戻る

  • INSTAGRAM
  • twitter
  • facebook
  • YouTube
  • LINE
  • tiktok

KOBELCO

close-up KOBE -Long interview-

ロングインタビュー

2024-25シーズン退団選手インタビュー Part.3 サウマキ アマナキ

 取材日:2025年6月6日

2024-25シーズン退団選手インタビュー Part.3 サウマキ アマナキ

2016-2017シーズンに来日し、キヤノンイーグルス(当時)へ。もともとウィングでプレーしていましたが、2020年からフォワードに転向し、試合出場を勝ち取ると、2022-23シーズン、コベルコ神戸スティーラーズへ。1年目から活躍し、3シーズンで公式戦59試合に出場。日本代表としてRWC2023フランス大会にも出場するなど、今後さらなる活躍が期待されていたサウマキ選手が退団を決意しました。その理由とは、そして、サウマキ選手にとって神戸Sで過ごした3シーズンとは。サウマキ選手のラストインタビューをお届けします。

サウマキ アマナキ

AMANAKI SAUMAKI

PROFILE
  • 生年月日/1997年3月8日
  • 出身/トンガ・ヴァヴァウ
  • 経歴/トゥポウ高校→横浜キヤノンイーグルス→コベルコ神戸スティーラーズ(2022-23シーズン入団)
  • ポジション/フランカー
  • 2024−25シーズンまでの公式戦出場回数/42
  • 代表歴/日本代表(5キャップ)

「コベルコ神戸スティーラーズは特別な場所であり、家族。
そして、自分を大きく成長させてくれた場所です」

子供の成長を見守りたいという思いから退団を決意

今シーズンも17試合に出場されましたし、退団に驚いているスティールメイツも多いことと思います。

「このチームが好きですし、チームメイトも神戸の街も大好きになりました。グラウンド内外で充実した時間を過ごしていたのですが、東京に家族を残して移籍してきたので、子供の成長を近くで見ることができなくて。悩んだのですが、家族との生活を優先し、今シーズン限りで退団することにしました。ただ、みんなと別れることが本当に寂しくて、辛い気持ちでいっぱいです」

1年目、サウマキ選手は肩の手術をした後にチームに合流しました。セラピストの西村彰悟スタッフが当時を振り返り、リハビリが大変だったと話していましたが、サウマキ選手はどうでしたか。

「肩から腕にかけて固定していたのでギプスを外した後、腕をまったく動かせなくて『無理!』と言ったら、西村さんが『痛くない!(腕を)上げろ』と、そんなやり取りが続いて(苦笑)。リハビリはきつくて大変でしたが、メディカルスタッフのお陰でグラウンドに復帰することができました。だから、神戸Sで初めて出場した第5節クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦は敗れましたが、個人的にはとても嬉しかったです」

その後も試合に出続けて、第12節NECグリーンロケッツ東葛戦ではNO8で出場し、プレーヤーオブザマッチに選ばれるなど、1年目とは思えぬ働きをしました。

「リハビリがあり、体づくりに時間をかけることができなくて、フィジカルやパワーが足りないと感じた1年目になりました。そういう意味では昨シーズンは自分でもすごくパフォーマンスが良かったと感じています。日本代表合宿に参加し、9月にワールドカップの舞台を経験した上でチームに帰ってくることができました。それに加えて、レンズ(デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ)が指揮官に就任し、さまざまな新しい取り組みをしてくれて、僕自身もチームも大きく成長できたと思います」

横浜E時代を通じても最多となる17試合に出場した今シーズンのパフォーマンスはどのように感じているのでしょうか。

「シーズン中に足を怪我してしまって、その影響もあり、あまりパフォーマンスには納得していないんです。けど、チームとしてはリーグワンになってから初めてプレーオフに進むことができましたし、僕自身もこれまでのキャリアの中で初のプレーオフだったので、ワクワクして。ただ、このチームで優勝したいと思っていたので、準決勝で東芝ブレイブルーパス東京に負けてしまったことはとても残念に思いました」

選手として成長し、収穫の多い3シーズンに

神戸Sのラグビーを経験することで、どういうところが成長したと感じていますか。

「神戸Sのラグビーはスキルを使ってボールをどんどん動かしていくイメージを持っていました。そういうラグビーが好きだったので、あとはどう適応していくかだなと思っていたんです。けど、実際に入ってみたらフロントローの選手もパスが上手くて驚きました。チームとしてもスキルの練習に力を入れていたので必死で取り組んで、ハンドリングなど成長したと感じています」

NO8でプレーすることも多かったですね。

「横浜Eではもともとバックスでプレーしていて、新しく監督に就任した沢木(敬介)さんに薦められてフォワードに転向したんですが、当初はロックでプレーしていました。神戸Sに入ってからフランカーやNO8でプレーして、今シーズン本格的にNO8をしましたが、ボールキャリーが増えて自分のプレースタイルに合っていると感じました。エッジに残って1対1の局面を作って裏に出たりするなど、神戸Sの3シーズンでいろいろなプレーができるようになったところも収穫です」

バックローというと昨シーズン所属したアーディ・サベア選手からも学んだことが多いのではないでしょうか。

「アーディもガズラ(ブロディ・レタリック)もワークレートが高くて、違う次元でプレーしていますよね。アーディとは同じバックローということで一緒に練習することが多くて、たくさんのことを教えてもらいました。特に印象的だったのが、アーディがタックルに入る時に考えていることでした。アーディはボールを持っている相手が自分の家族を痛めつけようとしていると思って、家族を守るためにファイトしているんだと言っていました。そういう気持ちでタックルに入っていることを教えてもらって、僕もその気持ちを忘れないようにプレーしてきました。それと、アーディが言っていたのは、チームメイトとフィールドだけではなくて、フィールド外でもコネクションをしっかり築いていくことがラグビーには大事なんだと。それが仲間のために体を張ることにつながるんだと。アーディのような選手としても人間的にも、すべてにおいて手本となるような選手と一緒にプレーできたことも良かったです」

サベア選手のようなバックローを目指すのでしょうか。

「なりたいですけど、難しいですね。アーディは僕にとってメンターのような存在です。アーディから教えてもらったことをこれからもやり続けて、僕は僕なりに良いバックローになれるよう成長していきます」

話を伺っていると、収穫の多い3シーズンになったように思います。

「収穫しかないですね。多くの試合に出させていただいて成長を感じることができましたし、2シーズン、レンズ(デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ)というインターナショナルなヘッドコーチのもとでラグビーができたことも良い経験になりました。それに、プライベートでもチームメイトたちと素晴らしい時間を過ごすことができました」

感情が溢れ出た神戸Sでのラストゲーム

フィールド内外で印象に残っていることを教えていただけますか。

「フィールド外ではチームのアイランダーたちと食事をしたことですね。時々ガズラやブリン(・ガットランド)が参加することもあって、とても楽しかったです。フィールド内では、3位決定戦埼玉パナソニックワイルドナイツ戦が一番印象に残っています。神戸Sとして2003-2004シーズン以来、22年ぶりの埼玉WK戦での白星だったこともありますし、古巣にいた時も埼玉WKに勝ったことがなくて。チームとしても、個人としてもすごく嬉しい勝利になりました。それに、チームメイトは僕を含めた12人の選手が退団することを知っていたので、ロッカールームで全員とハグをし合って『一緒に戦おう』と気持ちをひとつにして臨みました。試合前からすでに泣きそうだったのですが、感情的になり過ぎるとパフォーマンスに影響が出てしまうと思い、ぐっと堪えて、プレーして。ノーサイドの瞬間は勝利の嬉しさとチームを退団することへの寂しさと感情が溢れ出て、涙が抑えきれなかったです。それで、ヤンブーさん(山下 裕史)の方を見たら、彼も泣いていて。ヤンブーさんには同じフォワードとして練習や試合で鼓舞してもらって元気をもらっていました。3シーズンのさまざまな出来事が思い出されて、本当に忘れられない一戦になりました」

3シーズン過ごした神戸Sとはサウマキ選手にとってどのような場所になりますか。

「言葉では言い表せないくらい特別な場所ですし、家族でもあります。そして、自分を大きく成長させてくれた場所です。そういう意味でも神戸Sと対戦した時には自分もベストを尽くして、良いプレーを見せたいと思います」

今後の目標を教えてください。

「日本代表に復帰し、2027年のワールドカップに出場したいという気持ちがあります。それと、2026-27シーズンからカテゴリが再編されます。これまでカテゴリAとしてプレーしてきましたが、2年後にはカテゴリA-2になります。厳しい現実ではありますが、そんな中でもずっと試合に出続けられるように神戸Sでの学びを活かしながら頑張っていきます」

では最後にスティールメイツにメッセージをお願いします。

「3シーズン応援ありがとうございました!雨の日も寒い日もどんな時でもスタジアムに足を運んで熱い声援を送っていただき、その応援が力になりました。そして、負けた時は一緒に悔しがって、勝った時は自分のことのように喜んでくれて、スティールメイツはリーグワンでもNo.1と言っていいほど熱いファンだと思います。来シーズンから別のチームでプレーしますが、これまでのサポートに感謝しかありません。これからもスタジアムで会った時には、ぜひ声をかけてください!」

loading