5連勝中の神戸製鋼コベルコスティーラーズが今節で迎え撃つのは、前節で日本代表選手が多数所属するパナソニックワイルドナイツに敗れ、4勝1敗でランキング5位につけている東芝ブレイブルーパスだ。
試合前にダン・カーター選手は「東芝は1敗を喫し、優勝に向けてもう負けることができません。決勝戦に臨むような気持ちで我々に挑んでくると思います。東芝はフィジカルが強いチームですし、それにバックスにも良い選手がいます。タフなゲームになると思いますね」と話した。試合のポイントになるのは、精度だときっぱり。「強いチームとの対戦では、小さなミスが命取りになります。今週はパス、キックのキャッチといった基本スキルに集中して取り組んできました」とカーター選手。
また、東芝の中心選手である日本代表のキャプテン、リーチマイケル選手について、山中亮平選手は「間違いなくリーチ選手は東芝の核となる選手です。彼に何もさせないよう、プレッシャーを与えていきたい」と警戒。その上で「とはいえ、ラグビーは1人でやるものではありません。チームとしてしっかり戦って、神戸のラグビーをすれば勝利できると思います!」と力強く宣言した。
試合当日は朝から冷たい風が吹く寒い1日となったが、会場となった神戸総合運動公園ユニバー記念競技場には、同会場での最多観客数を更新する2万3647人のファンが詰めかけた。
注目の一戦は、カーター選手のキックオフで開始。序盤こそは東芝の強力FWを前にターンオーバーされたり、スクラムでコラプシングの反則を与えたりする場面があったが、10分、神戸陣10mライン付近で反則を得ると、「どこからでも勇気を持って攻める!」とのチームの決め事通り、橋本大輝選手が速攻を仕掛け、パスをつないで、今シーズン絶好調のタウムア・ナエアタ選手がビッグゲインし、最後はリチャード・バックマン選手が先制のトライをマークする。このトライをきっかけに、コベルコスティーラーズが怒涛のトライラッシュを見せる。前半だけで6トライをマークし、40-0での折り返し。
後半も開始早々コベルコスティーラーズがトライを決める。2分、神戸陣22mライン付近ラインアウトからFW・BK一体となった攻撃を仕掛け、ラストパスを受けたアタアタ・モエアキオラ選手がパワフルな走りでインゴールへと飛び込む。カーター選手のゴールキックも決まり、47-0とさらにリードを広げる。しかしその後は、一進一退の攻防が続く。その均衡を破ったのは、コベルコスティーラーズのアタック。35分、東芝陣10mライン付近での相手の反則から日和佐篤選手から代わって入ったアンドリュー・エリス選手が速攻を仕掛けると電光石火の攻撃でアンダーソン フレイザー選手がトライをマークする。さらに終了間際にも、今シーズン初となるゴール前ラインアウトからモールを押し込んでトライを決め、57-0でノーサイド。
2003-2004シーズンにトップリーグがはじまって以来、コベルコスティーラーズは初めて東芝ブレイブルーパスを0点に封じるとともに、同カードでの最多得点差で勝利した。
試合後、デーブ・ディロンヘッドコーチは「相手を0点に抑えることができたのは、ディフェンスをチームに落とし込んでくれているニコラス・ホルテンコーチやディフェンスリーダーグループの橋本大輝選手らのお陰です。アタックに関しても50点以上を奪うことができたことも良かった。東芝戦に向けての1週間はこれまでにないくらいハードでしたが、いい準備をすることができ、それを結果として出せて満足しています」と話した。コベルコスティーラーズはこれで3試合続けて相手をノートライに抑えている。「第2節vsヤマハ戦、第3節vsサントリー戦のディフェンスが悪かったのですが、徐々に修正することができ、チームとしてディフェンスに自信が生まれています」とゲームキャプテンの橋本選手は手応えを感じている。
コベルコスティーラーズは自慢のアタックだけでなく、ディフェンス面も磨きをかけ、勝利を積み重ねていく。