取材日:2026年6月13日
2025-26シーズン 退団選手インタビュー Part.1 HOアッシュ・ディクソン選手
スーパーラグビーで100試合以上に出場し、日本でもNECグリーンロケッツ東葛等で活躍した大ベテランのアッシュ・ディクソン選手が2025-26シーズン、コベルコ神戸スティーラーズへ。チームのラグビーにすぐにフィットし、NTTリーグワン2025-26は先発12試合を含む15試合に出場し、優勝に貢献しました。1シーズンだけの所属ではありましたが、陽気で周りの雰囲気を明るくするキャラクターで、若手からも慕われる存在でした。そんな彼が神戸Sで学んだことや感じたことを語ります。
「神戸Sは選手が成長する環境が整っているチーム。
キャリアの最終盤に神戸Sでプレーできて幸せでした」

アッシュ・ディクソン
ASH DIXON
PROFILE
- 生年月日/1988年9月1日(37歳)
- 出身/ニュージーランド・クライストチャーチ出身
- 経歴/クライストチャーチボーイズ高校→ホークス・ベイ→ハリケーンズ→ハイランダーズ→パナソニック ワイルドナイツ(当時)→ハイランダーズ→NECグリーンロケッツ東葛
- ポジション/HO
- 2025-26シーズンまでの神戸Sでの公式戦出場回数/15
ベテランながら学びの多いシーズンになった
神戸Sで過ごした1シーズンはどうでしたか。
「リーグワン優勝を経験できましたし、かけがえのない時間となりました。神戸という街もチームメイトも素晴らしくて、毎日が楽しかったです」
ディクソン選手が感じた神戸スティーラーズの魅力というのは。
「コーチングスタッフを含めた環境の素晴らしさだと思います。環境が素晴らしいから選手は成長できます。特に若手にとっては、成長するための最高の環境が整っていると感じました。ワールドクラスのコーチングスタッフから指導を受けて、メディカルスタッフからも手厚いサポートを受けられる。もちろん、キャリアを積み重ねた選手にとっても最高の環境で、私もチームの一員になったその日からスタッフのサポートもあり、自分の仕事を100パーセント発揮することができました。そういう環境でラグビーができて、神戸Sに入団して良かったと心から感じています」
1シーズンという短い間でしたか、新しい環境に身を置いて収穫はありましたか。
「選手によってプレーする目的も違えば、バックグラウンドも違います。そのようにさまざまな考えや背景を持つ選手がチームのために一丸となってプレーできたことが、優勝に繋がりました。今シーズン、チームは街のため、神戸製鋼所という会社のため、スティールメイツのために戦おうとひとつになっていました。チームが一丸となることが勝利に直結する。あらためて、それがよくわかったシーズンになりました。加えて、全員がこれまでやってきたことや自分たちのラグビースタイルを信じて戦いました。それも目標達成に繋がった1つの要因です。ワンチームになることや信じることの重要性を感じて、私自身、ベテランではありますが、学ぶことの多いシーズンになりましたね」
ディクソン選手はクボタスピアーズ船橋・東京ベイとの決勝も先発出場しました。スーパーラグビー制覇を経験しているディクソン選手にとって、リーグワン優勝とは。
「日本でプレーするにあたり最大の目標として設定していたのが優勝でした。トップリーグ時代にパナソニック ワイルドナイツ(現・埼玉パナソニックワイルドナイツ)、その後、NECグリーンロケッツ東葛でプレーしていましたが、残念ながらその機会に恵まれなくて。今回、初めて日本で優勝することができて心から嬉しかったです。しかも、幸運にもコーチングスタッフから先発に選んでいただいて決勝の舞台を経験できました。チームに入団してから個人的にコーチングスタッフから求められる運動量やフィジカル、フィットネスを維持できるように努力してきました。それにより、多くの試合にも出場することができ、最終的に決勝のピッチにも立てて。優勝が決まった瞬間はいろいろな思いが溢れ出て、涙が出てきました。頑張ってきた自分自身にも賞賛を贈りたいと思います」
2人の大ベテランがいることもチームの強み
チームにはディクソン選手より年上の山下 裕史選手が所属しています。山下選手から刺激を受けることも多かったのではないでしょうか。
「インスパイアされることしかなかったです。40歳という年齢を感じさせないプレー、そして、練習に臨む姿勢。リカバリーを含めた体づくりという点でも、誰よりも意識高く取り組んでいます。私も非常に刺激を受けて、リカバリーをはじめ、学ぶことがたくさんありました。37歳の私でもそう感じるのですから、若手にとっては生きた教材のような存在だと思います。さらにチームには日和佐(篤)さんという、ヤンブーさんに負けず劣らずプロ意識の塊のような選手がいます。フォワードバックス問わず、才能ある若手がたくさんいるので、彼らがヤンブーさんや日和佐さんの背中を見て学んで成長することが神戸Sの未来に繋がります。ぜひ若手には2人から学べるものはすべて吸収していってほしいですね」
2026年度新加入の大町 佳生選手がSteel Mates感謝祭のトークショーで尊敬する選手として人間性が素晴らしいとして、ディクソン選手の名前をあげていました。
「名前をあげてもらって嬉しい気持ちと照れくさい気持ちがありますね。私自身、先輩後輩かかわらず、常に同じ態度で接することを意識しています。それに若手とコミュニケーションを取ることで力を得られるので、積極的に若い選手と喋るようにしているんです。特に(上村)樹輝とは合宿の際に同室になり、その時に家族のことやラグビーに対する思いを語り合って仲良くなりました。お互いにふざけって、ジョークを言い合って、楽しい時間を過ごしました。また、大町をはじめとする2026年度入団の選手らともコミュニケーションを取り、溢れんばかりエネルギーを感じ、力をもらっていました。若い選手に対して感謝の気持ちでいっぱいですね」
レンズ、ガズラのいるチームでプレーできて良かった
ディクソン選手はブロディ・レタリック選手の高校の先輩で、ニュージーランドでは家族ぐるみの付き合いをしていたと新加入インタビューの際に教えてくれました。実際、レタリック選手とプレーしてどうでしたか。
「スーパーラグビーでは敵同士で戦ってきましたが、一緒のチームになってガズラ(ブロディ・レタリック)が味方にいてくれるとなんて心強いんだと思いましたね。彼は本当に素晴らしい選手です。204cmという身長でありながら、動き続けて、スキルも高い。今シーズンのスタッツを見ても、彼のパフォーマンスが悪かった試合はありません。どの試合でも高いスタンダードを発揮し続けました。彼のことを表現するなら、砲弾。エンジンが搭載された砲弾といえばいいでしょうか。とんでもないスピードで突っ込んで相手にダメージを与える。けど、グラウンドを出ると、飄々としていて(笑)。高校時代から仲が良いガズラとチームメイトとして過ごした今シーズンは私の人生の中でも忘れられない1年になりますね」
U20ニュージーランド代表で指導を受けたデイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(以下HC)のもとでラグビーをしたことはどうでしたか。
「レンズ(デイブ・レニーHC)はキャリアの序盤で指導を受けました。そして、再びキャリアの最終盤で指導を受けて。レンズとは縁を感じますね。1シーズン、彼のもとでプレーし優勝を経験でき、あらためて素晴らしい指導者であると感じました。彼もまたこのチームに来て良かったと感じさせてくれる、大きな存在です」
来シーズン、チームに期待することは。
「ぜひ連覇してほしいです。連覇を狙える実力と環境が揃っているので、オンフィールド、オフフィールドで正しく過ごして、来シーズンも頂点に立ってほしいですね」
では最後にスティールメイツへメッセージをお願いします。
「チームにとっての『背骨』、つまり『バックボーン』になってくれているのは、間違いなくファン、すなわち、スティールメイツの皆様です。勝っている時だけでなく、苦しい時も『次があるぞ』と前を向かせてくれる、そういう存在です。今シーズン、優しく支えてくださり、家族にまであたたかく接していただいて、本当にありがとうございました。皆様の前で赤いジャージを着てプレーできたことは良い思い出になります。しかも、優勝し、スティールメイツにチームを誇りに思ってもらえる結果を残すこともできました。皆様の日頃の応援に報いることができて心から嬉しく思います。来シーズンもチームは皆様に誇りに思ってもらえるようなラグビーを体現します。ぜひ連覇に期待していてください!」

