【試合レポート】 12月7日(土)プレシーズンマッチVS花園近鉄ライナーズ
3本変則マッチは終盤追いつかれて同点も、チームの成長に手応え
リーグワン開幕を2週間後に控え、コベルコ神戸スティーラーズラグビーグラウンドに花園近鉄ライナーズを迎えてプレシーズンマッチを行った。
花園Lは、昨シーズン、ディビジョン2に降格。今シーズン、就任2年目の向井 昭吾ヘッドコーチのもとでディビジョン1昇格を目指す。元オーストラリア代表のレジェンドHB団は、SHウィル・ゲニアが先発、SOクウェイド・クーパーはリザーブに入った。また、注目の新加入、ニュージーランド代表21キャップを誇るNO8アキラ・イオアネもスターティングメンバーに名を連ねた。
神戸Sの先発にはプレシーズンマッチ初戦で負傷したFB山中が復帰。リザーブには日本代表の欧州遠征から帰ってきたHO松岡やCTB濱野が入る楽しみな布陣となった。
40分、20分、30分の変則マッチで行われた試合は、1本目の40分はコンタクトの局面で優勢に立つ神戸Sがポゼッション、テリトリーともに圧倒。4分、ゴール前でのラインアウトからモールを押し込んでトライをマークすると、さらに直後のキックオフのボールを確保しPR髙尾のラインブレイクから繋いで最後はCTBリトルのオフロードパスがWTB松永に渡り、そのままインゴールへ。その後も神戸Sが主導権を握り続ける。だが、何度もゴール前に迫りながらも最後にミスが出て仕留め切れずに終わる。追加得点は26分。ゴール前でのラインアウトからモールを押し込み、HOターナーがトライをマークする。神戸Sの優勢のまま前半を終えるかに思えたが、32分、花園Lに連続攻撃を仕掛けられ、トライを献上。すぐさまFW、BK連動した攻撃で5点を取り返すも、前半終了間際、ハーフライン付近でCTBラウマペが放ったパスをインターセプトされ失トライ、26-12で折り返した。
風下に立つ2本目の20分は、SOラファエレのキックオフが風に押し戻されて10mラインを越えずに花園Lボールのセンタースクラムに。そこから互いに中盤で一進一退の攻防を続けるも、6分、ハーフライン付近でキックレシーブからカウンターアタックを仕掛けられると、ボールを繋がれてトライを許してしまう。強い風が吹く中で神戸Sは自陣から攻撃を展開。SOラファエレのキックパスからCTBラウマペがラインブレイクし、さらにパスを繋いで、最後はWTBブルアがトライを決めて、31-17と突き放す。その後も相手の反則でゴール前まで迫るも加点できず、逆にこの日2本目となるインターセプトからトライを許し、31-22で2本目を終えた。
3本目は互いに大幅に入れ替えて、残り30分の戦いへ。しかし、3本目も2本目と同様に風下でなかなか思うようにプレーができず苦しい展開となる。反則を重ねて自陣でのプレーを強いられると、10分、FWに圧力をかけられてトライを献上。31-29と2点差に迫られた神戸Sは、13分、自陣から攻撃を展開し、FB伊藤が抜け出すとサポートしていたSH徳田にパスが渡り、インゴールへ。36-29とリードを広げたのも束の間、17分、自陣22mライン付近で得たPKが風に阻まれタッチを割らず、相手の手中に入るとそのまま攻撃を継続されトライを奪われる。さらにゴールキックも決まり、36-36の同点に。残り10分、CTBイオアサやFB伊藤といったフレッシュなメンバーが奮闘しゴール前に迫る場面があるも、スコアは動かず、そのままノーサイド。プレシーズンマッチ4戦目は引き分けに終わった。
デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(以下、HC)は「今日はフラストレーションがたまる展開になりました」と苦い表情。特に前半はほとんど敵陣でプレーし、22mライン内に何度も入った。その上で4トライという結果に、「5、6トライはできていたと思います。落ち着いて丁寧にプレーしないといけないところでミスから取り切ることができずに終わり、本来であれば前半で試合を決めないといけない内容でした」と反省した。しかし、この部分に関しては心配していないとレニーHCは話す。「プレシーズンマッチは若手や昨シーズン試合の出場機会が少なかった選手にチャンスを与えています。リーグワン開幕すれば、ベストな選手がしっかりとコンビネーションを合わせた上で戦うことになりますので、フィニッシュの精度は変わってくると思います」と語った。
ゲームキャプテンを務めた共同キャプテンのレタリックは「試合を重ねるごとに成長したところを見せる時間は長くなっています。あとはその時間をどれだけ長くできるのかだと思います」と同点という結果もチームの成長に手応えを感じている様子だった。
プレシーズンマッチは残り1試合。12月13日(金)、和歌山・上富田スポーツセンター球技場にて昨シーズンの最終節で辛勝した三重ホンダヒートと対戦する。
PR髙尾 時流
「ファーストスクラムは回されてしまったのですが、フロントロー同士でコミュニケーションを取って修正することができ、その後は良いスクラムが組めました。スクラムはプレシーズンマッチ初戦の時と比べると、どんどん良くなっていると手応えを感じています。特に (ターナー・)ジョージが日本の低いスクラムに慣れておらず組み始めた頃は苦労しましたが、ジョージもコツを掴んできて、しっかり組めるようになってきています。ただ、これからもっとスクラムは良くなりますので、引き続き取り組んでいきます。スクラム以外では個人的にサポートプレーを意識しているのですが、その部分に関しても良いところが出せました。チームとしては、良いアタックができている時間が長かっただけに、取り切るところでスコアできなかったところが残念です。精度のところは今後さらに高めていかないといけません。プレシーズンマッチも残り1試合になりました。開幕が目の前に迫りましたが、今シーズンも昨シーズンと同じように多くの試合に出場できるように頑張ります」
HO松岡 賢太
「日本代表ではプレータイムが短く、試合に飢えていたので、今日は久しぶりに50分出場することができ嬉しかったですし、改めてチームの目指すクリエイティブなラグビーは自分のプレースタイルに合っていると感じられ、楽しくプレーすることができました。ただ、長い時間プレーするのが久しぶりのことだったので、ゲームフィットネスの部分は上げていかないといけないと感じて…。日本代表では、リーグワンよりももう1段階強度が高い中で練習や試合を経験し、フィジカルの面でもその強度に慣れてコンタクトプレーに自信を持つことができました。また、代表にはリーダーシップのある選手が多く、そういう選手から練習中や試合中にどういう声をかけたらいいのかなどを学んだので、今後チームに還元できるようにしていきたいと思います。日本代表では収穫もありましたが、正直、悔しい思いが強くて…。今シーズン、神戸スティーラーズで試合に出続けて自分の存在感を出していき、日本代表入りに向けてもう一度アピールしたいと思います!」
FB山中 亮平
「プレシーズンマッチ初戦で顔を負傷し、今週からコンタクトを含めたすべての練習に復帰しました。ゲーム感覚がない中での試合になり、横との連携が合わない場面もありましたが、全体的にはこれまで練習でやってきたことを出すことができ、個人的には悪くなかったと感じています。チームとしては1本目の40分は、ずっと敵陣でプレーし何度もチャンスがあったものの、ミスで終わってしまって…。無理やりパスをしてしまうなど、プレーが雑になってしまったところは反省ですし、スコアすべきところでしっかりトライを取り切らないと厳しい試合にしてしまいます。2本目3本目は風下でのゲームになりましたが、自陣からボールキープしながらスコアすることもできていました。同点という結果になりましたが、チームとして目指すラグビーができるようになっています。フィニッシュの精度をさらに上げていき、開幕に臨むことができるよう準備したいと思います」
〜NEXT GAME〜
2024-25シーズン プレシーズンマッチ
12月13日(金)12:00 KICK OFF
コベルコ神戸スティーラーズVS三重ホンダヒート
@上富田スポーツセンター球技場(和歌山)