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ロングインタビュー

2022年度新加入選手インタビュー Part.8 北出 卓也 選手

 取材日:2022年8月18日

2022年度新加入選手インタビュー Part.8 北出 卓也 選手

東京サントリーサンゴリアスで活躍し、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」では出場機会には恵まれなかったものの日本代表メンバー入りを果たした北出選手が、今シーズンからスティーラーズの一員に。移籍を決めたその理由とは?また、フッカーとして目指す選手像とは?熱い思いに迫りました。

「フランス大会出場もまだ諦めていません。 出場機会を得て、代表復帰に向けてアピールする」

北出 卓也

TAKUYA KITADE

PROFILE
  • 1992年9月14日生まれ(29歳)、京都府京都市出身
  • 洛西ラグビースクール→西陵中学→東海大学付属大阪仰星高校→東海大学→東京サントリーサンゴリアス
  • ポジション/HO
  • 身長・体重/180cm・102kg
  • 代表歴:日本代表1キャップ

出場機会を求めて、新天地へ

京都市出身。久しぶりの関西ですね。

「どこに行っても関西弁が聞こえるので、不思議な感じですね(笑)。京都出身で、高校は大阪だったので、神戸にはそれほど馴染みがなかったのですが、山と海があって街も近いし、住みやすいですね」

スティーラーズ入団にあたり、サンゴリアスでチームメイトだった日和佐選手や代表で一緒にプレーした選手に知らせていたのでしょうか。

「日和佐さんには連絡していたんですが、ヤンブーさんに知らせるのを忘れていて、入団発表後、『報告が遅い!』と怒られました(苦笑)。失敗しちゃいましたね(笑)」

(笑)。スティーラーズには、東海大学出身の選手も多いですよね。

「橋本皓は1学年後輩で高校から一緒でしたし、今シーズン、イーグルスから移籍した五十嵐も東海大学出身です。それに、(山本)幸輝さん、山中さんをはじめ、代表で一緒だった選手も多いです。とはいえ、これまでと全く環境が違いますし、最初の頃はクラブハウスに行っても、落ち着かなくて(苦笑)。最近になってようやく慣れてきました」

7シーズン所属した東京サントリーサンゴリアスから移籍を決めたのはどういう思いからなのでしょうか。

「サンゴリアスでは5年間は社員選手、6年目からプロ選手になりました。昨シーズンのリーグワン決勝戦は先発で出させてもらいましたが、プロになってから2シーズンは、トータルで10数試合しか出場していません。チームに対していろいろな貢献の仕方があると思いますが、僕はプロである以上、プレーで貢献しなければいけないと考えています。ラグビーでチームに貢献したいという思いがあり、出場機会を求めて移籍しました」

移籍先がスティーラーズだったのは?

「強いチームでプレーしたいと思っていました。その中で、スティーラーズのラグビーは楽しそうだなと思ったのと、選手として、もう一段レベルアップできるんじゃないかと感じたからです」

なんでもできる選手になりたい!

サンゴリアスでは5年間、社員選手だったそうですが、プロになったきっかけを教えてください。

「きっかけは、2019年のラグビーワールドカップです。日本代表ワールドカップメンバーの中で社員だったのは、(中村)亮土さん(東京SG)と僕だけでした。その後、亮土さんはプロになったのですが…。僕は、実力が劣っていたために、ワールドカップの際、試合に出場することができなかった。その実力差を埋めるには、仕事をしながらでは難しいんじゃないかと考えるようになったんです。それで、言い訳できない環境に身を置こうと決断しプロ選手になりました」

「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の時の悔しい思いがあり、プロになったんですね。ということは、目標は日本代表復帰だと?

「現役である以上は日本代表で、『2番』をつけて出場することを目指しています。来年開催のワールドカップ出場もまだ諦めていません。それを叶えるためには、試合に出てアピールすることが重要です。そういう意味でも、出場機会が欲しいという気持ちがありました」

スティーラーズで出場するために身に付けたいこととは?

「アタックはスティーラーズの武器なので、スキル、状況判断を含め、アタックの面をレベルアップさせないといけないと思っています」

北出選手の持ち味は?

「セットプレーとディフェンスが持ち味です。それもあって、アタックの面を成長させるには、スティーラーズが一番だと思ったんです」

どういう選手を目指しているのでしょうか?

「セットプレーが強くて、ディフェンスも良くて、アタックもできる。そういう選手が理想ですし目指しています」

埼玉パナソニックワイルドナイツの堀江翔太選手のような感じでしょうか。

「堀江さんは欠点がないですよね。同じポジションの選手として素直にすごいと思いますし、僕が目指している選手像に近いです。スティーラーズでアタックをレベルアップさせて、そういう選手になれるよう頑張ります」

ところで、北出選手というと、ワールドカップの時に「北出丼」(ご飯の上に明太子、高菜、しらす、ねぎ、生卵を乗せた丼)が話題になりましたね。

「日本代表合宿の時に、ホテルでの食事に飽きてきたので、適当にご飯に乗せて作ったのが、チーム内で広まって、それを堀江さんが記者会見で話したことで話題になりました。そのお陰で企業から高菜が送られてくるなど、反響がすごかったですね」

転機は高校2年、フッカーへコンバート

そうだったんですね。北出選手は自分自身をどういう性格だと分析しますか?

「マイペースです。協調性がないわけではないんですが、集合時間はいつもギリギリなタイプ(笑)。幸輝さんと約束すると、幸輝さんはいつも待ち合わせ時間の10分前には来ているんですが、僕はオンタイム。すると幸輝さんから『遅い!』と怒られるんですけど、僕は間に合えばよいという感じですね(笑)」

そんなマイペースな北出選手がラグビーをはじめたのはいつからなんですか?

「父が洛西ラグビースクールでコーチをしていたんです。僕は4兄弟の一番下なんですが、とりあえず兄弟全員、3歳くらいになるとスクールに連れて行かれる(苦笑)。子どもの頃は、ラグビーが嫌いで、辞めたくて仕方がなかったですね。ラグビーと並行して、サッカーもしていたんですが、サッカーの方が好きでした。だけど、小学6年から中学にかけて、どんどんラグビーが楽しくなってきて、中学でもラグビー部に入りました」

ラグビーを好きになったきっかけは?

「うーん。なんでなんだろう…。子どもの頃はとにかく痛いのが嫌だったんですが、なんとなく好きになっていったように思いますね」

高校は、東海大学付属大阪仰星高校へ。京都ではなく大阪の高校に進んだんですね。

「中学の時に、京都選抜に選ばれていたんですが、僕らの代は伏見工業(現・京都工学院高校)に行く子が多かったんです。その中で、仲が良かった(勝木)来幸(スティーラーズOB)は、常翔学園に行くと言っていて。大阪の高校に進む道もあるんだと思ったんです。それで、仰星主催のラグビー講習会に2度ほど参加し、楽しい印象があったので、仰星に進むことにしました」

その頃からフッカーだったのでしょうか。

「中学時代からいろいろなポジションでプレーしていて、高校1年の時も、フロントロー、ロック、フランカーと、だいたいのフォワードのポジションを経験させてもらいました。その上で、最終的に、先生から2番をするように言われて、フッカーになったんです。やりたいポジションもなかったので、フッカーでいいかと(笑)。当時、180cm近い身長で、体重もかなりあったので、普通ならプロップかロックを言い渡されるところを、スローイングができたので、フッカーをすることになりました。フッカーでなければ、トップリーグ(当時)でプレーしたり、日本代表に選ばれたりすることもなかったと思いますので、1つのターニングポイントになりました」

チームが変わったと思ってもらえるように

トップリーグの選手を目指していたのでしょうか。

「大学に進んで、先輩たちがトップリーグのチームに入団するのを見て、試合に出られるようになれば、トップリーグを目指せるのではないかと思いました。ありがたいことに監督からラインアウトのスローイングを認められて、1年から試合に使っていたただき、サンゴリアスに入団することができました」

日本代表というのは?

「サンゴリアスでレギュラーポジションを取れば、代表につながると思っていました。ただ、1年目は試合に出られたのですが、2年目で出られなくなったんです。このままだったら選手として終わってしまうという危機感があり、真剣にラグビーに向き合うようになりました。2年目で意識が変わり、3年目で再び試合に出られるようになった。自分にとって大きな自信になりました。それから日本代表を意識するようになり、4年目の時に代表に呼んでもらえるようになりました」

代表への復帰、期待していますね。今シーズンの目標をお願いします。

「目標は、もちろんリーグワン優勝です。その瞬間、グラウンドに立っていたいと思います」

古巣との対戦も楽しみですね。

「めちゃくちゃ楽しみですね。一番敵にしたくないチームですが、対戦がワクワクするのもサンゴリアスですね」

では最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。

「チームメイトからは『デーヤン』と呼ばれています。僕がスティーラーズに入ったことで、チームが強くなった、変わったと思ってもらえるようにしたいと思います。優勝目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします」

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