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KOBELCO

close-up KOBE -Long interview-

ロングインタビュー

2024-25シーズン退団選手インタビュー Part.1 ジョージ・ターナー

 取材日:2025年6月7日

2024-25シーズン退団選手インタビュー Part.1 ジョージ・ターナー

スコットランド代表としてRWC2019日本大会に出場し、試合が行われた神戸にも滞在、街や食べ物に魅了され、いつか日本でプレーしたいと思ったそう。その希望が叶い、2024-25シーズン、コベルコ神戸スティーラーズへ。初めて経験するリーグワンの舞台で先発10試合を含む13試合に出場し、5トライをマーク。最後の試合となった3位決定戦でも懸命なプレーを見せて勝利に貢献しました。1シーズンと短い期間でしたが、「グラウンド内外で何物にも変えがたい思い出ができました」と一見コワモテながら、人懐こい笑顔を見せます。今後はプレミアシップ・ラグビーのハーレクインズでプレーすることが決まっているターナー選手が神戸Sでの1シーズンを振り返ってくれました。

ジョージ・ターナー

GEORGE TURNER

PROFILE
  • 生年月日/1992年10月8日
  • 出身/スコットランド・エディンバラ
  • 経歴/エディンバラ ラグビークラブ→グラスゴー・ウォリアーズ→コベルコ神戸スティーラーズ(2024-25シーズン入団)
  • ポジション/フッカー
  • 2024−25シーズンまでの公式戦出場回数/13
  • 代表歴/スコットランド代表(40キャップ)

「チームメイト、スティールメイツに心から感謝!
素晴らしい時間を過ごすことができました」

ここでの学びを今後に活かしていく

今の心境をお聞かせください。

「素晴らし環境でプレーできましたし、家族も日本での生活を楽しむことができました。私も家族もとても充実した時間を過ごせたので、すごく寂しい思いでいっぱいです」

スティールメイツも同じように寂しい思いをしていると思います。もともとターナー選手は日本でプレーしたいと思っていたそうですが、実際にリーグワンを経験してどうでしたか。

「プレミアシップ・ラグビーでは固いゲーム運びが続いて、ラインブレイクが増えたり、スコアボードが動き出したりするのが、60分を過ぎてからということが多いのですが、リーグワンではキックオフ直後からいきなりゲームが動きます。そこにまず差を感じました。選手やコーチ陣に話を聞いて、その上でまずは自分のプレーを100%遂行することにフォーカスし徐々に慣れていくことができました」

スクラムはどうでしょうか。フロントロー同士でスクラムの組み方についてかなり話し合ってきたと聞きました。

「私がやってきた組み方とほかの選手が慣れている組み方がまったく違っていたので、強く組むためにはどうすればいいのかを模索しました。フロントローの仲間と時間をかけて話し合って、実際に組んで、どんどんスクラムが良くなっていった実感があります。それにチームにはフッカーもプロップも良い選手ばかりが揃っています。才能あるチームメイトたちと切磋琢磨したことが、さらにスクラムのレベルを引き上げてくれましたし、それはラインアウトにも言えることです。ダン(・マクファーランドFWコーチ)による詳細にこだわった厳しい指導のお陰で、もともと良いスローワーが揃っていましたが、競い合って相乗効果でラインアウトが良くなったと思います」

1シーズンでしたが、今後につながる学びはありましたか。

「間違いなく多くのことを学ぶことができました。コーチ陣、チームメイトのラグビーに対する考えに触れて刺激を受けましたし、1シーズンでしたが、日本のラグビーを経験したことは今後に活かすことができます。またそれは何もラグビーに限ったことだけではありません。家族とともに母国とはまったく違う文化に飛び込み、さまざまなことにチャレンジしていく中で新しい価値観にも出会えましたし、多くの新しい友人を作ることができました」

今季のハードワークが結実した3位決定戦

もっとも印象に残ることは。

「ラグビーに関していうと3位決定戦埼玉パナソニックワイルドナイツ戦のラスト10分のディフェンスが強烈な印象として残っています。自陣ゴール前での苦しい局面を全員で凌いで勝ち切ったことは今季のハイライトだったと思います。あと、今シーズン2度目の対戦となった第12節東京サントリーサンゴリアス戦も印象深いですね。ラストワンプレーで小瀧(尚弘)が相手のラインアウトをスティールして逆転に結びつけた劇的な勝ち方もさることながら、もともとこの試合はプレーオフに進出する上で大事な試合と位置付けていてオンフィールド、オフフィールドで皆が情熱を持って準備を進めてきました。そういう努力が結実して最後に仲間と喜び合えたことが嬉しかったですね」

先発出場された3位決定戦埼玉WK戦は後半10分に交代しましたが、代わった北出 卓也選手が脳震盪を起こして、再びグラウンドに入ることになりましたね。

「予期せぬアクシデントに見舞われましたが、北出に代わって良いプレーをしようと再びスイッチを入れて気合十分でグラウンドに入りました。ただ、自分のことよりも、カテゴリの関係でグラウンドから出ないといけなくなったタリ(・イオアサ)に申し訳ないなって。もっとプレーしたかったと思いますので、北出やタリの思いを背負ってプレーしました。一瞬でも崩れると、相手に盛り返されてしまうような拮抗した展開でしたが、我々の勝利への執念が強くて、それがラスト10分のゴール前でのディフェンスにつながったのだと思います。そして、ラストワンプレーのスクラムも素晴らしかった。最後に良い形でスクラムを組めて、今シーズンのハードワークが形になった瞬間でした。ラストゲームであのような素晴らしい試合ができたことは、チームにとって大きな自信になったと思います」

試合以外で印象に残っていることとは。

「たくさんありますけど、フロントローだけの食事会は最高でしたね。2回開催したのですが、本当に楽しい時間を過ごして、特にシーズン終了後の会はいつもよりお酒の量が多かったように思いますね(笑)」

チームのフロントローには、ターナー選手よりも5歳年上の山下 裕史選手が元気にプレーしています。

「本当にすごい選手ですよね。私が感銘を受けたのは、毎朝のトレーニングです。早朝クラブハウスに行くと、必ずヤンブーさん(山下 裕史)が先にジムにいてトレーニングをしていました。そして、グラウンドでは39歳とは思えない溌剌としたプレーをして。まさに、ヤンブーさんはハードワークの象徴だと思いました。ほかにも、日和佐(篤)さんの運動量にも驚かれました。ベテランなのに誰よりもグラウンドを走り回って、驚異的だなと。あと、改めてカズラ(ブロディ・レタリック)の経験値の高さやスキルレベルにも度肝を抜かれました。彼がチームメイトで良かったと思いましたね。若手も才能豊かで、将来が楽しみな選手ばかりで、神戸Sの未来は明るいと確信しています」

またいつか神戸Sでプレーしたい

神戸Sに期待することとチームメイトに対してメッセージをお願いします。

「チームメイトには本当に感謝しかないですね。ラグビー選手に悪い人はいないと思っているのですが、言葉の壁がある中で来日するにあたり不安な気持ちがなかったといえば嘘になります。しかし、言葉なんて関係なく全員があたたかく迎えてくれて嬉しかったですし、かなり変人(笑)な私を受け入れてくれるなんて感謝しても仕切れない。心からありがとうと言いたいですね。そして、みんなと1シーズン一緒にハードワークしてきて、チームは右肩上がりに成長していきました。ただ、まだまだ成長できると思います。来シーズン、さらに上向きの成長曲線を描いて、今シーズン以上の結果を残してほしいですね」

ご自身の今後の目標とは。

「まずインターナショナルレベルでは、スコットランド代表キャップが現在40ですので、50キャップを獲得することが目標です。代表に返り咲くことができるよう挑戦したいと思います。そして、もう1つはプレミアシップ・ラグビーで優勝することです。代表復帰と優勝を目指して頑張ります!」

スティールメイツも日本から応援していると思います。今日は「Steel Mates感謝祭」が開催されました。イベントに参加してどうでしたか。

「どれほど多くの方々に支えられてきたのか、スティールメイツがいかに素晴らしいのかを感じられました。写真を撮ったりサインをしたり、スティールメイツと交流できたことも楽しかったですね。特別なチームでプレーしていたんだなと実感した1日になりました」

また神戸Sに帰ってきてくれますか。

「チャンスがあればまた日本に帰ってきて神戸Sでプレーしたいですね。最高の時間を過ごせましたし、日本がさらに好きになりました」

では最後にスティールメイツにメッセージをお願いします。

「シーズンを通して母国との違いを感じて驚いたり、感銘を受けたりすることばかりだったのですが、中でももっとも心が打たれたのが、スティールメイツの応援でした。ホストゲームだけでなく、ビジターゲームでも、真っ赤なものを身に付けたスティールメイツが大勢スタンドにいて、全力で力強い声援を送ってくれて。神戸Sにはなんと素晴らしいファンがいるんだと驚きましたし、神戸Sを特別なチームにしているのはスティールメイツの存在もその1つなのだと思いました。皆様の前でプレーできて幸せでしたし、スティールメイツの応援は忘れません。言葉では言い表せないほど、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました」

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