取材日:2025年6月6日
2024-25シーズン退団選手インタビュー Part.5 クイントン・マヒナ
トンガ人の母が和歌山・白浜で生まれたこともあり、日本に親近感を持っていたことから18歳の時に来日し、拓殖大学へ。センターとして活躍し、2022-23シーズン、コベルコ神戸スティーラーズに入団。以来、デェフェンスを強みとするマヒナ選手はプレシーズンマッチやトレーニングマッチで激しいタックルを繰り出し、コーチ陣へアピール。ナニ・ラウマペ選手、ラファエレ ティモシー選手といった経験豊富なセンター陣の中で、なかなか出場機会に恵まれなかったですが「成長できた3シーズンになりました」と笑顔を見せます。これからもラグビーを続けるというマヒナ選手。神戸Sでの経験を活かして、次のチームで試合出場を目指すと意気込んでくれました。
クイントン・マヒナ
QUINTON MAHINA
PROFILE
- 生年月日/1999年4月29日
- 出身/オーストラリア・ブリスベン
- 経歴/ブリスベン州立高校→拓殖大学→コベルコ神戸スティーラーズ(2022-23シーズン入団)
- ポジション/センター
- 2024−25シーズンまでの公式戦出場回数/2
「レベルの高い環境で多くの学びがありました。ここでの経験を活かして、これからも頑張ります!」
同期4人が試合メンバー入りしたデビュー戦
改めてマヒナ選手がコベルコ神戸スティーラーズに入団したきっかけを教えていただけますか。
「神戸Sでもプレーしたニック(イーリ ニコラス)が拓殖大学の先輩だったこともあり、練習生としてチームの練習に参加できるチャンスが巡ってきました。それがきっかけで声をかけていただいて入団することができたんです。もともとボールを動かす神戸Sのラグビーが好きだったので、入団が決まった時はとても嬉しかったです。公式戦出場は2試合だけでしたが、すべてにおいてレベルの高い環境でハイスタンダードな選手と切磋琢磨し、収穫の多い3シーズンになりました」
入団1年目のシーズンはどうでしたか。
「1年目はすべてのことが新鮮で、驚きの連続でした。まず、神戸Sのクラブハウスはすごいなと思いました。建物の大きさもさることながら、ロッカールームも広くて、リカバリー施設も完備されていて、さらにスリーピングルームやリラックスルームもあって、カフェテリアもあります。こんなに充実したクラブハウスは見たことがなかったので、ここを拠点に毎日練習ができるんだとワクワクした気持ちになりました。あと、選手のスキルも大学時代とは比べ物にならないくらい高くて。ある程度予想していましたが、どの選手もラグビーをする上で基礎となるスキルレベルが高くて驚きました。神戸Sのラグビーにはベーシックなスキルが必要であることがわかって、そのレベルに近づこうと必死で練習に取り組みました」
1年目の「NTTリーグワン2022-23」第7節三菱重工相模原ダイナボアーズ戦で公式戦デビューを果たしました。しかも、前田 翔選手、酒木 凜平選手(東芝ブレイブルーパス東京)、松永 貫汰選手という同期入団の選手と一緒にメンバー入りとなりましたね。
「めちゃくちゃ嬉しかったです。(前田)翔が先発で出場し、リザーブの(酒木)凜平、(松永)貫汰、僕の順番で終盤に出場しました。僕らがグラウンドに入った時には翔は交代していたので、4人一緒にグラウンドに立つことはできなかったのですが、あの試合はとても良い思い出として残っています」
マヒナ選手にとって同期の存在とは。
「凜平が昨シーズン神戸Sを退団しましたが、凜平も、翔も、貫汰も同期であることには変わりません。一生の友達だと思っています」
レンズのもとで大きく成長できた
2年目からマヒナ選手の母国であるオーストラリアのナショナルチームを率いたこともあるデイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチが指揮官に就任しました。
「レンズは厳しい人なのですが、誰に対しても公平です。リスペクトできるヘッドコーチだなと思いました。ただ、レンズからはフィットネスを上げるように言われていたのですが、なかなかそれができなくて。特に昨シーズンは、始動してから体を作り上げていく形になってしまって、自覚が足りなかったと反省しました。レンズの目指すラグビーというのは、スキル、フィットネス、フィジカルとすべてが必要です。レンズからは『プレーする準備ができていない』と喝を入れられました。レンズからプロフェッショナルとして求められるものの高さを感じましたし、フィールド外での振る舞いについても教えていただき、とても勉強になりました。そういう厳しい指揮官のもとで、自分自身をこれまで以上に成長させることができたと感じています」
そんな中、昨シーズンの第15節静岡ブルーレヴズ戦でリザーブに名を連ねました。出番は後半69分からと短かったですが、嬉しかったのではないですか。
「ポジションの違うアーディ(・サベア)と交代することになったんですが、試合メンバーに入ったこと、久しぶりにリーグワンの舞台に立てたことが嬉しかったです。それにアーディは昔から好きな選手だったので一緒に試合メンバーに入れて光栄に思いました」
サベア選手から教えてもらったこととは。
「フォワードとバックスなのでプレー面でのアドバイスはなかったのですが、フィールド外のことでラグビーに取り組む姿勢や行動についてアドバイスをもらって、それを実践してきました。神戸Sにはワールドクラスの選手がたくさんいますが、僕にとってアーディは憧れの存在でした。1シーズンですが、彼と一緒のチームでラグビーができたことは良い経験になりました」
ラファエレ ティモシー選手のようなセンターに
センターにはオールブラックスでもプレーしたナニ・ラウマペ選手、さらにはラファエレ ティモシー選手、マイケル・リトル選手、李 承信選手といった実力ある選手が揃っています。そんな中でマヒナ選手は、どの部分で勝負し、どこをさらに成長させようと取り組んだのでしょうか。
「強みはフィジカルを活かしたディフェンスです。そこは練習でもプレシーズンマッチやトレーニングマッチでも通用すると手応えを感じることができていました。課題として取り組んだのは、キックやプレーの判断です。ティム(ラファエレ ティモシー)がキックの蹴り方、状況判断などについていろいろと教えてくれて、僕もわからないことがあればその都度質問しました。それにティムはキックだけでなく、センターに必要なパス、ランといったプレーのスキルについても惜しみなく教えてくれました。スーパーラグビーのサンウルブズで活躍して、日本代表としてワールドカップにも出場するなど、素晴らしい経歴の持ち主で、経験も豊富です。そして、優しくて、選手としても人間としても尊敬できます。ティムは、僕にとってお手本のような選手で、これからもティムのような選手を目指してラグビーに取り組んでいこうと思います」
神戸S退団後もラグビーを続けるのでしょうか。
「はい!神戸Sでの学びを活かして次のステージで頑張ります!」
マヒナ選手の今後の目標とは。
「ターゲットは、良い形で新シーズンに向けての始動日を迎えることです。これまで神戸Sで言われてきたフィットネスもしっかり上げないといけません。試合に出られるようにこれまで以上に努力します!」
チームメイトにメッセージをお願いします。
「神戸Sのみんなと一緒にプレーできたことは幸せでしたし、多くのことを学ぶことができました。どの選手もプロフェッショナルとしての意識が高くて、すごく刺激を受けました。その中でもヤンブーさん(山下 裕史)、日和佐(篤)さんといったベテランの選手はリカバリーといった体のケアを含めて、常に自分を成長させようと取り組んでいます。そういう姿を間近で見られたことは今後に活かすことができます。みんなのお陰でオンフィールドでもオフフィールドでも3シーズンとは思えないくらい密度の濃い時間を過ごすことができました。チームメイトには感謝の気持ちでいっぱいです!ありがとうございました」
では最後にスティールメイツにメッセージをお願いします。
「ホストゲーム、ビジターゲームにかかわらずスタジアムに足を運んでくれて、熱い応援を送っていただき、ありがとうございました!皆様の前でプレーしている姿をもっと見せることができていたら良かったのですが、それができなかったことが残念です。神戸Sは退団しますが、これからも応援していただけると嬉しいです!」