取材日:2025年5月4日
【試合レポート】5月4日(日) NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25 第17節VS横浜キヤノンイーグルス
終盤に怒涛の追い上げを受けるもタフなゲームを勝ち切り、今季10勝目をマーク
ゴールデンウィーク真っ只中の5月4日(日)、秩父宮ラグビー場で横浜キヤノンイーグルスと対戦し、コベルコ神戸スティーラーズが47-29で勝利した。
前節で三菱重工相模原ダイナボアーズを破り、リーグワン発足後初のプレーオフ進出を決めた神戸Sが対戦したのは、現在7位の横浜E。「メンバーに関してはリフレッシュさせつつ、プレーオフに向かう上でのモメンタム(勢い)や流れをしっかりと作っていきたい」とレニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(以下、HC)が述べていた通り、今節は前節から先発を6名変更し、チーム最年少で入団2年目のCTBイオアサ、2025年度新加入選手のUTB辻野が初めてメンバー入りを果たした。リーグ戦も残り2試合となり、横浜Eが6位に浮上するためには勝ち点5を取ることが絶対条件だ。相手は入りからテンポの速い攻撃を仕掛けてくる。開始2分、FB小倉にラインブレイクを許すと、最後SO田村からのキックパスがWTB松井へと渡り、トライを献上。先制パンチを喰らわされた形になるも、すぐさま神戸Sが取り返す。9分、リーグワンデビューのCTBイオアサがラインブレイクし、22mライン付近までボールを持ち込んでチャンスを作ると、最後はSH日和佐からパスを受けたSOガットランドがギャップをついてそのままトライゾーンへ走り込む。ゴールキックも決まり、7-5と逆転。その後、立て続けに反則が出て自陣でのプレーが続くも、しっかり守り切ると、21分、横浜E陣22mライン付近でのマイボールラインアウトから展開し、WTBブルアが古巣相手にトライをマークする。その後、互いに1トライずつ挙げて迎えた前半終了間際、神戸Sは敵陣22m中央付近で反則を獲得。するとショットではなく、トライを狙いに。「スコアし、相手にさらにプレッシャーをかけようという判断に至った」と、今節はFBでの起用となった共同キャプテンの李。しかし、ゴール前ラインアウトから攻撃を仕掛けるも、横浜Eにボールを奪われて、19-12でハーフタイムへ突入した。
前半は反則が多く出た神戸S。規律面を修正し、後半の戦いへと臨んだ。すると後半8分、途中出場のLOモリに故意の反則でイエローカードが提示されると、数的優位に立つ神戸Sがゴール前ラインアウトからサインプレーを決めてLOララトゥブアがトライをマークする。さらに13分にもLOフィリップにイエローカードが出され、神戸Sは2人多い状況になると、ゴール前で得た反則からLOレタリックが速攻を仕掛けて、最後はNO8サウマキがトライゾーンへと飛び込む。18分にも相手にイエローカードが出ると、21分、ゴール前での速攻から最後はLOレタリックがディフェンスをこじ開けトライ。3連続トライを決めて40-12と大幅リードを奪った神戸Sだが、もう後がない横浜Eが観客の後押しもあり、残り10分、怒涛の攻撃を展開する。30分、ハンドリングエラーから相手にボールを奪われると一気に攻め込まれトライを献上。32分、34分にも連続攻撃からトライを奪われ、29-40と差を詰められる。これ以上失点は許されない神戸Sは、途中出場のSH中嶋がギャップをつくと、そこからフェイズを重ねて前進し、最後はSOガットランド、CTBラファエレと繋いでFB辻野がデビュー戦でトライ。SOガットランドのゴールキックも決まり、47-29で試合終了。なお、プレーヤーオブザマッチには80分間、攻守で体を張り続けた2年目のララトゥブアが選ばれた。
試合後、レニーHCは「タフなゲームでした」とひと言。続けて「横浜Eがプレーオフ進出に向けて望みを繋ぐためにクイックタップを使うなど速いテンポで仕掛けてくることはわかっていましたが、前半は規律の面が良くなくて流れが行ったり来たりする展開になりました。後半は規律の面を修正し、プレッシャーをかけていくことができ、ディフェンスに関してもトライを立て続けに奪われた終盤以外は良かった。最後はヒヤヒヤする展開になりましたが、ノーサイドの瞬間までスイッチを切らずに攻撃を仕掛けてきた横浜Eに賞賛を送りたい。このような厳しい試合を勝ち切れたことを嬉しく思います」と総括した。
また、今節でデビューを飾ったイオアサ、辻野については「タリ(・イオアサ)は約60分、プレーしましたが、素晴らしいパフォーマンスをしてくれました。辻野もトライを取ることができて良かった」と評価した。
前半の反則、終盤の3連続失トライと反省点はあるものの、強豪との一戦を勝ち切り、最終節、そしてプレーオフに入っていけることはチームにとってプラスである。
共同キャプテンの李は「横浜Eが自陣からどんどん攻撃を展開してくる中で、キックを使って敵陣に入ったり、ターンオーバーしたり、プレッシャーがかかっていてもスマートにプレーすることができ、チームとして成長を感じています」と手応えを感じている。加えて、李は、ノンメンバーたちの努力のお陰で試合に向けて良い準備ができて、これまで以上にチームの結束力が高まっているという。
「ワンチームになっているという実感があります」(李)
次節はプレーオフ準々決勝で対戦する可能性が高い静岡ブルーレブズとの一戦だ。今季1度目の対戦では試合終了間際にトライ&ゴールを決められ、13-15で悔しい逆転負けを喫した。「静岡BRは素晴らしいチームで、ターンオーバーからのアタックも脅威です。今節は40-12になって、さらにプレッシャーをかけ続けるところで、相手のアタックに対してリアクションが取れずに、隙を与えてしまいました。この試合で学んだことを活かして、また1週間準備していく」とレニーHC。李もさらなる進化を目指して「プレッシャーがかかる中でもプレー選択において、全員が同じページを見られるようにすれば、もっと良いラグビーができるようになる」と決意する。ホストゲームとして開催される今季最終戦、スティールメイツの前で最高のゲームをしてリーグ戦を締めくくりたい。
LOワイサケ・ララトゥブア(プレーヤーオブザマッチ受賞)
「5試合ぶりに先発出場し、キックオフから自分の役割をしっかり遂行しようと思い、試合に臨みました。特に意識していたのはドミネートタックルとボールキャリーです。まずまずの手応えは感じましたが、久しぶりに(NTTリーグワン2023-24第16節三重ホンダヒート戦以来se)フル出場し、フィットネス不足を感じて。80分間継続して良いパフォーマンスが発揮できるように、フル出場に慣れていかないといけないと思いました。ほかにも細かいプレーのところで改善点が出て、それはチームとしても同様です。次節は、リーグ戦最後の試合になりますが、さらに良いラグビーができるよう、個人としてもチームとしても課題修正にしっかり取り組んでいきます」
CTBタリ・イオアサ
「テンポが速くタフな試合になりましたが、デビュー戦を勝利で飾ることができてハッピーです。自分自身のパフォーマンスに関しては、周りのサポートもあり、悪くはなかったと感じていますが、まだまだ成長しないといけません。特にボールを持っていない時の動きは課題です。もっとハードワークできると思うので、そこは成長していきたい。リーグワンデビューができて嬉しい気持ちと反省が入り混じっています。これからリーグ戦最終戦、プレーオフの戦いへと入っていきますが、目の前のことに集中して、また1週間、良い準備をしていきたいと思います」
UTB辻野 隼大
「後半22分から出場し、リーグワンの舞台に立てたことが嬉しかったですし、楽しかったです。トライについては、みんなが繋いでくれたボールをティム(ラファエレ ティモシー)が僕にパスしてくれて。ティムをはじめ、みんなからのプレゼントだと思って素直に喜びたいと思います。ただ、パフォーマンスに関してはアタックで自分の強みを出せる場面が作れなかったですし、ディフェンスの際に1対1で止められなかったところもあって…。この試合を通じて、スキル、フィジカルなど、まだまだ足りないことがわかりました。今後はクリエル選手といったスーパープレーヤーにも自分の力が通用するよう、もっと頑張ります!個人的には悔しさがありますが、今日はスティールメイツのご声援のお陰でチームは勝つことができました。これからも皆様の熱い応援よろしくお願いします」