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-Long interview-

2021/09/29 | 取材日:2021年8月25日

2021年度新加入選手インタビュー Part.3 王鏡聞選手&小瀧尚弘選手

高校1年の時に来日し、ひたすらラグビーに打ち込んできた王選手。大学時代は、昨シーズンをもってユニフォームを脱いだ長崎健太郎さんとポジション争いを繰り広げました。近鉄ライナーズ(現花園近鉄ライナーズ)、宗像サニックスブルースを経て、今シーズンから神戸製鋼コベルコスティーラーズの一員になった王選手の「これまで」と「これから」に迫ります!

コベルコスティーラーズで成長し
レギュラー獲得と日本代表入りを目指す

王 鏡聞
KYUNGMUN WAN

PROFILE

■生年月日・出身地/1991年9月12日生まれ(30歳)、韓国

■経歴/朝明高校→大阪体育大学→近鉄ライナーズ(現花園近鉄ライナーズ)→宗像サニックスブルース

■ポジション/HO

■身長・体重/175cm・100kg

ラグビーを初めてすぐに来日
高校2年でレギュラー獲得
—ニックネームを教えてください。
「ワンくん、ワンさんと呼ばれています」
—韓国のどこの出身なのですか?また日本にはいつ来たのでしょうか?
「ソウルから車で30分ほどの京畿道出身です。日本では京畿道と伝えてもどこか分かってもらえないので、ソウル出身と言っています(笑)。日本には高校1年の時に、現在サニックスに所属している弟(授榮)と一緒に来ました」
—ラグビーを始めたのはいつからですか?
「中学3年の終わり頃です」
—来日する直前に始めたのですね。
「そうなんです。もともと体を動かすのが好きで、子供の頃からバスケットボールなどさまざまなスポーツをしていたのですが、父から『ラグビーをしてみたらどうか』と勧められて、ルールも知らずに始めることにしました。実は、その時に父も昔ラグビーをしていて、元韓国代表だったことを知りました。韓国で通っていた養正中学は、ラグビー部が強くて、日本の朝明高校と繋がりがあったんです。それで、ラグビーが強い日本で頑張ろうと思って朝明高校に進むことに決めました」
—日本語は話せたのでしょうか?
「まったく話せなかったですね。高校に韓国語ができる先生がいたので、その方に教えてもらいながら日本語の勉強をしました。勉強もしないといけないですし、ラグビーは周りの選手についていくのに精一杯だし、1年の時は本当に大変でした。それに、日本のラグビーはFWも走らないといけません。高校1年で110キロあったので、慣れるまできつかったです」
—ポジションは1年からフッカーだったのでしょうか。
「基本的に高校の時は3番をしていましたが、1番や2番でもプレーすることがあり、フロントローはすべて経験しました。試合は2年から出られるようになって高校3年の時に3番で全国高校ラグビー大会に出場しました。三重県は四日市農芸高校が強くて、ずっと負けていたのですが、県予選決勝で初めて勝利し、花園への切符を手に入れました。高校最後の年に、ようやく勝つことができて、すごく嬉しかったことを覚えています」
近鉄時代にスクラムが鍛えられ
サニックスでフィットネスが向上
—高校卒業後、大阪体育大学に進みました。コベルコスティーラーズOBの長崎健太郎さんとは同期ですよね。
「そうです。1年の時は僕が2番で先発、2年の時は健太郎、3年の時は僕、4年の時は2番が健太郎で、僕が1番を付けて出場していました。健太郎は運動量で勝負するフッカーでしたが、僕はコンタクトに自信がありました。健太郎とは4年間ライバルとして切磋琢磨してきました」
—近鉄ライナーズに入ろうと思ったのは?
「韓国出身で、高校、大学の先輩である金哲元さんに憧れていました。哲元さんはスクラムハーフなのでポジションは違いますが、大学の坂田先生から素晴らしい選手だと聞いていたので、哲元さんのような選手を目指していました。近鉄では、1年目に怪我をし、なかなか試合に出ることができず、実戦経験を積みたいとの思いから2年目にニュージーランドに留学しました。留学先のチームは、昔トモさん(トンプソン ルーク選手)がプレーしていたベルファストクラブです。滞在中に1年目の時に怪我をした膝が悪化し、8試合ほどの出場に終わりましたが、大きな選手と体をぶつけ合い、本場のラグビーを肌で感じることができて良かったです。4年目になって、フッカーの2番手として試合に出られるようになったのですが、『もっと活躍したい』と思い、弟のいるサニックスへ移籍することに決めました」
—近鉄ではカンバランドコーチから指導を受けていますよね。
「2016–2017シーズンから2年間スクラムを教えてもらいました。高校、大学とスクラム専門のコーチから指導を受けたことがなかったので、カンバランドコーチからいろいろとアドバイスを受けて、細かな技術が身に付きました」
—宗像サニックスブルースには3年間所属しました。
「サニックスはランニングラグビーのチームです。これまでに経験したことがないラグビーで、とにかくよく走りました。3年間でフィットネスが向上し、走り負けない自信が付きました。サニックスも良いチームで離れがたかったのですが、『優勝を狙えるような強いチームでプレーしたい』と思い、今シーズン、コベルコスティーラーズに移籍することにしました」
ライバルと切磋琢磨し
さらなる高みを目指す!
—コベルコスティーラーズの印象は?
「ハンドリングなどの基本スキルのレベルがとても高いですね。チームに合流してからパスなどのスキル練習に参加しているのですが、どの選手も上手くて、圧倒されています。試合では、基本スキルが大事になってくると思いますので、全体練習が始まるまでにレベルアップさせておかないといけません。しっかり準備をして全体練習に臨みたいと思います」
—フッカーのポジション争いも熾烈です。
「平原さん、有田さんといったベテランに、若手もいます。特に有田さんは、学生時代から有名で、試合も見ています。有田さんは、セットプレーもフィールドプレーもトップレベル。だけど、僕も負けるつもりはありません。いいライバルがいる方が成長できると思いますので、レギュラー獲得を目指して頑張ります!」
—王選手と同じ韓国出身の具選手もコベルコスティーラーズに加わりました。面識はありますか?
「具くんが中学2年の時に会ったことがあります。すごくいい子ですね。具くんは、スクラムが強いので、フッカーとしては頼りになります。もちろん、具くんだけでなく、コベルコスティーラーズの1番と3番は、どの選手も強い!スクラム練習も楽しみです」
ラグビー人生で初の
優勝を経験したい!
—試合に出たら、どこに注目してほしいですか?
「サニックスで鍛えられたのでフィットネスには自信があります。フィールドプレーに注目してほしいですね。ボールを持ってアタックするのが好きなので、そういうシーンをたくさん見せられるようにしたいと思います」
—目標としているフッカーの選手を教えてください。
「現在、近鉄でFWコーチをされている太田春樹さんです。春樹さんは、2015−2016シーズンに現役を引退されたのですが、フッカーとして上手いだけでなく、人間性も素晴らしい。一緒にプレーした2年間では、スローイングなどを教えていただきました。コベルコスティーラーズに移籍が決まった時も、すぐに報告し、春樹さんからは『頑張れ!』と気合いを入れていただきました」
—コベルコスティーラーズで達成したいことは?
「これまで優勝を経験したことがないので、『ジャパンラグビー リーグワン』でチャンピオンになりたいです!個人的には、コベルコスティーラーズで成長して、日本代表入りを目指します!」
—では最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
「コベルコスティーラーズで人一倍練習し成長したいと思います。今シーズンの目標は、リーグワンで初代王者になることです。チームの勝利に貢献できるように頑張りますので、応援よろしくお願いします」

2015−2016シーズン、トップリーグ全10試合に出場し、新人賞を受賞。その後も恵まれたサイズをいかして活躍したリアルロックが、6シーズン、プレーした東芝ブレイブルーパス(現東芝ブレイブルーパス東京)に別れを告げ、今シーズン、コベルコスティーラーズへ。東芝から移籍を決めた理由とは?コベルコスティーラーズで達成したいこととは?新天地にかける熱い思いを聞きました。

逃げ道をなくして、自分を追い込んで、
新天地でラグビーに本気で向き合う

小瀧 尚弘
NAOHIRO KOTAKI

PROFILE

■生年月日・出身地/1992年6月13日生まれ(29歳)、鹿児島県鹿屋市

■経歴/鹿児島実業高校→帝京大学→東芝ブレイブルーパス(現東芝ブレイブルーパス東京)

■ポジション/LO

■身長・体重/194cm・110kg

■代表歴/高校日本代表、ジュニア・ジャパン、高校日本代表

きっかけは2019年の
ラグビーワールドカップ
—まずは6年間所属した東芝ブレイブルーパス(現東芝ブレイブルーパス東京)を出て移籍することに決めた理由を教えてください。
「ラグビー選手としてもっと成長したい。そのためにプロになろうと思いました。もちろん、東芝でプロ契約という選択肢もあったのですが、いろいろなチームと話をして、自分を一番成長させることができるところへ行こうと思いました」
—東芝では社員だったんですね。
「そうです。基本的にはオフ期間中のみ働いていたのですが、部署の方々からすごく応援していただいていました。社員選手として続けていたら、たとえ試合に出られなくても、給料はもらえます。だけど、プロはそういうわけにはいかない。逃げ道をなくして、自分を追い込もうと思いました。それに、もともと強制されないとやらないタイプなので、やるしかない状況をつくろうと。プロとして実績を積めば、将来、指導者などのセカンドキャリアも見えてくると思いました」
—逃げ道をなくしてまで「成長したい」と思ったきっかけは?
「2019年のラグビーワールドカップです。代表が躍進し、日本中に感動を与えて、ラガーマンとして嬉しい反面、悔しさもありました。素直に喜べないというか…。東芝に入部し2年目で日本代表に入りましたが、3年目以降、代表に呼ばれなくなりました。もし頑張って期待に応えられていたら、あの場所に立っていたかもしれない。そう思ったのがきっかけです」
コベルコスティーラーズなら
さらに成長することができる
—そうして、いろいろなチームと話をした結果、最終的にコベルコスティーラーズを選んだのですね。
「そうですね。コーチ陣とオンラインミーティングをしたのですが、その時に、コーチ陣から僕のプレーに関して詳細なフィードバックを受けました。また、短所となるプレーについては具体的な改善策も準備されていて『選手1人に対してここまで時間を割いてくれるのか』と驚きました。自分をもっとも成長させることができるのはコベルコスティーラーズしかないと思い移籍を決めました」
—長所、短所について言える範囲で教えてください。
「まっすぐに体を当てるコンタクトの面は評価していただいていました。課題はラインアウトのジャンプ。ほかにも、ハンドリングやタックルもいろいろと指摘されました。気が付いていなかったところも多くて、今後は意識して取り組んでいこうと思います」
—コベルコスティーラーズで成長して、日本代表への復帰を目指すと。
「代表入りを目指しますが、今の目標はコベルコスティーラーズで試合に出て、コーチ陣やチームメイトから信頼される存在になることです。神戸製鋼コベルコスティーラーズというトップチームで試合に出られるようになれば、日本代表の道も自ずと開けてくると思います」
—チームのロックの選手で意識している選手はいますか?
「この選手というのはいませんが、トム(フランクリン)さんも張(碩煥)さんもすごいですね。体の強さに加えて、周りを見てパスができる。僕はただ真っ直ぐに当たるだけ。パスができるようになることで、縦への突進が活きて、より相手の脅威になると思います。パスにも取り組んでいきます」
ラグビーはそんなに好きじゃなかった!?
これからはラグビーと真摯に向き合う
—前向きかつ貪欲に取り組まれている感じがします。
「実はこれまで本気でラグビーに打ち込んでいなかったんです。そこまでラグビーが好きでなかったというか…(苦笑)。チームの勝利のために頑張ろうとは思っていましたが、ラグビーに対する熱さはありませんでした。東芝のミーティングでも、当時の監督から『ラグビーが好きで頑張っている選手もいれば、小瀧のようにラグビーがあまり好きではなくてもチームのために頑張るタイプもいる』と言われました(苦笑)。自主練習もしてこなかったので、これからはラグビーと真摯に向き合っていこうと思います」
—ロックとして目指す選手は?
「(大野)均さんです。高校2年の時に、東芝の鹿児島合宿を見学しました。そこで均さんから『東芝に来い』と言ってもらって、日本代表や東芝の試合を見るようになり、均さんのような選手になりたいと思いました。均さんは、泥臭く、ずっと動き続けてチームを陰で支える選手でした。今はまだ足元にも及ばないですが、少しでも近づいていけるようにしたいです」
—ロック以外のポジションはできるのでしょうか?
「大学3年の時に、ナンバーエイトをしたことがありますが、それ以外はずっとロックです。僕は足も遅いですし、バックローは無理だなって(苦笑)。リアルロックを目指します!」
—期待しています。ところで、コベルコスティーラーズのラグビーの印象は?
「昨シーズンは対戦がなかったので、コロナの影響で中止になった『ジャパンラグビートップリーグ2020』第6節が直近の試合になります。あの試合は、ボールをスペースに運ばれ、キックでディフェンスの裏にボールを出されて、神戸にやりたいようにやられたという感じです。FWも強くて、スキルフル。僕らが真っ直ぐに突っ込んでいっても、ダブルタックルでゲインできず苦しい局面を多く作られました。まさか、今、こうやってコベルコスティーラーズの一員になるとは、当時は考えてもいなかったですね」
—チームの雰囲気はどうですか?
「入る前は実力主義で、クールでスマートなイメージを持っていたのですが、みんなとても仲が良くて、あたたかい雰囲気で、イメージとはまったく違いました。ロッカールームは、平原さん、橋本(皓)くん、ソシ(トコキオ ソシセニ)が近いのですが、よく話しかけてくれてありがたいなって。まだ全体練習がはじまっていないので、これからみんなと仲良くなって打ち解けていきたいですね」
目の前のことに一生懸命取り組み
まずはレギュラー獲得を狙う
—関西に住むのは初めてですよね。
「初めてです。神戸は街も綺麗で住みやすいですね。東芝は関西出身の選手が多かったので、関西弁も聞き慣れていますし、快適に過ごしています」
—オフは何をしているんですか?
「インドア派なのでゲームをよくしていますね。特にポケモン(ポケットモンスター)が好きです」
—意外ですね。鹿児島出身ということは焼酎好き?
「焼酎だけでなく、ビール、ハイボール…なんでも好きですね(笑)。コロナが落ち着いたら、チームメイトと飲みに行きたいです」
—では、今シーズンに賭ける意気込みをお願いします。
「目の前のことに一生懸命取り組み、まずは試合出場を目指します!僕自身、これまで準優勝が最高位で、優勝を経験したことがありません。来年開幕の『ジャパンラグビー リーグワン』で頂点に立てるように力を尽くします」
—古巣との対戦も楽しみですね。
「これまで育ててくれて愛着のあるチームです。成長したところも見せたいですし、敬意を持って全力でぶつかりたいと思います」
—最後にファンの方々へメッセージをお願いします。
「新加入の小瀧です。コベルコスティーラーズのレガシーを引き継いでいけるように精進します。どうぞよろしくお願いします!」

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