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ロングインタビュー

「ジャパンラグビートップリーグ2021」に向けて part.1 ウェイン・スミス総監督インタビュー

 取材日:2020年11月4日

「ジャパンラグビートップリーグ2021」に向けて part.1 ウェイン・スミス総監督インタビュー

2月20日(土)に開幕する「ジャパンラグビートップリーグ2021」。昨シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、第6節で中止となり、2018—2019シーズンの覇者であるコベルコスティーラーズは今シーズン2年越しのトップリーグ連覇を目指します。いよいよ戦いの火蓋が切られるトップリーグを前に、ウェイン・スミス総監督に目標などを聞きました。

ウェイン・スミス

WAYNE SMITH

対戦相手が驚くようなアタックで トップリーグ連覇を目指す

できることはすべてやり切りシーズンイン

「ジャパンラグビートップリーグ2020」は新型コロナウイルスの感染拡大により、第6節で中止になりました。まずは昨シーズンのチームの戦いぶりを振り返っていただけますか?

「連覇を目指し、特別な気持ちを持ってトップリーグに臨み、チームは最高の状態でした。素晴らしいアタッキングラグビーを展開し、ディフェンスでは3試合連続でノートライ。全員がチャレンジし続ける姿勢を見せてくれて開幕から6連勝という結果を残し、優勝を目指せる位置にいましたが、全世界が新型コロナウイルスの脅威にさらされ、リーグが中止になりました。選手、スタッフの気持ちを考えると残念でしたが、仕方がないことです。選手たちには『連覇の道のりが絶たれたわけではない。また、次のシーズン、新たなレガシーを作ろう』と伝えました」

10月5日の全体練習開始までどのようなことに取り組まれたのでしょうか?

「S&Cコーチと選手が定期的にオンラインミーティングを行い、選手にトレーニングプログラムを提供しました。そのプログラムには会社の事業所やOBの名前を付けて、選手たちが神戸のアイデンティティを忘れないように工夫しましたね。ロックダウン中も、皆がしっかりトレーニングを継続してくれたお陰で、9月上旬、日本とニュージーランドで同時開催のミニキャンプで実施したフィットネステストでは、ほとんどの選手が目標の数値をクリアしました。また、オンラインで全員が常にコミュニケーションを取り、そこで、会社とチームの対応がいかに素晴らしいかについて話をしたりしました。具体的にいうと、昨シーズンの試合が中断となった時に、どのチームよりも早く外国人選手が母国へ帰国できるように手配してくれたことについてです。この判断は外国人コーチと選手が母国の家族と一緒に過ごす時間を与えてくれました。我々のことを一番に考えてくれたこともあり、会社のために連覇と達成しようという気持ちがより一層強くなりました。コーチングスタッフに対しては、毎週水曜日にオンラインミーティングを行い、時には新しい視点や考え方を得られるように他チームやラグビー以外のスポーツのコーチを招いて、セッションの時間を持ちました。日本、ニュージーランド、南アフリカなど、タイムゾーンが違うところにいながら、彼らも成長するために時間を惜しまずに動いてくれました。リーダーグループの選手たちとも新しいシーズンに向けてのディスカッションを頻繁に行いましたね。全体練習再開までにできることはすべて行ったと自負しています」

新加入のベン・スミス選手、クルーデン選手に期待することを教えてください。

「我々は親しみやすく、誰とでもうまくやれる外国人選手を獲得してきています。2人とも素晴らしい選手ですが、傲慢なところは微塵もなく、ほかの外国人選手と同じく人間味がありチームのために行動してくれます。2人に期待することは、チームに溶け込み、練習から良いパフォーマンスを発揮し、若い選手の手本となるようなプレーや姿勢を見せることです」

日本のラグビー界を牽引する存在でありたい

ところで、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」での日本代表の活躍もあり、日本ではラグビーへの関心が高まっています。日本国内でのラグビー人気について、どう感じられていますか?

「昨シーズンのサントリー戦で2万6000人、東芝戦で2万3000人もの観客が集まったと聞きました。これはスーパーラグビーよりも多い観客数です。本当に素晴らしいことです。この人気の高まりを維持しなくてはいけません。そのためには日本の最高峰リーグであるトップリーグで、日本代表が見せたような速い展開のラグビーをして、観客を魅了し続けることが大切だと思います。私は1968年の日本代表のイメージを持って、3年前に神戸に来ました。当時の日本代表は、ラインアウトでジャンプをせずに展開するなど、見たことがない革新的なラグビーをしていました。私はコベルコスティーラーズで当時の日本代表のスピリットを感じさせるような、革新的なラグビーを目指しています。もちろん、そのようなラグビーを作り上げるのはとても難しいことです。コベルコスティーラーズはその難しいことにチャレンジし続け、日本のラグビー界を牽引する存在でありたい。リスクを犯しながらもグラウンドのどの位置からでもプレーするアタッキングラグビーを成長させていき、今シーズンも観客を魅了したいですね」

今シーズン、さらに進化したアタッキングラグビーが見られることを楽しみにしています。

「対戦相手は、我々がアタッキングラグビーを仕掛けてくることをすでに知っていますので、その予測を超えるようなアタックをしないといけません。新しい戦術も用いて、相手が驚くようなアタックをしていきます」

今シーズン、さらに進化したアタッキングラグビーが見られることを楽しみにしています。

「対戦相手は、我々がアタッキングラグビーを仕掛けてくることをすでに知っていますので、その予測を超えるようなアタックをしないといけません。新しい戦術も用いて、相手が驚くようなアタックをしていきます」

プレシーズンマッチは宗像サニックスブルース戦を除いてすべて無観客試合となりました。ファンの皆様は久しぶりに見るコベルコスティーラーズの試合を楽しみにされていることと思います。そんなファンの皆様にメッセージをお願いします。

「昨シーズンは多くの方々が我々の試合を見にスタジアムに集まってくれました。真っ赤に染まるスタンドを見て、選手のモチベーションは大いに高まりました。皆様の存在がどれだけチームの力になっているのかをぜひ知っていただきたいと思います。皆様のサポートに感謝しながら、今シーズンもトップリーグを戦います」

ありがとうございました。

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