取材日:2018年9月29日
ジャパンラグビートップリーグ2018-2019 vs 宗像サニックスブルース戦のコメント
平成30年北海道胆振東部地震の影響により延期となっていた第2節vs 宗像サニックスブルース戦が、9月29日(土)、北海道・月寒野外競技場にて開催された。
試合前、両チームの選手が一列になり、今回の震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福を祈り、黙祷を捧げた。「北海道の皆様の前で、良い試合をして、元気を与えたい」と、気持ちをひとつにするコベルコスティーラーズは、エリス選手と、試合直前のメンバー変更により10番をつけた北海道生まれのイーリ選手のハーフ団が躍動し、チームを勢い付ける。9分、サニックス陣ゴール前ラインアウトからモールを押し込み、最後はエリス選手が左隅に先制のトライ。イーリ選手のゴールキックも決まり、7-0とする。12分にトライを献上し、7-5と差を詰められるが、16分、26分、32分、38分と、立て続けにトライをマークし、29-5で折り返す。
後半も最初に得点したのはコベルコスティーラーズ。3分、ゴール前ラインアウトからモールを押し込み、今シーズン初スタメンの鹿田選手がグラウンディング。ゴールキックも決まり、36-5とリードを広げる。その後もコベルコスティーラーズは、自陣からでも積極的にアタックを展開し、守っては力強いディフェンスで相手のミスや反則を誘い、試合を優位に進める。8分に有田選手が、15分にエリス選手が、30分には橋本(大)選手がトライをマーク。さらに、35分には、トップリーグデビューを果たしたルーキーの井関選手が、イーリ選手が放ったキックパスをインゴールで抑え込み、公式戦初トライをマークする。ゴールキックも決まり、62-5。終了間際にも自陣22mライン付近でバックマン選手が相手のパスをインターセプトし、そのまま走り切りトライ。コベルコスティーラーズは11本のトライを挙げ、最終スコア69-5で勝利した。
試合後の記者会見で、ディロンヘッドコーチは、「北海道で試合を開催でき、皆様の前で80分間、自分たちのラグビーができたことを心から嬉しく思います」と、笑顔を見せた。この日3トライを決め、マンオブザマッチに輝いたキャプテンのエリス選手は、「2011年、クルセイダーズでプレーしていた時に、本拠地であるクライストチャーチで大きな地震がありました。復旧作業が完了していない中で、我々は地域の皆様に希望を与えるため、プレーし続けることを選んだのです。今回も、震災で辛い思いをされた方に笑顔を届けたいという気持ちがありました。今日は、皆様を笑顔にできるような試合ができたと思います」と、コメントした。試合内容については、「前節が引き分けという結果に終わり、チームはダメージを受けましたが、1週間、いい準備をし、勝利に繋げることができました。サニックスは、ラインブレイクやオフロードなどが多く、アタックに自信を持っているチームです。そのようなチームに対して、1トライしか与えなかった。今日は、ディフェンスがよく機能していました」と、エリス選手はまとめた。また、北海道出身の渡邉選手や5歳まで北海道で過ごしたイーリ選手について、ディロンヘッドコーチは、「渡邉は、今日、3番をつけましたが、北海道開催の試合だから、スタメンに起用したわけではありません。彼はこれまでの試合や練習でも高いレベルのプレーをしていました。その結果、スタメンを勝ち取ったのです。今日は試合を通じて、彼の課題であるスクラムも良かったですし、フィールドプレーでも活躍していました。また、ニック(イーリ)は、ボールを動かし、試合をよくコントロールしてくれました」と、評価した。最後に、チームを代表してディロンヘッドコーチが「第2節の代替えとして、ほかの試合会場で開催するという案もありましたが、コベルコスティーラーズとしては、北海道の皆様を元気づけたいという思いがありました。開催にあたり、ご尽力いただきました関係者の皆様に深く感謝申し上げます」と、感謝の意を表した。
なお、コベルコスティーラーズは、この試合でボーナスポイントを含む勝ち点5を得て、レッドカンファレンス首位に立った。
渡邉隆之選手、イーリ ニコラス選手、井関信介選手のコメントです。
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渡邉隆之選手
「札幌山の手高校の後輩や関係者がたくさん会場に来てくれていたので、中途半端なプレーはできないと思いました。試合前はプレッシャーもあって、非常に緊張していたのですが、実際にゲームがはじまったら、スクラムも優位に立つことができましたし、フィールドプレーでもいいところを見せられた。今日は、個人的に自信につながる一戦となりました。北海道の皆様の前で、勇気、元気を与えられるような試合をしたいと思っていたのですが、試合後、地元出身選手ということで、花束をいただき、逆に元気をもらいました。震災の影響もあり大変な中で、開催にあたり準備していただいた皆様方に感謝申し上げます。また、北海道で試合をしたいと思います。今日はご声援ありがとうございました!」
SO
イーリ ニコラス選手
「DC(カーター)に代わって先発出場になりましたが、1週間、しっかり準備してきたので不安なく試合に入ることができ、練習通りのプレーをすることができました。ただ、今日はゴールキックを何本か外してしまって…。これからも厳しい試合が続きます。1本のゴールキックのミスが試合を左右することになるかもしれませんので、キックの精度は今後さらに高めていきたいと思います。北海道での試合開催については、今日は母や祖母、親戚が会場に来ていたので、みんなの前でプレーすることができて嬉しく思いました。しかも、パナソニック時代に一度、月寒で試合をしたのですが、その時は負けてしまったので、勝ちを届けられたことも良かったです。今日はたくさんの方々にご来場いただき、大きなご声援ありがとうございました!」
FB
井関信介選手
「木曜に先発が確定し、緊張していたのですが、前日にホテルでコベルコスティーラーズに入ってから練習してきたことを整理し、これだけやってきたんだからと自信に変えて試合に臨みました。持ち味であるディフェンスでは、フルバックに入った山中さんとも良い連携が取れ、うまく守ることができたと思います。ただ、1度タックルミスがあったので、そこは反省点です。アタックについてはボールを持ったら、思い切りよく勝負することができたのですが、勝負しようという気持ちが強すぎて、外にスペースがあったにもかかわらず、自分で持ち込んでしまい、チャンスを潰してしまった場面がありました。この部分は課題であり、これからの伸びしろだと思います。今日はトップリーグデビュー戦となりましたが、これをスタートに、日々成長し、試合に出続けられる選手になりたい。そして、チームの優勝に貢献したいと思います!」