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ロングインタビュー

「NTTジャパンラグビーリーグワン2022」総括  デーブ・ディロンヘッドコーチ

 取材日:2022年5月13日

「NTTジャパンラグビーリーグワン2022」総括  デーブ・ディロンヘッドコーチ

トップリーグと同様にリーグワンでも初代チャンピオンになろう。その目標を達成しようと「NTTジャパンラグビーリーグワン2022」に臨んだコベルコ神戸スティーラーズですが、7勝9敗勝ち点36で7位。シーズン終盤の4月17日には、長年チームを支えたスティーブ・カンバーランドヘッドフォワードコーチが急逝し、チームにとって、選手にとって、タフなシーズンになりました。指揮官のデーブ・ディロンヘッドコーチが今シーズンの戦いを振り返ります。

デーブ・ディロン ヘッドコーチ

DAVE DILLON

「経験の浅い選手が数多くリーグワンを経験。来シーズンにつながるシーズンになりました」

開幕までの準備についてはどうだったのでしょうか?

「オフシーズンに、これまでにないくらいフィジカル、フィットネスを鍛えて、10月からの全体練習に臨みました。プレシーズンマッチでは昨シーズンの準々決勝で敗れたクボタスピアーズ船橋・東京ベイに勝利するなど、チームの強化は順調に進んでいたのですが、12月末にコロナの影響でトヨタヴェルブリッツとのプレシーズンマッチが中止になってしまいました。コロナを言い訳にはしたくないですが、開幕までにチームの状態を戻すことは難しかったと言わざるを得ません」

それが開幕2連敗につながってしまったと。

「難しい試合にしてしまった要因の1つであると思います。ただ、開幕当初はミスが多く、自分たちのラグビーが精度高くできなかったのですが、第4節で埼玉ワイルドナイツを相手に終了直前までリードをするなど、良いところもありました。他チームはコロナの影響で試合中止となる中で、我々は5試合続けてプレーできたこともあり、徐々に精度も上がってきていたのですが、交流戦を前にコロナ陽性者が出てしまい、2試合続けて不戦敗となってしまった。第8節で対戦する東京サンゴリアスに対して、良い状態で臨みたかったのですが、それができず、大差で敗れるという結果に終わったことは残念です」

後半戦に入ってからは良いアタックが見られ、シーズン通してトライ数が75と、トップ4と比較しても遜色のない数字を残しています。

「(ルカニョ・)アム、(ベン・)スミスが加わったことも大きかったと思います。アタックについては、後半戦以降はボールをスペースに運んでトライを取る、我々らしいトライが多々ありました。ただ、ディフェンスは、最後まで修正することができなかったことが反省点です。今シーズンはコロナに、カンバーランドコーチの急逝と、非常にタフなシーズンになりましたが、選手は下を向くことなく、最後まで戦い抜いてくれました。その姿勢は素晴らしかったですし、誇りに思います」

今シーズン出た課題というのは?

「まずはディフェンスの修正。それから、重要な局面でのプレーの精度。第2節の横浜キヤノンイーグルス戦や東京サンゴリアス戦は完敗でしたが、それ以外の敗戦は接戦を落とすことが多く、展開次第では勝てる内容だったと思います。試合には、我慢しなければいけない局面や、ここは絶対に取り切らないといけないという場面があります。今シーズンは、そういう試合を左右する重要な場面で、プレーの精度が低かった。リーグワンになり、どのチームもレベルが上がり、実力差がなくなって拮抗した展開が続きました。大事な場面でいかに精度高くプレーし、勝ち切ることができるのか。今シーズンは経験の浅い選手が数多く試合に出場し、そういう場面で何をしないといけないのかを学んだと思います」

「経験の浅い選手が数多く出場した」というところに関連すると思いますが、今シーズンは怪我人も多かったように思います。

「トム・フランクリン、渡邊といった昨シーズン出場していた選手や、今シーズン入団した新加入の具や寺田など。シーズン中にも、橋本(大)が脳震盪で戦線離脱し、そのままグラウンドに戻ってくることができませんでした。怪我人の影響で、最後の3試合ではモエアキオラをNo.8に起用することになりました。大学の時以来のポジションで大変だったと思いますが、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。今シーズンは、57人のスコッドのうち46人の選手が試合を経験しましたが、リーグワンという高いレベルで多くの選手がプレーできたことは、来シーズンに必ず生きてくると思います」

特に成長を感じた選手は?

「李、モエアキオラ、橋本皓、今村。特に李は、バイスキャプテンということで、みんなの前で話をすることも多く、オフザフィールドでも成長しました。もちろん、フィールド上でも一貫して高いレベルのパフォーマンスを発揮し、プレーについても言うことはありません。とはいえ、まだまだ成長途中ですし、今後は日本を代表する選手になってくれることと思います。それから、第12節から出場した前田翔。彼はチームに加わったばかりにもかかわらず、堂々としたプレーを見せてくれました。若い時の山下(裕)を彷彿させ、今後の活躍が楽しみな選手です」

では、最後にいつもあたたかい応援をしてくださるファンの皆様にメッセージをお願いします。

「ホストゲームだけでなく、ビジターゲームでも、Steel MatesのベースボールシャツやレプリカTシャツを身につけたファンの皆様の姿が見られ、これほど心強いことはありませんでした。スティーラーズファンは間違いなくスペシャルであり、日本一です。そのようなファンの皆様の期待に応えることができず、7位という不甲斐ない結果になってしまったことは残念ですし、悔しい気持ちでいっぱいです。しかしながら、今シーズンの戦いから学んだことはたくさんありますので、来シーズン、チームはファンの皆様が誇りに思うような結果を残してくれることでしょう。これからもコベルコ神戸スティーラーズの応援よろしくお願いします」」

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