取材日:2018年10月21日
トップリーグ総合順位決定トーナメントに向けて ヘッドコーチ デーブ・ディロン
8月31日に開幕したジャパンラグビートップリーグ2018-2019。コベルコスティーラーズは6勝1分という成績を残し、レッドカンファレンスを1位で通過し、上位8チームによる総合順位決定トーナメント進出を決めた。15年ぶりのトップリーグ制覇に向けて、指揮官に意気込みを聞いた。
※総合順位決定トーナメントの日程はこちらをご覧ください。
しっかりプランを立て、最高の準備をし、まずは初戦のリコーとの戦いに臨みます。
開幕から無敗でリーグ戦の戦いを終えました。この結果は予想していましたか。
「祈っていましたね(笑)。というのは冗談ですが、勝てたらいいなという思いだけでは勝てない。勝つという成果を得るためにどれだけ努力し、試合に向けて100パーセントの準備をするのか。選手だけでなく、スタッフも同じような気持ちで追求してくれました。選手、スタッフのハードワークがこの結果につながりました」
ターニングポイントになったのは。
「第3節のサントリー戦の勝利は、我々に自信をもたらしました。サントリーはトップリーグ連覇を達成しているチームです。このようなチームに勝てたことで、選手たちは自分たちがやっていることをより一層信じることができるようになったと思います。ただ、次のトヨタ自動車との一戦で負けに等しい引き分けという結果に終わったことは残念でした」
第4節vsトヨタ自動車戦後のミーティングは長かったそうですね。
「今シーズン一番長かったかもしれませんね。あの試合は、自陣からの脱出に苦しめられる場面が多かった。そこに対して自分たちの能力が足りなかったことと相手から大きなプレッシャーをかけられたことが要因です。プレッシャーがかかる中で、相手陣でプレーしていくためにはどうすればいいのか、スコット・ハンセンコーチが中心となり、解決策を導き出してくれました。その後の試合では、それがうまく機能し、自分たちの戦いをすることができましたね」
開幕当初と比べると、得点力が上がったように思うのですが。
「リーグ最多の50トライをマークできたことは喜ばしく思います。ただ、最終節のNEC戦を振り返っても、トライを獲れるチャンスがあるのに獲り切ることができない場面が多く見られました。まだまだアタックも成長できる余地があります」
総合順位決定トーナメントに向けて、修正するべきところや強化しないといけないところはどこでしょうか。
「すべてですね。反則を重ねてしまって、ピンチになる場面もありましたので、規律の部分も修正しないといけません。修正したり、強化したりしないといけないところはたくさんありますが、特に1つを上げるとしたら、ディフェンスです。簡単にトライを許すことも多かったので、そこは集中して取り組んでいきます」
改めて、1位通過できた一番の要因は何だと思われますか。
「一番はチーム内での競争が激しくなったことです。選手自身がこの部分を成長させないといけない、この部分が足りていないと意識し、トレーニングを積んで能力を伸ばしてきました。そこでチャンスをもらった選手が期待通りのパフォーマンスを発揮し、勝利に貢献してくれた。あと、ウェイン(・スミス総監督)の力も大きいですね。こうなりたいと思っているだけでは、何も変わらない。目標に向かって、プランニングして、どれだけハードワークするのか。それを遂行して、ようやく達成できる。そういうことを選手に理解させました。そして最後に、みんなが、チームの歴史や文化について考えるようになったことも大きいと思います。NEC戦の開催日は、元GMの平尾誠二さんの命日でした。選手たちが今、コベルコスティーラーズでラグビーができているのは、平尾さんが7連覇をはじめ、数々の功績を残してきたから。新しいメンバーも平尾さんの功績を理解し、全員が彼のためにめにプレーしようとまとまりました」
世界的なプレーヤーであるダン・カーター選手がチームに与えた影響とは。
「選手たちのラグビーに取り組む姿勢はもともと悪くはなかったのですが、より一層良いものにしてくれました。また、ウェインと同様に、何もせずに成果は得られないということをほかのメンバーに示してくれました。プランニングしてハードワークすることで成果が得られる。あと、彼は本当に謙虚で、献身的な人間です。すべての選手に対して、成長の手助けをしようと動いてくれています」
この秋、1年ぶりにコベルコスティーラーズから日本代表に選手が招集されました。
「喜ばしいことですね。優勝することが一番の目標ですが、代表にたくさんの選手が入ることもチームにとっては重要なことです。来年の春には山下(裕史)、中島(イシレリ)、山中(亮平)だけでなく、もっと多くの選手が選ばれてほしいですね」
では、総合順位決定トーナメントに向けて抱負をお聞かせください。
「ゴールはファイナルに勝ち進み、そこで勝利し、頂点に立つことです。そのためには1試合1試合、目の前の試合に勝っていくしかありません。これまでやってきたように良い準備をし、試合で精度高くプランを遂行できるようにしていく。ただ、トーナメントでは、それをより一層完璧に近い形でやり遂げないといけません。オフを挟んで総合順位決定トーナメントまでの1ヶ月間、しっかりプランを立て、最高の準備をし、まずは初戦のリコーとの戦いに臨みたいと思います」
最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
「ファンの皆様は、16人目の選手です。選手たちはグラウンドで常に皆様のサポートを感じています。これからも観客を魅了するラグビーをやり続け、勝利を重ね、最終的に皆様と優勝の喜びを分かち合えるようにしたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします」