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試合後のコメント

3月4日(土)「NTTリーグワン2022–23」第10節東芝ブレイブルーパス東京戦試合レポート

3月4日(土)「NTTリーグワン2022–23」第10節東芝ブレイブルーパス東京戦試合レポート

前節と同じく後半に大量失点し、大敗。神戸スティーラーズはここから這い上がる。

3月4日(土)東京・秩父宮ラグビー場で神戸スティーラーズは、東芝ブレイブルーパス東京と対戦した。ともに4勝5敗。今節はプレーオフ戦線の生き残りを賭けた重要な一戦だ。神戸スティーラーズは、キャプテンの橋本と司令塔の李が前節でHIA判定を受け、メンバーから外れた。また、これまで攻守で活躍するクッツェーが体調不良により、急遽欠場となった。入団5年目のSO日下、アーリーエントリーのNo.8コストリーがメンバー入りし、逆境の中でチームの底力を見せると誓った。

SO日下のキックオフではじまった試合は、WTB井関がキックオフボールをキャッチした相手をタッチラインへと押し出し、BL東京陣22mライン付近でマイボールのラインアウトのチャンスに。連続攻撃を仕掛けるも、ディフェンスのプレッシャーを受け、反則を取られてしまう。スコアはできなかったが、立ち上がりから攻守にわたり積極的な姿勢を見せる神戸スティーラーズ。その後も、FB山中のキックが「50:22」になるなど、ボールを保持して敵陣でプレーする。しかし、勝負どころでミスや反則が出て取り切ることができない。逆に16分、ゴール前ラインアウトからモールを押し込まれ先制トライを献上。ゴールキックも決まり、0–7に。まだまだ時間はある。神戸スティーラーズは、SH日和佐のテンポの良い球出しから素早い連続攻撃で前進する。そこで、SO日下のパスがスローフォワードとなり、BL東京ボールのスクラムに。ここでフロントローが踏ん張り、反則を得ると、BL東京陣ゴール前ラインアウト。「GO GO KOBE!」のコールを受け、モールを押し込むも、相手の固いディフェンスからミスを犯してしまう。拮抗した展開が続く中、30分、PGで追加得点を許し、0–10に。もうこれ以上離されたくない神戸スティーラーズは、その直後、WTB井関が相手の蹴ったボールをチャージ。PR中島が反応しボールを拾い上げると、攻撃を継続。ゴール前のラックからSH日和佐がFB山中へと繋ぐと、山中が裏へとキックを転がす。タッチライン際に立つWTB井関が猛スピードで追いつき、ボールをキャッチしグラウンディング。ノーホイッスルトライに会場が湧き上がった。ここで勢いづくかと思いきや、自陣での反則などがあり、ディフェンスの時間が続く。40分、BL東京にPGを決められ、5–13で前半終了。

勝負の後半。先に得点し、反撃したいところだったが、立ち上がり自陣で反則を犯すと、3分、神戸陣ゴール前ラインアウトからボールを展開されトライを許す。取られたら取り返すとばかりに、7分、BL東京陣22mライン付近マイボールスクラムから左右にボールを動かすと、SH日和佐がラックからボールを持ち出してゴール前へ。さらに、LOシカリングからPR中島へとつなぎ、そのままインゴールへ飛び込む。しかし、相手のディフェンスに阻まれて、ノートライに。攻め込むも、スコアに結びつかない。12分には、初めての先発出場ながらキックを巧みに使い、エリアマネジメントをしたSO日下のプレーがハイタックルとなり、シンビンの判定が下されて1人少ない状況になると、13分、21分と、立て続けにトライを奪われてしまう。5—32とリードを広げられる中で、ゲームキャプテンを務めるSH日和佐が「神戸のプライドを見せよう」と仲間を鼓舞する。24分、ハーフライン付近でWTB山下(楽)が相手のキックをキャッチすると、そこからカウンターアタックを仕掛ける。FW、BK一体となった攻撃で前進すると、FB山中がラインブレイク。ラストパスを受けたWTBモエアキオラがトライラインを駆け抜ける。ゴールキックも決まり、12−32に。この後、イエローカードが出たSO日下がHIAの判定となり、後半10分、CTBリトルと交代したWTB井関が再びピッチに入るなど、不測の事態となるも、下を向かずに戦う神戸スティーラーズ。71分、WTBモエアキオラの突破からNo.8コストリーへとパスが渡り、あっという間に敵陣深くへ。ディフェンスのプレッシャーを受け、コストリーはボールを落とすも、素晴らしい攻撃を見せる。しかし、36分、WTB山下(楽)がラックへと飛び込んだ際、肩が相手の頭に入り、危険なプレーとなり、レッドカードの判定が下されてしまう。終盤、さらに2つのトライを決められ、ノーサイド。12–51と大差で敗れる結果に終わった。

記者会見の場に現れたゲームキャプテンのSH日和佐は「応援に駆けつけてくれたファンの方に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と声を絞り出した。前半、多くのチャンスを作り出すも、後半で6トライを許すという展開に、ホルテンヘッドコーチは「得点するべきところでトライできずに、スコアボード上でプレッシャーをかけられなかった。逆に時間が経つにつれ、接点で負けはじめ、そこで反則やイエローカードが出て、最終的に自分たちから崩れていく形になってしまった」と前半の戦い方を悔やみ、自滅したと述べた。ベテランの山中も「反則、イエローカード、レッドカードと、自分たちから崩れている」と厳しい表情で話す。

この試合、明るい材料となったのは、アーリーエントリーのNo.8コストリーの活躍だ。大学ラグビー界において、決して強豪とはいえない大学(IPU環太平洋大学)でプレーしていた選手ながら、リーグワンで通用するところを見せた。ホルテンヘッドコーチは「高い強度の中でも素晴らしいプレーが多々ありました。彼の活躍は、神戸スティーラーズの今後に繋がります」と評価した。また、後半12分まで攻撃のタクトを振ったSO日下についても「前半は敵陣でのプレーも多く、うまくエリアマネジメントしてくれました。HIAで交代することになりましたが、この経験は彼の将来に活きることと思います」と語った。

No.8コストリーは「求めていた結果ではなかったですが、デビューできたことはすごく嬉しいです。今日は、早く立ち上がって、次の仕事をするなど、ワークレートのところを意識していました。ただ、それができたかどうか…。また、後半、アタさん(アタアタ・モエアキオラ)からボールをもらってラインブレイクした後、ノックオンしてしまいました。繋がっていれば、トライになっていたかもしれません。今後は絶対にやらないようにしないと。もっと成長して、神戸スティーラーズを強くできるようにしたいと思います」と抱負を述べた。

6敗目を喫し、プレーオフ進出はかなり厳しいものになったと言わざるを得ない。

ホルテンヘッドコーチは「この結果を受け止めて、その上で修正すべきところを修正し、前に進んでいく」と諦めない姿勢を見せる。次節は、3月10日(金)東京・秩父宮ラグビー場にてリコーブラックラムズ東京と対戦する。もうSteel Matesをがっかりさせたくない。

山中は「こんな試合をしていたらいけない。ディフェンスを含め、すべての精度を上げないと」と語っていた。ショートウィークではあるが、できることをすべてやり切って、神戸スティーラーズは次節に臨む。

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