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試合後のコメント

2月19日(日)「NTT リーグワン2022–23」第8節静岡ブルーレヴズ戦試合レポート

 取材日:2023年2月19日

2月19日(日)「NTT リーグワン2022–23」第8節静岡ブルーレヴズ戦試合レポート

終始アグレシッブさを失わず戦い、後半40分逆転PGを決めて14点差からの劇的勝利

2週間前に行われた前節で今シーズン好調の三菱重工相模原ダイナボアーズを撃破し、復調の兆しが見えた神戸スティーラーズは、2月19日(日) 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場に現在2連勝中と勢いに乗る静岡ブルーレヴズを迎えた。試合前、キャプテンの橋本は、「静岡BRは、埼玉パナソニックワイルドナイツに接戦を演じるなど、力のあるチームです。僕らは自分たちのやるべきこと全うし、チャレンジャーとして向かっていきます」と力を込めた。また、第4節以来のスタメン出場となったSH日和佐は、ホストゲームということもあり、地元ファンの前で「良い試合を見せたい」と意気込んだ。前節同様に戦う姿勢を前面に出し、熱い試合をすると誓った。

朝から雨が降るあいにくの天気となったが、試合前には天候も回復。会場には約3200名のSteel Matesとブルーレヴズファンが集まった。

相手キックオフではじまった試合は、5分、静岡BR自慢のスクラムから連続攻撃を仕掛けられ、先制トライを許すも、神戸スティーラーズがすぐさま反撃を開始する。7分、S0李のキックがチャージされるが、LO張がボールをうまく拾って、李へ繋げると、サポートしていたSH日和佐へパス。このパスが手を伸ばした相手に当たり、ルーズボールを日和佐がキックで転がし、ゴール前で自らキャッチ。ディフェンスに阻まれながらもインゴールへと飛び込みトライ。5–5と試合は振り出しに戻った。15分、ゴール前約35m中央で反則を得ると、ショットを選択し、李が難なく沈めて、8–5とすると、静岡BRも23分、PGを決め、8–8と再び同点に。26分には、敵陣22mライン付近のラインアウトからFW・BK一体となった連続攻撃で前進すると、最後は4試合ぶりに戦線復帰したCTBリトルがタックルを次々と交わしてインゴールへ。ゴールキックも決まり、15–8とする。しかし、勝ち越したのもつかの間、相手のキーマンであるNo.8スミスがラインブレイク。ゴール前でなんとかWTBモエアキオラが追いつくも、その後のプレーでCTBリトルが故意の反則を犯し、イエローカードが提示されると、流れが一変。33分、ゴール前ラインアウトからBKへと展開しトライを許すと、36分には、敵陣深くに攻め込むものの、パスが乱れたところを相手にボールを拾われて、一気にトライまで持ち込まれ、連続トライで15–22に。前半終了間際、スコアのチャンスがやって来る。敵陣10mライン付近からモールを押し込み、反則を得る。前半終了間際ということもあり、ショットという選択肢もある中で「押せるという手応えがあった」と橋本の言葉通り、タッチに蹴り出してトライを狙いに行く。ゴール前でのラインアウトは、ノットストレートになるも、神戸スティーラーズの戦う姿勢が見えた瞬間だった。

15–22で迎えた後半、互いにミスが目立つ立ち上がりに。9分、自陣10m付近中央で反則を犯し、静岡BRはショットを選択するもキックは外れ、スコアは変わらず。しかし、13分、22mライン付近での相手ボールラインアウトから展開され、トライを献上。ゴールキックも決まり、15–29。差を広げられ、重い雰囲気に包まれたが、キャプテンの橋本や経験豊富なクッツェーが皆に声をかける。

「気持ちを切り替えて、自分たちのやるべきことをやり続けよう」

「目の前の1つ1つの小さなバトルに勝っていこう」

チームは再び息を吹き返す。18分、ゴール前ラインアウトからモールを押し込んで前進。そこで反則を得ると、CTBリトルが速攻を仕掛け、そのままインゴールに飛び込みトライ。SO李のキックも決まり、22–29。24分、神戸陣10mライン付近中央での反則に対し、静岡BRはショットを選択。これはポストに届かず、ボールを拾い上げたFB山中のロングキックで、エリアを取り戻す。その後、ハーフライン付近の相手ボールスクラムでは、PR前田(翔)から代わったベテラン山下(裕)がプレッシャーをかけ、反則を誘うと、PKから敵陣22mライン付近のラインアウトに。ここから幾度となくチャンスを得るも、ミスでスコアすることができない。逆に、反則から自陣深くと入られ、キックを交えた攻撃を仕掛けられるも、FB山中が相手のグラウンディングを阻止。しかし、まだ相手のチャンスの時間は続く。ゴール前ラインアウトからモールを押し込まれた後、連続攻撃で前進される。そこで、WTB山下(楽)が相手の放ったパスをインターセプトすると一気に加速。敵陣22mライン付近で相手に追いつかれるも、サポートしていたCTB濱野にパスを繋ぐと、そこからまさにFW、BK一体となった攻撃を見せ、最後がNo.8クッツェーがゴールラインに飛び込みトライ。SO李のゴールキックも決まり、同点に。KOBEコールの大声援を受け、39分、203cmの長身LOシカリングが好プレーを見せる。敵陣10mライン付近の相手ボールラインアウトをスティール。攻守が入れ替わり、神戸スティーラーズが連続攻撃を仕掛ける。そこで、ゴール前30mに迫ったところで、相手が反則を犯すと、ショットを選択。40分、李がこれを落ち着いて沈め、32–29に。直後のキックオフボールを取られて攻撃を受けるも、No.8クッツェーがボールに腕を絡ませ、相手の反則を誘い、ノーサイド。神戸スティーラーズが32–29と苦しい試合を勝ち切った。

ホルテンヘッドコーチは「スキル、戦術は完璧ではなかったですが、選手の姿勢が素晴らしかった」とコメントすると、キャプテンの橋本も「勝ちたいという意思を80分間持ち続けて全力でプレーしたことが、勝ちに繋がったと思います」と笑顔を見せた。勝敗を分けた大きなポイントになったのは、後半35分、No.8クッツェーのトライに繋がる、WTB山下(楽)の自陣でのインターセプトだとホルテンヘッドコーチは言う。

「あのラインブレイクの後、皆がハードワークし、トライを取り切った。そこに皆の勝ちたいという意思を感じることができた」(ホルテンヘッドコーチ)

山下(楽)は、

「多分、パスをするだろうなと予測して、コースの間に入りました。本当は自分でトライラインまで持っていきたかったんですけどね」と冗談ぽく話す。

後半40分、逆転のPGを決めたSO李は「風もなかったですし、自分のルーティンに集中して蹴るだけでした。この展開にまで持ってきてくれたチームメイトに感謝しています」と劇的な勝利に表情を緩めた。

ラストワンプレーでジャッカルを決めたNo.8クッツェーは、

「声を出しての応援が解禁になり、Steel Matesの声援が僕たちを後押ししてくれました。皆さんには感謝しかありませんね」とSteel Matesの存在に力をもらったと語った。

次節は、無敗で首位をひた走る埼玉パナソニックワイルドナイツをホームに迎え撃つ。ホルテンヘッドコーチは「今日の試合はこれで終わりですので、気持ちを切り替えて、次節に向けて準備をしていきます」と話し、「戦術面、スキル、規律と、まだまだ課題は多いので、しっかり修正し、神戸のアタックで相手より得点を上回れるようにしたい」と必勝を誓った。橋本も「今日はミスや反則が多く出ました。埼玉WKはそういった隙を見逃さずに突いてくるので、次節では精度高くプレーし、自分たちのラグビーで勝利したい」と決意した。

王者を相手にタフな戦いが予想されるが、神戸スティーラーズは今節同様、アグレッシブにチャレンジャーとして戦う。

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