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ロングインタビュー

2023-24シーズン退団選手インタビューPart.10  張 碩煥

 取材日:2024年5月15日

2023-24シーズン退団選手インタビューPart.10 張 碩煥

2018-2019シーズン、トップリーグ優勝の立役者の1人が退団することになりました。韓国代表として活躍し、2016-2017シーズンに神戸スティーラーズへ。持ち前のフィジカルの強さに加えて、年々スキルが高まり、神戸ラグビーを体現する上で不可欠な存在に。張選手に神戸スティーラーズに在籍した8シーズンを振り返ってもらいました。

張 碩煥

SEOKHWAN JANG

PROFILE
  • 生年月日、出身地/1991年11月27日生まれ(32歳)、韓国・清州出身
  • 経歴/忠北高校→延世大学
  • 入団年次/2016年
  • ポジション/LO
  • 身長・体重/193cm・120kg
  • 代表歴/韓国代表(4キャップ)
  • 2023-24シーズンまでのチーム公式戦出場回数/79

「チームメイトは家族、神戸スティーラーズはホーム。
これからは僕もSteel Matesの1人として応援します」

2016年に入団した当時は梁 正秋選手(トヨタヴェルブリッツ)に通訳をしてもらっていましたが、あっという間に日本語を話せるようになった印象です。

「入団2年目の春に、ザキさん(山﨑 基生/日野レッドドルフィンズ)、シンタ(林 真太郎)と一緒にチーフスへ武者修行したことで、一気に日本語のレベルが上がりました。2ヶ月間、グラウンドでは英語でしたが、プライベートでは3人で生活し日本語で会話して。ラグビーの面ではフィジカルの強い選手と練習や試合をして成長することができましたし、グラウンド外ではザキさん、シンタとずっと一緒でとても楽しかったです」

韓国代表でも活躍していた張選手が日本でプレーするきっかけを教えていただけますか。

「日本はラグビーのレベルが高いので、競技を続けるなら日本でプレーするのがいいんじゃないかと高校の先生から言われていたこともあり、当時のトップリーグでプレーすることが目標でした。高校卒業後は韓国軍体育部隊(尚武でプレーしていて、韓国代表に選ばれたのですが、代表でのプレーを平尾(誠二)さん(元GM)がご覧になられていたそうで、藤(高之)さん(チームマネージャー)を通じてオファーがあり入団することになりました。連絡があった時はとても嬉しかったことをよく覚えています」

実際に神戸スティーラーズに入団してどうでしたか。

「入団する1年前に試合を見る機会があったのですが、想像していた以上にレベルが高くて驚きました。実際に入団したら、同じポジションには南アフリカ代表でも活躍していたスコッティー(アンドリース・ベッカー)や日本代表でラグビーワールドカップ2015イングランド大会に出場した(伊藤)鐘史さんがいて、とんでもないところに来たなと思って。けど、なんとかして試合に出たいという思いがありましたので、ラインアウト、スクラム、モールなど、スコッティーや鐘史さん、橋本(大輝)さんといった先輩たちに教えてもらって成長することができました。1年目から試合に出ることができて経験を積めたことは良かったです。ただ、1年目はあまり日本語がわからなかったので、フルコンタクトではない練習の時に全力でタックルに入って先輩から怒られることもありました(苦笑)。それも良い思い出ですね」

2018-2019シーズンは、体制が変わり、ウェイン・スミス(ラグビーコーチメンター/チームアンバサダー)氏が総監督を務めることになりました。

「FW、BKが連動し、素早くボールを動かしてアタックを展開するラグビーを目指すことになり、FWにも高いハンドリングスキルを求められました。それまではボールをもらったら相手に当たっていくことしか考えていなかったですが、そのシーズンからスキル練習に取り組みました。また、チームの一員になったトム(・フランクリン)からハンドリングについて教えてもらったことで、僕自身のプレースタイルが変わったと思います。トムは僕のハンドリングの先生です。パスを受ける時、パスする時の手の位置など1から教えてもらいハンドリングスキルを身に付けることができて、プレーのオプションが増えました。2018-2019シーズンはたくさん学んで、これまで以上にたくさん成長できて、神戸ラグビーを体現することも楽しかったです」

2018-2019シーズンは優勝を経験しましたしね。

「日本に来てから、試合に出て優勝することを目標に掲げていましたので、それが達成できて嬉しかったです。レガシー活動を通じて神戸の街のことや会社のこと、チームの歴史を知ることができて新鮮でしたし、改めてチームのために頑張ろうと思いました。チーム自体もバックボーン(試合メンバー外の選手)を含めた全員がひとつになって、雰囲気もすごく良くて。サントリーサンゴリアス(当時)との決勝戦は、神戸製鋼所の作業着を着て、グラウンドに出て、サポートしてくれるみんなのために全力で頑張ろうと思いました。自分自身のパフォーマンスも良かったですし、決勝戦は在籍した8シーズンの中でもっとも印象深い試合ですし、最高の思い出です」

8シーズンは長かったですか。

「あっという間でしたね。2016年に日本に来て、もう8年も経ったのかという感じで。神戸ラグビーを経験し、ラグビー選手としてたくさん成長させてもらいました。リーグワンになってからは、各チームのレベルが上がり、チームも僕自身も厳しいシーズンになっていますが、ずっと成長し続けることはできたと思います」

とはいえ、張選手は、リーグワン初年度は12試合、昨シーズンは13試合に出場しています。ただ、今シーズンは入団してから初めて出番がなく終わりました。

「今シーズンは体調を崩して10月に手術を受けたんです。開幕直前の12月上旬に復帰したのですが出遅れてしまって。試合には出られなかったですが、レンズ(デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ)が目指すラグビーは、2018-2019シーズンのラグビーとも違っていて、キックをたくさん使いますし、それぞれの役割がこれまで以上にはっきりして。そういうラグビーを経験したことがなかったので勉強になりました。それと、ガズラ(ブロディ・レタリック)とまた一緒にプレーできたことも良かったです。ガズラはフィジカル、フィットネス、スピード、スキル、すべての面でハイレベルです。世界1のロックとプレーできたことも素晴らしい経験になりました」

プレーやラグビーを取り組む姿勢で影響を受けた選手はいるのでしょうか。

「プレーに関しては、トム、橋本さん、鐘史さん、スコッティーなど、たくさんの選手から教えてもらって影響を受けました。姿勢は、ヤンブーさん(山下 裕史)です。毎朝6時にクラブハウスに来てトレーニングをして、もちろん体調管理もしっかりされています。プロ意識が高くて尊敬しています」

張選手にとってコベルコ神戸スティーラーズで過ごした8シーズンとはどういうものになりますか。

「オンフィールドも、オフフィールドもとても楽しかったです。すべてのことが忘れられない思い出ですし、これまでの人生の中でもっとも良い時間を過ごすことができたと思います。チームメイトのことは家族のように感じていて、神戸スティーラーズは僕にとってホームです。だから、神戸を去ることはとても寂しいです」

今後はどうされるのでしょうか。

「まだ決まっていないですが、ラグビーを続けたいと思っています。そして、いつか神戸スティーラーズで学んだことを活かして、韓国で指導者になってラグビーのレベルを上げることができたらと思っています」

チームに期待することは。

「リーグワンになってから厳しい戦いが続いていますが、今シーズン、チームは成長できたと思います。レンズのもとでハードワークして、来シーズンこそ優勝してほしいです!」

では最後にSteel Matesの皆様にメッセージをお願いします。

「ラグビーワールドカップ2019日本大会の後、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で行われた試合には3万人以上の方に足を運んでいただきました。こんなにも多くの観客の前でプレーしたことがなかったので、とても興奮しました。Steel Matesの皆様は、いつも僕たちをあたたかく見守って、応援してくれて、最高のサポーターです。皆様の声援から力をもらっていました。8シーズン、ありがとうございました。これからは僕もSteel Matesとしてコベルコ神戸スティーラーズを応援していきたいと思います!」

神戸スティーラーズでラグビー選手として多くのことを学び、成長し続けることができた。そう力を込めて話してくれた張選手。ゆくゆくは日本での経験をいかして、韓国で指導者になって母国の競技レベルのさらなる向上に貢献したいと語ってくれました。選手としてはもちろんですが、近い将来、指導者として活躍することを期待せずにはいられません。

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