取材日:2024年8月26日
2024-25シーズン新加入選手インタビュー ソセフォ・ファカタヴァ選手&イノケ・ブルア選手
横浜キヤノンイーグルスから加入したFLソセフォ・ファカタヴァ選手&WTBイノケ・ブルア選手。ソセフォ・ファカタヴァ選手はトンガ出身の26歳。双子の兄は、リコーブラックラムズ東京に所属するファカタヴァ タラウ侍選手とファカタヴァ アマト選手です。WTBイノケ・ブルア選手は、フィジー出身の25歳。横浜E入団1年目のNTTリーグワン2022-23では、リーグ戦で13トライを上げ、チーム初のプレーオフ進出に貢献しました。同じ時期にコベルコ神戸スティーラーズへ移籍することになった両選手の新加入インタビューをお届けします。
「多くの試合に出て、日本一になることが目標です!」(ファカタヴァ選手)
「今シーズン、トライ王を狙いに行きます!」(ブルア選手)
FL、NO8、LO
ソセフォ・ファカタヴァ
SOSEFO FAKATAVA
PROFILE
- 生年月日、出身地/1997年10月25日生まれ(26歳)、トンガ・ヌクアロファ出身
- 経歴/目黒学院高校→福岡工業大学→横浜キヤノンイーグルス
- ポジション/FL、NO8、LO
- 身長・体重/186cm・113kg
WTB、CTB
イノケ・ブルア
INOKE BURUA
PROFILE
- 生年月日、出身地/1999年5月30日生まれ(25歳)、フィジー・スバ出身
- 経歴/流通経済大学→サンウルブズ(SR)→横浜キヤノンイーグルス
- ポジション/WTB、CTB
- 身長・体重/178cm・95kg
始動したばかりですが、毎日がとても楽しいです!
――まず両選手はチームメイトから何と呼ばれているのでしょうか。
ファカタヴァ「ニックネームは『セフィー』です。セフィーと呼んでください」
ブルア「ノックスと呼ばれています。フィジーでは『イノケ』という名前の人は『ノックス』と呼ばれることが多いんです」
――チームは始動したばかりですが、セフィーとノックスは神戸スティーラーズの練習に参加してどうですか。
ファカタヴァ「キツイですが、とても楽しいですね」
ブルア「横浜Eでは走るトレーニングが多かったのですが、神戸スティーラーズでは走るだけでなく、スキルの練習にも時間を割いて取り組んでいます。まだラグビーの練習はしていないですが、楽しくて、毎日があっという間に過ぎていく感じです」
――2人が神戸スティーラーズに移籍を決めたのはどういう思いからなのでしょうか。
ファカタヴァ「横浜Eではなかなか試合出場の機会がなくて。新しい環境で成長して、試合にたくさん出たいと思いました。神戸スティーラーズのラグビーに早く慣れて、すべてにおいてレベルアップしたいと思います」
ブルア「オフロードパスなど、高いスキルが必要な神戸スティーラーズのラグビーをすることで成長できると思いました。キックやパスのスキル、タックルなどをレベルアップさせたいですし、ラグビーの理解度を高めていきたいです」
――デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチから何か言われましたか。
ファカタヴァ「すべての練習で100パーセント出し切り、成長するように言われました」
ブルア「特に何かを言われたわけではないですが、すごく優しくて良い人だなと思いました。レンズはナショナルチームを率いたこともあるヘッドコーチですし、彼のもとでラグビーができるのも楽しみです」
――いつから神戸に?
ファカタヴァ「7月、神戸に引っ越してきました」
ブルア「セフィーと同じです。それから始動まで灘浜グラウンドでセフィーやチームメイトと一緒に自主トレーニングをしていました」
――チームには横浜Eの先輩であり、セフィーと同じトンガ出身のサウマキ アマナキ選手がいます。
ファカタヴァ「ナキ(サウマキ アマナキ)が日本代表合宿から離脱してからはずっと一緒にいますね。ナキはチームのことだけでなく、神戸の街のことも知っているので心強い存在です」
――ノックスは誰と一緒にいることが多いのでしょうか。
ブルア「セフィーとナキ以外では、同じフィジー出身のワイス(ワイサケ・ララトゥブア)とよく一緒にいますね。ワイスは僕より年齢は1歳上なのですが、僕の方が先に日本に来て大学に進学しました。実はワイスとは高校時代に一度試合をしたことがあるんです。その時は喋ったりしなかったのですが、僕が大学2年でワイスが東海大学1年の時に練習試合をして、そこから仲良くなりました。けど、まさか同じチームでプレーすることになるとは思わなかったですね」
来日当初は日本語に苦労しました
――これまでの競技歴を伺いたいのですが、2人はいつラグビーをはじめたのですか。
ファカタヴァ「もともとサッカーをしていたのですが、友達に誘われて、8歳の時にラグビーをはじめました。そうしたらラグビーの名門校であるトンガカレッジからスカウトされて。トンガカレッジで1歳上のアタ(アタアタ・モエアキオラ)と一緒になりました」
ブルア「僕は高校1年の時からです。父も母も医者をしていて僕も子どもの頃から勉強に力を入れていました。高校は全寮制でラグビー部がなかったので、別の高校でラグビーをすることにしました」
――セフィーは高校から、ノックスは大学から日本へ。きっかけを教えてください。
ファカタヴァ「兄であるアマトとタラウがニュージーランドへ留学していたこともあり、僕も同じ道を進もうと考えていたのですが、目黒学院高校の先生がトンガカレッジに来た時にスカウトされて。それで、考えた末に日本に行くことに決めました。同じ時にアタとテビタ(・タタフ)もスカウトされていて、彼らは先に留学し、1年後に僕が日本へ行くことになりました」
ブルア「流通経済大学の監督がたまたまフィジーに来た時に僕の出ている練習試合を見て、そこで声をかけられました」
――来日する前に日本のことや日本のラグビーのことは知っていたんですか。
ファカタヴァ「僕はほとんど何も知らなかったですね(笑)」
ブルア「フィジー出身のネマニ・ナドロ(当時のNECグリーンロケッツ)選手がプレーしていたことを知っていたくらいでした。あと、ソニー・ビル・ウィリアムズ選手。彼もトップリーグ(当時)で1シーズン、プレーしましたよね。日本のことはほとんど何も知らなくて(苦笑)。来日してからは言葉に苦労しました」
ファカタヴァ「僕もそうですね。日本語が全然わからなかったので、何か言われたら『ナニ?』と返事していました。それで、いつも『ナニ?』と言っていたら、先生からめちゃくちゃ怒られて(苦笑)。そこからちゃんと勉強するようになり、3年の時には言葉の問題はなくなりました」
ブルア「僕も2年ほど大変でしたが、3年の時には話すことができるようになりました」
――今は通訳を介することなく、日本語で話してくれていますが、来日当初は大変だったんですね。
ファカタヴァ「大変でしたが、高校にアタやテビタがいたので、すごく助かりました。来日した当初は日本語も話せないし、少しホームシックになりましたが、2人がいたので乗り越えることができました」
いろいろなポジションを経験してきました
――モエアキオラ選手は現在、ニュージーランドへ派遣されているので、チームに戻ってくるのが楽しみですね。ところで、両選手のポジションの変遷を教えてください。
ファカタヴァ「ラグビーをはじめた頃はバックスでプレーしていました。センターやスタンドオフでプレーしていて。高校でもセンターだったのですが、プロップをしたことがあります。プロップの選手が全員怪我をしたので、『1番』をすることになって。スクラムの時に相手の『3番』から『大丈夫?』と言われて、結局、その試合は負けました(苦笑)。あと、フッカーもやったこともあります。大学では、センターをメインにNO8でプレーすることもありました。横浜Eに入団した当初は僕がセンターで、ナキがウイングだったんです。それで、2020-21シーズン、沢木(敬介)さんがヘッドコーチに就任した時に、ナキと僕は『フォワードをやってみないか』と言われて。それからフォワードをすることになりました」
ブルア「最初はフランカーやNO8でプレーしていたんですが、コーチからセンターに転向するように言われて。大学ではセンター、ウィ ングでプレーするようになりました。ただ、練習試合ではフランカーで出たこともあります」
――セフィーもノックスもいろいろなポジションを経験していますが、一番好きなポジションは。
ファカタヴァ「どのポジションでもできる自信はありますが、やっていて一番楽しいのはバックロー、特にフランカーが好きです」
ブルア「ウィングですね。ボールをもらってトライを取るのが楽しいですね!」
――試合に出たら、どこに注目してほしいですか。
ファカタヴァ「ボールキャリーとタックルの激しさですね。フィジカルの強さを前面に出したコンタクトプレーには自信があるので、注目してほしいです」
ブルア「ボールを持った時のプレーを見てほしいです。ボールをもらったらトライします!」
――反対に「ここを伸ばしたい」というところがあれば教えてください。
ファカタヴァ「ワークレートを上げるためにフィットネスレベルを上げたいです。開幕までにフィットネスを強化して試合メンバー入ることができるようにします」
ブルア「神戸スティーラーズのウィングの選手はみんな足が速いので、スピードアップに取り組んでいます。それと、ディフェンスに関してはタックルをもっと良くしたいと思います。もっと激しく相手を倒せるようにしていきたい。あと、最初に言ったようにキック、パスといったスキルを伸ばして、ラグビー理解度を高めていきたいです」
ともに目標は日本代表になること!
――まだまだ20代半ばと若い両選手ですが、今後、どういう選手になっていきたいですか。
ファカタヴァ「僕は元ニュージーランド代表のリッチー・マコウ選手のようなバックローになりたいです。ワークレートが高くて、80分間、体を張り続ける。フィットネスレベルを上げて、そういう選手に近づけるように頑張ります」
ブルア「昔はソニー・ビル・ウィリアムズ選手が好きだったんですが、今は埼玉パナソニックワイルドナイツのマリカ・コロインベテ選手です。オーストラリア代表のテストマッチをよく見ていて、彼のスピード、強さに憧れていました。リーグワンで最初に対戦した時は、彼と同じグラウンドに立っていることが信じられなくて!本当に嬉しかった。彼のようなワールドクラスの選手になれるよう努力します」
――今シーズンの目標は。
ファカタヴァ「多くの試合に出て、リーグワンチャンピオンになることです!」
ブルア「昨シーズンはリザーブで出ることが多かったので、今シーズンは横浜E入団1年目のシーズンのようにスタートから出場し、たくさんトライを取ります!トライ王になれるよう頑張ります」
――ラグビー選手として達成したい目標は。
ファカタヴァ「子どもの頃はトンガ代表になることでしたが、日本に来てからの目標はずっと日本代表です。昨年、兄のアマトは日本代表としてラグビーワールドカップに出場しました。今度は3兄弟で日本代表に選ばれてラグビーワールドカップに出たい。そのためにも神戸スティーラーズで試合に出て活躍したいと思います」
ブルア「僕も日本代表になることです。ハードワークして、夢を叶えられるようにしていきます」
――いつもチームを応援してくれているスティールメイツも両選手の活躍を楽しみにしていると思います。そんなスティールメイツへメッセージをお願いします。
ファカタヴァ「練習から100パーセント出し切って、試合メンバーを勝ち取りたいと思います。激しいプレーを楽しみにしていてください。応援よろしくお願いします!」
ブルア「『ノックス』と呼んでください!試合に出たら、トライを期待していてください。熱い応援よろしくお願いします」
横浜キヤノンイーグルス時代は年齢が近いこともあり仲が良く、グラウンドにいつも一緒に通っていたという2人。神戸スティーラーズへの移籍はまったくの偶然だったそうで、また同じチームでプレーすることになり、「嬉しい!」と声を弾ませていました。コベルコ神戸スティーラーズの印象は「みんな、優しくて、楽しい人たちばかり」と言い、オフシーズン中にすっかりチームに馴染んだ様子。インタビューも通訳なしで行うほど、日本語もばっちりな、セフィーとノックス。今後の活躍に期待大です!