取材日:2025年4月6日
【試合レポート】4月6日(日) NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25 第14節VS東芝ブレイブルーパス東京
11トライを献上し、ワースト失点となる28-73で完敗
昨シーズンの覇者・東芝ブレイブルーパス東京を迎えて3試合ぶりに行われたホストゲームは11トライを奪われて28-73で完敗という結果に終わった。
前節に続き、今節も攻守の大黒柱である共同キャプテンのLOレタリックが不在。レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(HC)は「カズラ(ブロディ・レタリック)の働きは誰かが代わりにできるものではありません。だからこそ、グラウンドに立つ全員が本来のパフォーマンスから10%上乗せし仕事をやり続ける必要があります」と語った。その上で、BL東京のアタックのキーマンであるオールブラックスのSOモウンガに対して「彼の前にスペースと時間を与えてはいけない」と警戒し、選手はこれまで以上に攻守で精度高く丁寧にプレーし続けようと試合に臨んだ。
立ち上がり、神戸Sは今季初先発のWTB濱野のラインブレイクやSH上村のキックでチャンスを作り、ディフェンスも相手の動きに反応。しかし、9分、相手から連続攻撃を受ける中でボールを外へと運ばれて、CTBコリンズに突破を許すと、パスを受けたWTB森が50m走り切り先制トライ。その直後にも、SOモウンガのラインブレイクからサポートしていたSH杉山にトライを奪われる。さらに15分にもトライを奪われて、21点を追いかける展開に。相手のディフェンスに阻まれて思うようなアタックができない中で、チャンスがやって来る。ハーフライン付近で反則を得ると、ゴール前へ。マイボールラインアウトからモールを押し込むも、ここはアンプレアブルとなり、相手ボールスクラム。ぐっと押し込み、コラプシングの反則を得ると、すぐに仕掛けて右へと展開。最後はSOガットランドからのロングパスを受けたWTB濱野がトライゾーンへ。30分にも22mライン付近のスクラムから展開し、WTB濱野がこの日2本目のトライをマークする。ゴールキックも決まり、14-21と7点差。一気に追いつきたいところだったが、キックオフ直後、CTB李の蹴ったボールをLOディアンズにチャージされ、WTBナイカブラにトライゾーンで押さえ込まれる。33分には、キックオフからBL東京にパスを繋がれ、ノーホイッスルトライを献上し、14-33とリードを広げられてしまった。差を詰めて前半を折り返したい神戸Sは、優位に立つスクラムで反則を得て、敵陣22m内へ。ラインアウトから展開し、HO松岡がディフェンスの裏へと抜けると、パスを繋いでゴール前へと前進し、最後はLOカウリートゥイオティがトライゾーンへとボールをねじ込みトライ。ゴールキックも決まり、21-33でハーフタイムへと突入した。
後半の立ち上がり最初の10分が重要だ。選手、コーチ陣からそう声が上がる。先にスコアし、反撃を開始したいところだったが、開始1分、カウンターアタックからパスを繋がれてトライを奪われると、6分、「接点無双」を掲げるBL東京にターンオーバーを許し、最後はFLフリゼルがトライ。8分、10分、13分にもトライを奪われ、21-66と防戦一方に。苦しい試合展開の中で、後半9分にSH上村と代わったベテラン日和佐から「神戸のジャージにプライドを持って戦おう」と檄が飛ぶ。16分、自陣ゴール前で相手のミスボールをLOカウリートゥイオティがピックアップすると、そこからパスを繋いで、SOガットランドのキックパスをキャッチしたWTB松永が走り切りトライ。ようやくスコアボードに得点を上乗せするも、神戸Sの反撃もここまで。ゴール前まで迫るも、BL東京から激しい圧力を受けて反則やミスが出て取り切ることができない。33分にもBL東京にトライを奪われて、28-73でノーサイド。トップリーグ時代を通じてワースト失点による悔しい敗戦となった。
試合後、レニーHCは「チームにとってタフな日になってしまった。恥ずかしいパフォーマンスだった」とひと言。続けて「相手にはどのエリアからでも攻められる選手がそろっている中で体をしっかり当ててタックルができずトライを取られてしまった。そのほとんどのトライが、神戸S陣深くから取られたもの。相手は人数が少ないエリアにアタックをしてきて、我々はそこでまったく反応ができなかった」と述べた。
大差をつけられての敗戦に共同キャプテンの李は
「FWのミドルエリアやBKのエッジのところで1対1の局面を作られることが多くて、そこでオフロードで繋がれてしまいました。チームとしてどう守るのか、コミュニケーションが取れていないところもあり、組織としてディフェンス面で同じページに立てていませんでした。相手にやりたいラグビーをさせてしまった」と反省した。
今シーズンの第3節での対戦では6点差での敗戦。前回は攻撃の中心選手であるSOモウンガがメンバーから外れていたが、神戸Sも当然のことながら対策を練ってこの一戦に臨んでいる。
「彼はラックからテンポの良いボールが出ると、そこから巧みに攻撃を仕掛けてきます。だからこそ、ラックで球出しを遅らせないといけないのですが、それができずにモウンガに素晴らしいプレーをさせてしまい、周りのサポートも多くて、BL東京のアタックを止めることができなかった。そういう状況を作ってしまったことが許せないですし、今後成長させていかないといけないところです」(レニーHC)
ホストゲームで屈辱とも言える、大敗。だが、リーグ戦も残り4試合となり、プレーオフ進出に向けて下を向いている時間はない。神戸Sにとって今シーズンは阪神・淡路大震災から30年という節目の年だ。神戸のために優勝することが使命。その目標を達成するためには、BL東京をはじめとする強豪に勝利しないといけない。試合前レニーHCはこの一戦は「いいテストだ」と語っていた。最多失点と痛みを伴う敗戦になったが、ここから何を学び、成長に繋げるのかが試されることになる。
「今までやってきたこと、向かっている方向は間違っていません。ただ、トップチームとの差はあります。現状を見つめ直し、改善すべきところを改善し、もう一度、神戸の方々やスティールメイツに神戸のジャージを誇りに思ってもらえるようにしていきたい」
李は前を向く。
レニーHCも「コーチ陣も正しいメンバー選考だったのか、正しい準備をしたのか、見直さないといけない。その上で素早く立ち上がって、次節に向かいたい」と決意する。
次節は4月12日(土) ゼットエーオリプリスタジアムにて浦安D-Rocksとの一戦だ。ショートウィークとなるが、気持ちを切り替えて、敗戦後の大事な戦いに臨む。
FLティエナン・コストリー
「前節のように本来のパフォーマンスより1割増しでプレーしようと話していましたが、それもできなかったですし、これまでチームとして取り組んできたディフェンスシステムがタックルミスなどの個人のミスで機能せずに、オフロードパスを繋がれてトライを取られてしまって…。もちろん、モウンガをはじめ、BL東京の選手も良いアタックをしてきましたが、神戸Sは受け身なタックルも多くて、ドミネートタックルがまったくできなくて、ディフェンスはすぐに修正しないといけません。次節浦安DR戦は6日後です。CTBケレビやFBフォラウといった脅威となる選手がいるので、彼らを組織として止めることができるようディフェンスを改善し試合に臨みたいと思います」
SH上村 樹輝
「初めて9番を付けて出場しましたが、リザーブの時と変わらずに、自分の仕事をやり切ることにフォーカスし試合に臨みました。強気なアタッキングマインドを持ってプレーし、テンポの良いアタックができたところもありましたが、実力不足を感じて…。もっとうまくアタックをコントロールするべきでしたし、ディフェンスでももっとハードワークできたと思います。今日の結果には悔しさしかありません。個人としてもチームとしても課題が見つかった試合になりました。この敗戦を次に繋げられるように取り組んでいきたいと思います」
FB山中 亮平
「前半2つのトライを取って、流れを引き寄せられそうなところで、キックオフからスコアを許してしまって。後半は立ち上がりから相手に主導権を渡してしまい、難しい試合になってしまいました。ディフェンスに関しては、エッジだけでなく、ミドルエリアを抜かれるところもあり、ノミネートを間違えているのか、コミュニケーションが取れていなかったのか、映像を見て確認し、修正しなくてはいけません。それにBL東京はラインブレイク後のサポートも素晴らしかったですし、神戸Sとしてはその前に相手を止めないといけなかった。ブレイクダウンをはじめ、修正すべきところを修正して、残りの試合に臨まないといけません。今日はBL東京のチームとしての成長を感じました。ただ、神戸Sも成長しています。やっていることは間違っていないので、プレーオフ前に課題が見えたことをポジティブに捉えて、さらにチームを進化させられるようにしていきます」
〜NEXT GAME〜
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25第15節
4月12日(土)12:00 KICK OFF
コベルコ神戸スティーラーズVS 浦安D-Rocks
@ゼットエーオリプリスタジアム
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〜NEXT HOSTGAME〜
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25第16節
“K” LINEスペシャルサンクスマッチ
4月26日(土)14:30 KICK OFF
コベルコ神戸スティーラーズVS三菱重工相模原ダイナボアーズ
@東大阪市花園ラグビー場