取材日:2018年8月2日
新加入選手インタビュー Part.6
今年、サンウルブズでプレーし、大活躍だったグラント・ハッティング選手とヘイデン・パーカー選手。両選手の加入を心待ちにしていたファンの方も多いのではないでしょうか。両選手は、7月30日(月)、夏合宿真っただ中のチームに合流しました。合流して間もない8月2日と3日に、両選手を直撃インタビュー!サンウルブズのことや今シーズンの目標などを聞きました。
1シーズンのつもりが、気がつけば、来日4年目日本代表入りとトップリーグ優勝を目指します!
グラント・ハッティング
Grant Hattingh
PROFILE
- 1990年10月3日生まれ(27歳)
- 出身校/キングスウッド高校→ステレンボッシュ大学
- 過去の所属チーム/ライオンズ、ブルズ、クボタスピアーズ、サンウルブズ
- ポジション/LO
- 身長・体重/201cm・116kg
サンウルブズで多くのことを学べた
今年初めてサンウルブズに参戦されました。初勝利を飾った第13節vsレッズ戦とヘイデン・パーカー選手の劇的なドロップゴールで勝利した第14節vsストーマーズ戦では2試合続けてベストフィフティーンに選ばれるなど、シーズン通して大活躍でしたね。
「ベストフィフティーンに関しては、自分だけのパフォーマンスで選ばれたわけではありません。みんなが努力して、いいゲームをし、僕もハードワークしました。その中でたまたま僕が選ばれただけ。チームメイトのお陰です。ただ、2週続けてベストフィフティーンに選ばれたのは、これまでライオンズ、ブルズでプレーしていましたが、初めてのことだったので、うれしかったですね」
サンウルブズは、これまで所属したチームとは違いましたか?
「ライオンズ、ブルズはほぼ南アフリカ出身の選手で構成されていますが、サンウルブズは、9カ国から選手が集まってきていますからね。朝食会場に入ると、みんな、それぞれ違うスタイルの食事をしているんです。また、さまざまな言語で、『おはよう』『調子はどう?』と話しかけてくるのも、面白かったですね。仲間と良い関係を築くことができましたし、学ぶことも多く、有意義なシーズンを過ごすことができました」
学んだことというのは?
「サンウルブズは、自陣からキックを蹴らずに、チャンスがあればどんどん仕掛けていくスタイルです。これまで、そのようなラグビーをあまり経験してこなかったので、マインドセットであったり、スキルの面であったりを学べたことが良かったです。プレーの幅が広がりましたし、今後にいかすことができると思います」
来年もサンウルブズでプレーしたいですか?
「もちろんです!」
2018−2019シーズンはクボタスピアーズでプレーし、春からサンウルブズと、ラグビー漬けですが、コンディションはいかがですか?
「最終戦の後、2週間のオフがあったので、コンディションは万全です。今からトップリーグに向けて、しっかり準備していきます」
日本代表としてプレーし、日本に恩返しを
ところで、ハッティング選手はクボタスピアーズで、2015年から3年間プレーしていました。まず日本でプレーしようと思った理由を教えてください。
「ブルズで3シーズン、プレーした後、何か変化がほしいなと感じていました。そのタイミングで、クボタからのオファーを受けました。日本に来る前は、日本のラグビーに対して何の知識もなかったですし、そもそも日本人がラグビーをしていることさえ知らなかった(苦笑)。そういう感じだったので、最初は1シーズンだけのつもりだったんです。でも、来日して、すぐに日本を気に入ってしまって、気がついたら、今年で4シーズン目に突入していました(笑)」
日本のどこを気に入ったのでしょうか?
「日本人は優しくて、おもてなしの精神があります。日本に来てから、僕も妻も嫌な思いを一切したことがありません。食事も素晴らしいです!ただし、納豆以外はね(笑)」
201cmのハッティング選手には、日本のベッドは小さ過ぎるんじゃないですか?
「探せば大きなベッドもありますよ(笑)。妻も日本での生活をとても気に入っています。言葉についても、クボタ時代からずっと日本語を勉強しているんです。途中で辞めてしまいましたが、日本語のクラスも取っていたんですよ。最終的に読み書きができるようになりたいと思っています」
日本代表資格ももうすぐ取得できます。春には、日本代表の第一次ワールドカップトレーニングスコッドに召集されました。4年前に想像できましたか?
「ノー!まったく想像もしていませんでした。何事も計画通りにいかないのが面白いですね(笑)。ただ今は、日本に来て、みんなに優しくしてもらっているので、日本に対し恩返しがしたいという気持ちがあります。来年、日本でワールドカップが開催されますし、日本代表としてプレーし、勝利に貢献したいと思います」
それが、今の大きな目標。
「そうです。でも、その前にコベルコスティーラーズで良いシーズンを過ごして、トップリーグの優勝トロフィーを掲げたいですね」
ラインアウトとアタックに注目を!
そのコベルコスティーラーズのことですが、チームには、ハッティング選手と同じ南アフリカ出身のアンドリース・ベッカーコーチがいます。
「彼がストーマーズで活躍している時、僕はストーマーズのU19でプレーしていたんです。僕にとって彼はヒーローでした。そのヒーローから指導を受けることができるなんて!エキサイティングですね」
ベッカーコーチから何を学びたいですか?
「彼はラインアウトにおいて頭脳のような存在です。ラインアウトについて、あらゆることを学びたいと思います」
ラインアウトについては、ハッティング選手も自信があるのではないでしょうか。
「ラインアウトは、チームメイトのプレーの特徴をどれだけ知っているかが重要です。なので、チームに入ってすぐは、難しいところがあります。お互いを理解すればするほど、ここは誰をジャンパーにした方がいいなど、指示しやすくなる。まだチームに合流して4日目なので、これからチームメイトのことを知って、コベルコスティーラーズでも、ラインアウトの安定に貢献できるよう頑張ります」
ファンに見てもらいたいプレーは?
「スタンドオフだったら、キックを見て、ランを見て、と言えるんですが(笑)。ロックですので、やはりラインアウトには注目してほしいですね。あと、僕はアタックが好きなので、ボールキャリーであったり、ボールを持っている状況で良いパスをしたりするところを見ていただきたいですね」
スタンドオフはできない。
「残念ながら、バックスの経験はないですね(笑)。6歳からラグビーをはじめて、高校までナンバーエイトでした。スーパーラグビーでプレーするようになってから、ロック、フランカーです。僕はチームから必要とされるなら、どのポジションでもプレーします!もちろん、チームから望まれるならスタンドオフでもプレーしますよ(笑)」
ちなみに、よく聞かれていると思うのですが、子供の頃から大きかったのですか?
「大きかったですね。母が少し大きいくらいで、父も妹も平均的な身長なんですけどね。子供の頃から、どこへ行っても、誰よりも大きかったです」
では最後に、今シーズンの目標とファンの皆様へメッセージをお願いします。
「コベルコスティーラーズという素晴らしいチームで、スペシャルな時間を楽しみながら、ハードワークし、最終的にトップリーグ優勝を達成したいと思います。また、コベルコスティーラーズファンの皆様の中には、僕がサンウルブズでプレーしていた時から応援してくれていた方もいて、うれしく思っていました。これからはコベルコスティーラーズのためにベストを尽くします。試合会場で大きなご声援をよろしくお願いします!」
ダン・カーターから多くのことを学んで司令塔としてさらにレベルアップしたい
ヘイデン・パーカー
Hayden Parker
PROFILE
- 1990年11月19日生まれ(27歳)
- 出身校/オタゴボーイズ高校
- 過去の所属チーム/ハイランダーズ、パナソニックワイルドナイツ、サンウルブズ
- ポジション/SO
- 身長・体重/175cm・82kg
サンウルブズに参戦して良かった!
サンウルブズでは素晴らしい活躍でしたね。特に香港で行われた第14節vsストーマーズ戦のサヨナラドロップゴールは印象的でした。あれは入ると思ったのでしょうか?
「利き足が左なので、本当は左足で蹴りたかったのですが、相手からプレッシャーをかけられて、右足で蹴らざるを得ない状況だったんです。入るとは思わなかったですが、入ってほしいなって祈っていました。成功したのは、ただただラッキーでした」
あと、38本連続ゴールキックを成功させ、スーパーラグビーの記録を樹立しました。
「自分でもなぜそんなにも成功し続けたのか、わからなくて。チームメイトから毎週キックのことを言われて、プレッシャーがどんどん増えていったんです。だから、ミスした後は、キックのことを言われなくなったので、正直ホッとしました(笑)。ただ、ミスしてしまったことは残念ですし、反省しないといけません」
16試合中13試合に出場。うち10試合に先発出場と、プレータイムも長かったですね。
「膝の怪我もあり、昨年まで所属していたハイランダーズではなかなかプレーする機会がなくて。サンウルブズに参戦した理由に、もっとプレータイムが欲しいという思いがありました。サンウルブズでは、試合を経験するにつれ、スキルも磨かれていき、ゲーム理解度も上がっていきました。成長の手応えを感じられ、サンウルブズに参戦して良かったと心から思います」
ラグビーとは関係ないのですが、6月のリーグ戦の休止期間が明けてすぐ行われた試合で、髪をかなり短くされていましたが、何か心境の変化があったのでしょうか?
「何も理由はないんですが、試合が行われたシンガポールで髪を切りに行ったのが失敗でしたね(笑)。短くするつもりがなかったんですけど、ばっさりカットされてしまって。店員にやられちゃいましたね(笑)」
さて、スーパーラグビーが終了し、次はトップリーグです。現在のコンディションは?
「スーパーラグビーが終わって、2週間のオフがありました。痛みがあったところも癒え、コンディションは上々です」
DCが10番で、僕はリザーブです(笑)
新しいチームメイトはどうですか?
「みんな、優しくて、歓迎してくれています。ただ、合流してまだ5日目なので、みんなの名前と顔が一致しなくって、申し訳ないなって。選手、スタッフを合わせると80人くらいいますので、今、名前を覚えるのに必死になっています」
ニックネームは?
「"コージー"です。古い映画の主人公の名前なんです。僕はそう思わないんですが、みんなから似ていると言われて、昔からコージーと呼ばれています」
夏合宿からの合流になりましたが、神戸には行ったことがあるんですか?
「一度だけアパートを見に行ったんですが、その時はわずかな時間しかなかったので、街全体を見ることができなかったんです。でも、みんな、神戸は良い街だと言っていますので、それも楽しみですね」
パーカー選手というと、コベルコスティーラーズファンが思い出すのは、「ジャパンラグビートップリーグ2015-2016 LIXIL CUP」準決勝vsパナソニックワイルドナイツ戦だと思います。3本のゴールキックに、6本のペナルティーゴール、さらにドロップゴールまで決め、マン・オブ・ザ・マッチを受賞しました。
「コベルコスティーラーズはタレントが多く、良いチームなのですが、当時は、キックゲームがあまりうまくないという印象を持っていました。自分たちのゲームプラン通りに試合を進められたという感じです。ただ、コベルコスティーラーズは、強いチームには間違いありませんし、それは今も変わりません」
コベルコスティーラーズには、今シーズン、元オールブラックスの司令塔であるダン・カーター選手が加入しました。
「DC(ダン・カーター)は、高いレベルで多くの試合を経験し、知識も豊富です。自分ができることは、彼からどれだけ多くのことを吸収できるか。たくさんのことを学べると思いますし、楽しみで仕方がありません」
レギュラー争いという意味では、カーター選手はライバルになるのでは?
「もちろん、ライバルです。だけど、彼が10番で、僕はリザーブになると思いますよ(笑)」
カーター選手と話をした時に「若いヘイデン・パーカーが加入するので、彼が試合に出て、キックを蹴るよ」と言っていましたよ。
「ダン・カーターis ナンバー1(笑)!それに、ファンの方も彼のキックが見たいでしょ?」
パーカー選手のキックもみんな見たいと思いますよ。キックの正確さは、どうやって身に付けたのですか?
「トニー・ブラウン(日本代表アシスタントコーチ)から教えてもらったことが大きいですね。4、5年前までDCが使っているものと同じ高さのキックティーを使っていたんですが、ブラウニー(トニー・ブラウン)からより高いものに変えた方がいいと言われたんです。それから、ボールの置き方も変えました。それまでキックティーに立たせるような感じでボールを置いていたんですが、寝かせ気味にして。そうすることで、キックがポイントにちゃんと当たらなくても、真っ直ぐに飛んでいってくれることが多い。あとは、ひたすら練習するのみ。ただ、キックティーの高さやボールの置き方を変えたお陰で、成功率は上がりました。それまでは75パーセントくらいだったんですが、80パーセント近くまで上がりましたね」
キックだけでなく、ランも磨きたい
子供の頃からずっとスタンドオフだったんですか?
「5歳からラグビーをはじめたのですが、実は15歳まで7番だったんです」
当時は、体が大きかった?
「小さかったです(笑)。小さくても、7番をしていたのは、リッチー・マコウが同じ町の出身なんです。だから、絶対に7番でプレーしたかった。だけど、僕は体が小さいし、フランカーではやっていけないと思って、15歳の時にスタンドオフに転向しました」
スタンドオフはすぐにできるようになりましたか?
「7番でプレーしていた時もキックをするのが好きだったんです。それに、学校でよくサッカーをしていたことも、キックの上達を助けたと思います」
キックはパーカー選手にとって大きな武器ですね。
「そうですね、得意なプレーです。でも、キックだけでなく、今後はランの部分も成長させていきたいと思っています」
では今シーズンの目標をお願いします。
「まずDCからたくさんのことを学んで、司令塔として、さらに成長したいと思います。そして、出場機会を得て、コベルコスティーラーズの勝利に貢献できるよう頑張ります!」
最後にファンの皆様方にメッセージをお願いします。
「コベルコスティーラーズのファンはとても熱いと聞いています。そのようなファンの皆様の前で良いプレーをして、勝利をお届けしたいと思います。スタジアムで皆様に会えることを楽しみにしています!」