取材日:2024年11月22日
【試合レポート】 11月22日(金)プレシーズンマッチVSトヨタヴェルブリッツ
開幕を見据えた強豪とのプレシーズンマッチ3戦目は、チームの成長が見られた一戦に
プレシーズンマッチ3試合目は、オールブラックスを率い2011年と2015年のW杯連覇に導いたスティーブ・ハンセン氏が新たにヘッドコーチを務めることになったトヨタヴェルブリッツとの対戦だ。
神戸スティーラーズは、共同キャプテンのレタリックが今シーズン初めて試合メンバーに名を連ねた。また、FWにはジャッカルのスキルはアーディ・サベア以上とデイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチから評価されるNO8ポトヒエッターが先発出場。バックスに目を転ずると、怪我から復帰のWTBモエアキオラ、3試合連続でトライをマークするWTBブルア、FBには松永が起用された。
対するトヨタVは、今シーズン、パナソニックワイルドナイツから移籍のSO松田 力也、スコットランド代表のLOリッチー・グレイといった注目の新加入選手に、ニュージーランド代表114キャップを誇る経験豊富なSHアーロン・スミスや、昨シーズン13トライをマークし決定力ある走りが魅力のWTB高橋 汰地といった顔ぶれ。開幕を1ヶ月前に控え、プレシーズンマッチとはいえ白熱の戦いが予想される。
平日にもかかわらず1,000人近い観客が見守る中、開始された試合は、相手の強みであるフィジカルで対等に渡り合い、多彩な攻撃で揺さぶりをかける。先制は神戸S。トヨタV陣10mライン付近のスクラムから連続攻撃を仕掛けてゴール前まで前進。プレッシャーがかかる中で左中間のラックからSH日和佐が飛び込む。SOラファエレのゴールキックも決まり、7-0。しかしその直後、キックオフのボールを弾いて相手に奪われてしまうと、そのまま走り切られてトライを献上。ゴールキックも成功し7-7と振り出しに戻った。そこから流れはトヨタVに。神戸Sはキックで自陣を脱出しようとするも、風下ということもあり、強風に押し戻される。さらにラインアウトやスクラムが安定せず、苦しい展開。24分、自陣での反則からゴール前でトヨタVボールのラインアウトとなると、モールを押し込まれて失トライ、逆転を許してしまう。しかし、神戸Sはボールを持てば連動した攻撃を見せる。29分、自陣ゴール前で反則を得ると迷うことなく速攻を仕掛けて、パスをもらったCTBラウマペが力強い走りでビッグゲイン。FW、BK一体となってボールを運び、最後はCTBラウマペが中央へトライ。SOラファエレのゴールキックで再び同点とした神戸SはFB松永が好走を見せるなど勢いづくも、ミスや反則によりリズムを失うと、39分、22mライン付近でのラインアウトからボールを展開されてトライを奪われる。14-19と5点ビハインドで試合を折り返した。
両チームともに大幅にメンバーを変えて、残り40分の戦いへ。中盤での拮抗した攻防が続く中、後半も先にスコアしたのは神戸S。11分、ゴール前ラインアウトからモールを押し込み、HO北出がグラウンディング。さらに直後のキックオフを確保すると、LOカウリートゥイオティがフィジカルの強さでディフェンスをこじ開けてラインブレイク。FLララトゥブアへと繋いで、最後はサポートしていたSH中嶋へとパスが渡りゴールラインを駆け抜ける。
その後も神戸Sが主導権を握り、22分にLOカウリートゥイオティがトライをマークする。
ゴールキックも決まり、33−19とリードを広げた。33分にトヨタVにサインプレーからトライを献上するも、後半からグラウンドに入ったFB伊藤やWTB船曳といった若手が躍動。全員がやるべきことをやり切り、33-26で神戸Sが勝利した。
この日61歳の誕生日を迎え、試合後、選手やスタッフから拍手で祝われたレニーHCは
「試合を重ねるごとにチームは成長していて、キャリー、クリーンアウト、タックルといった攻守でのプレーの精度が上がりました。練習で取り組んでいることを発揮できる場面が多くなっています」と笑顔を見せた。また「後半25分は、経験の少ない若手を多く起用しましたが、これまでの2試合と比べて、レベルアップしたところを見せてくれました」と評価する。もちろん、まだまだ課題も多いとも話す。特にこの試合ではラインアウトに関しては成功率が低かった。
「相手にグレイがいた影響もあり、チャレンジされる場面が多く、ラインアウトから自分たちのやりたいアタックが展開できなかったという反省があります。ただ、この部分に関しては修正することができます。開幕までにすべての面においてレベルを上げていきます」と意気込んだ。
お互いに代表活動等で出場していない選手も多いが、自分たちの現在地が見えた一戦になったといえる。
次のプレシーズンマッチは、2週間後の12月7日、ディビジョン2に所属する,,花園近鉄ライナーズとの一戦だ。神戸スティーラーズは開幕に向けてさらにチーム力を高める。
L0ブロディ・レタリック(共同キャプテン)
「個人的には昨シーズンの最終戦から久しぶりの実戦になりましたが、いい感覚でプレーできました。チームについては、初戦のS東京ベイ戦から比べると攻守での連携が良くなったと感じました。ただ、まだまだ良くなります。それに前半の終盤、反則が続いたところも反省点です。昨シーズンはプレーの一貫性や精度という面が足りずに敗れて5位という結果に終わりました。開幕まで1ヶ月、チームとして80分間、一貫性をもったパフォーマンスができるよう取り組んでいきたいと思います」
SOラファエレ ティモシー
「3試合続けてスタンドオフでプレーしています。キックを使いながらゲームコントロールしようと意識し、良いアタックができる場面が増えてきて、スタンドオフとしてのプレーに手応えを感じています。今後はセンターでのプレータイムを得て、スタンドオフでもセンターでも出られるよう,、準備していきたい。チーム全体としてはSA広島戦から5日間と短いながらも、良い準備ができて、それをそのまま発揮できた試合になりました。まだまだ修正しないといけないところも多いですが、トヨタVを相手に勝利でき、ハッピーです」
WTBアタアタ・モエアキオラ
「昨シーズンは開幕前に行われた花園L戦で前十字靭帯を断裂し、リーグワンに出られずに終わりました。レニー体制となり、これまで以上にハードワークし、好感触を得ていた中での怪我だったので悔しい思いがあって…。今シーズンは昨シーズンの分まで活躍したいという思いが強い中で、7月から3ヶ月、NPCのマナワツ・ターボスでプレーし、試合感覚やフィットネスをいち早く取り戻すことができたことは良かったです。今日は、前半40分の出場時間でたくさんボールをもらって仕事をしようとワークレートを意識していたのですが、シンビンもあるなど、あまり良いパフォーマンスが発揮できなくて…。ウィングもセンターもいい選手が多いので、すべてにおいてレベルアップし、強みであるフィジカルでは絶対に負けないようアピールして、今シーズンはリーグワンに出場したいと思います」
FB松永 貫汰
「怪我もあり、プレシーズンマッチ初戦は出ることができずに、先週のSA広島戦が今シーズン初出場となりました。SA広島戦は良いところでボールをもらえなくて、この試合ではボールタッチの回数を増やすことにフォーカスして臨みました。今日はフルバックということもあってウィングの時と比べてボールタッチの回数も多く、周りを見ながらフットワークを使って自信を持ってアタックすることができて、良い感触を得ました。ただ、前半は風下ということもあり、キック処理にもたついてしまったこともありましたし、ディフェンスでも周りとの連携の面で課題が出たので、修正しなくてはいけません。今シーズンの個人の目標は、昨シーズンと同じく全試合でメンバー入りすることです。チームから求められる役割をしっかり果たせられるよう頑張ります」
〜NEXT GAME〜
2024-25シーズン プレシーズンマッチ
12月7日(土)12:00 KICK OFF
コベルコ神戸スティーラーズVS花園近鉄ライナーズ
@コベルコ神戸スティーラーズラグビーグラウンド
(旧灘浜グラウンド)