でチームをリードする姿勢を見せてくれて、頼もしく感じました。また、私が前回プレーした時はレンズ(デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ)の体制になって1年目でした。大きなことを成し遂げるには時間がかかります。レンズのもとで取り組んできたことが体に染み込み、自信を持ってプレーしていると感じられました。時間をかけて準備してきたことが今シーズンのパフォーマンスに繋がって優勝を達成できたのだと思います」
サベア選手にとってリーグワン優勝を達成したこととは。
「兄弟たちと大きなことを成し遂げることができて達成感しかありません。しかも、この優勝は私たちが掴み取ったものではありますが、チームだけのものではありません。2023-24シーズンと今シーズン、神戸Sでプレーし、街、母体である神戸製鋼所、スティールメイツ、パートナー企業の皆様方との絆の強さを感じました。優勝は、このチームを支えてくださる方々と共に手にしたタイトルです」
優勝の瞬間、チーム最年長の大ベテラン、山下 裕史選手と抱き合っていたのが印象的でした。
「ヤンブーさん(山下 裕史)のことは『先輩』と呼んで慕っています。ヤンブーさんは本当に素晴らしい人間性の持ち主です。決勝はヤンブーさんをはじめ、兄弟たちのためにプレーしようと思っていました。彼と抱き合って優勝の喜びを分かち合えて最高の瞬間になりました」
ヤンブー先輩から学ぶことも多かった
山下選手のどういうところに人間性の素晴らしさを感じたのでしょうか。
「ヤンブーさんの行動に感銘を受けることが多かったです。長い間キャリアを重ねてきた大ベテランにもかかわらず、朝一番にクラブハウスに足を運んでトレーニングをして、掃除についても、若い選手がやるべきことなのに、先頭に立って動き続けます。それと試合に向けての準備も常に一貫性を持って取り組んでいます。グラウンド内では妥協を許さずラグビーに打ち込んでいますが、グラウンドを出て楽しむとなると美味しいものを食べて笑って、オンとオフの切り替えが上手です。とんでもなく素晴らしい人間だなと思って、彼のような選手と一緒にプレーできていることに胸を打ちましたし、彼の行動は学びになりました」
サベア選手自身が若手に示したかったことは。
「私自身、周りとコネクションを持ち、自分のやるべきことにフォーカスして取り組んできました。ヤンブーさんと同じように、私も行動で示してきました。グラウンド内外で自分の役割を全うすることが、パフォーマンスの向上に繋がり、チームを前に進めていくと思っています。それが伝わっていたら嬉しいですね」
第17節三重ホンダヒート戦ではウォーターボーイをしていましたね。
「チームに対してサポートしたいという気持ちがあるので、試合メンバーから外れたこともあり、ウォーターボーイを名乗りでました。ですが、もうやりたくないですね(笑)。兄弟たちと一緒にプレーするのが一番ですから」
サベア選手がプレーする上で大事にしていることや意識していることを教えていただけますか。
「ゲームから離れる時は、自分がどれだけラグビーから距離を取れるかを意識しています。家族との時間を大事にして、良い夫、良い父親になるよう、家庭にラグビーを一切持ち込まないようにしています。そうすることで心身ともにフレッシュな状態になってグラウンドに向かうことができますから。オンとオフのメリハリをつけることは大事にしています」
共同キャプテンを務めるブロディ・レタリック選手が最多トライゲッター、MVP、ベストフィフティーン、プレーヤー・オブ・ザ・シーズンと4冠を達成しました。サベア選手の目にはレタリック選手の今シーズンのパフォーマンスはどう映りましたか。
「これまでオールブラックスや2023-24シーズンにもガズラと一緒にプレーしてきましたが、今シーズンのパフォーマンスは一番良かった。彼のような選手とチームメイトとしてプレーできたことは、私にとっても学びが多かったです」
次回神戸Sでプレーする時は長くコミットしたい
日本には『2度あることは3度ある』という諺があります。ご自身にとって3度目となる神戸Sでプレーする可能性はあるのでしょうか。
「もちろん、あります!神戸の街が大好きですし、チームのことも大好きです。チャンスがあれば、また神戸Sでプレーしたいと思います」
その時は1シーズンではなく、もっと長くチームに所属してプレーしてほしいとスティールメイツも願っていることと思います。
「今回も前回も6ヶ月という短い時間しかチームにコミットできなかったので、もし次があればもっと長くプレーしたいと思います。数年チームと共に活動できれば、よりインパクトを与えることができますし、リードをすることもできます。今シーズンも経験ある選手の1人として共同キャプテンのガズラや(李)承信をサポートしてきましたが、さらに良い形でチームに貢献できると思います。6ヶ月だとプレシーズンの間、チームメイトと過ごすことができないですし、準備の面でも試合をしながらスタイルに順応していくことになります。現状ではサバティカル制度(代表資格を保持したままニュージーランドラグビー協会の許可を得て、1シーズンだけ海外のクラブでプレーできる特別条約)を利用してのリーグワンでのプレーになりますので、ラグビーワールドカップ2027オーストラリア大会まではオールブラックスに集中して、その後のことはまた考えたいと思います!」
サベア選手自身にとっての今後の目標というのは。
「先を見ないで、目の前のことに集中したいと思っています。オールブラックスとしての活動がはじまるまでは、家族と良い時間を過ごしてプライベートを楽しみたい。その上で中長期的なことに触れると、7月からはテストマッチがはじまりますので、そこに向けて良い準備をしていきます」
来シーズン、新しい体制のもとで連覇を目指すことになります。チームメイトにメッセージをお願いします。
「楽しむことは忘れないでほしいですね。一貫性を持って取り組んで、そして、ラグビー自体を楽しんでもらいたい。どれだけ楽しむことができるのかを意識して、そして、来シーズン、再びリーグワンの頂点に立ってほしいと思います」
今シーズンも熱い声援を送ってくれたスティールメイツにメッセージをお願いします。
「スティールメイツに対して感謝の気持ちでいっぱいです。2023-24シーズンも熱い応援で後押ししてくれましたが、今シーズンはその時以上に熱く大きな声援を送っていただきました。決勝は東京での試合にかかわらず、たくさんのスティールメイツが駆けつけてくれて、まるで神戸で戦っているような感覚になりました。皆様の声援があったから優勝することができました。これからも兄弟たちとチームのサポートをよろしくお願いします!」

