取材日:2018年6月15日
新加入選手インタビュー Part.5
5回目の新加入選手インタビューは、プレシーズンマッチ2試合でパワフルな突破を何度も見せた流通経済大学出身のトンガ人プレーヤー、FLタウムア・ナエアタ選手とニュージーランド出身で、イギリス人の父とフィリピン人の母を持つアジア枠の若きバックスプレーヤー、CTBチャーリー・ローレンス選手。両選手に今後の目標などを聞きました。
持ち味はパワーとスピードを生かしたボールキャリー日本代表を目指して、すべてをレベルアップさせる
タウムア・ナエアタ
Taumua Naeata
PROFILE
- 1994年2月2日生まれ(24歳)、トンガ共和国出身
- リアホナ高校→トンガカレッジ→流通経済大学
- ポジション/FL
- 身長・体重/193cm・110kg
手応えを感じることができたプレシーズンマッチ
日本語を話すことはできるのでしょうか?
「日本に来て5年目なので話すことはできますが、複雑な話題になると思いを伝えるのが難しいです」
ここからは通訳のジョー・ラッシュさんに間に入ってもらうことにしますね。まず、春シーズンのプレシーズンマッチについて。初戦のNECグリーンロケッツ戦は後半18分から出場、コカ・コーラレッドスパークス戦は先発出場を果たしました。ご自身のパフォーマンスを振り返っていただけますか?
「NEC戦は、初めて経験するトップリーグチームとの試合だったので緊張しましたが、 グラウンドに入ったら目の前のことにだけ集中してプレーすることができました。特に意識していたのは、後半からの出場だったので、チームに勢いを与えるプレーをすることでした。ボールを持ったら、持ち味である突破力を出そうと思っていました。コカ・コーラ戦は2試合目ということもあり、NEC戦よりも落ち着いてプレーできたと思います。2試合とも自分の良いところを随所に出すことができ、試合後、デーブ(・ディロンヘッドコーチ)から『スピードも、パワーも素晴らしかった』と声をかけていただきました。嬉しかったですが、ここで満足するのではなく、まだまだレベルアップできると思いますので、ハードワークして、成長していきたいです」
手応えを感じられたようですね。特にレベルアップしたいところはどこなのでしょうか?
「すべてにおいてレベルアップさせたいと思っていますが、1つあげるとしたら、ディフェンスです。大学1年から日本でプレーしていますが、日本人は体が小さいので、高く入っているつもりはなくても、ハイタックルのペナルティーを取られてしまうことがあって。そこは大きな課題です。低く、かつ強く、タックルに入れるように、体の使い方を学ばないといけない。タックル自体は嫌いではないので、今後、ディフェンスも持ち味と言えるようにしていきたいと思います」
素晴らしい環境の中で日々成長を実感中
ところで、ナエアタ選手がコベルコスティーラーズに入部した理由を教えていただけますか?
「インターナショナルレベルの選手になることがラグビーをはじめた頃からの目標でした。コベルコスティーラーズはトレーニング環境が整っていますし、コーチ陣も素晴らしい。そして、日本人選手も外国人選手も、みな、レベルが高い。そういう中で切磋琢磨することで、自分自身をさらに高めることができ、世界で通用する選手へと近づくことができると思ったからです」
コベルコスティーラーズの練習はどうですか?
「大学時代は、練習時間がとても長かったのですが、コベルコスティーラーズの練習は短時間で、内容が非常に濃いですね。それにタックルやパスなど、細かなスキルを学ぶ時間もあるので、とてもありがたい。先輩も親切で、いろいろと教えてくれますし、日々、成長を感じています」
チームには流通経済大学の先輩もいますね。
「ザキさん(山﨑基生)、シーカターさん(鹿田翔平)、イシさん(中島イシレリ)。みんなに可愛がってもらっています。特にイシさんは、トンガにあるお互いの実家が近くて、昔から知っているんです。しかも、高校も同じ。イシさんは、兄のような存在ですね」
ナエアタ選手がラグビーをはじめたのはいつからなんですか?
「16歳からです。それまではテニスをしていました。父が地元のテニスクラブでコーチをしていたので、僕も子供の頃から父についていき、テニスをしていたんです。高校に入ってから、友達がラグビーをはじめたのがきっかけで、僕もラグビーに興味を持つようになり、高校と地元にあるクラブチームでプレーするようになりました。ラグビーはテニスと違って、コンタクトプレーがあります。ぶつかることが新鮮で、楽しかったですね」
ラグビーをはじめた頃のポジションは?また、その後のポジションの変遷を教えてください。
「細くて、足が速かったので、最初はフルバックでした。それから体重が増えて、18歳で高校代表に選出された頃からフランカーでプレーするようになって。大学ではロックでもプレーしていました。今は、フランカー、ナンバーエイト、ロックでプレーできます」
チーム内競争に勝ってレギュラーを獲得する!
日本でプレーすることになったきっかけを教えてください。
「高校のラグビー部の監督が、流通経済大学のラグビー部の監督と知り合いだったんです。それで、紹介されて、日本でプレーしないかと声をかけられたんです。母方の親戚がラグビー選手で、フランスのクラブチームでプレーしていたこともあり、いつかヨーロッパのチームでプレーしたいという気持ちがありましたが、熱心に誘っていただいたので、日本でプレーすることに決めました。ただ、日本のラグビーがどんなものなのか、レベルについてもまったく知らなくて(苦笑)。来日した当初は、日本人の低いプレーにとまどいましたが、練習を重ねるごとに慣れていきました。大学の4年間では、ステップを切ったり、ずらしたり、スキル的な部分をたくさん学ぶことができました。トンガでは、ボールを持ったら、ただまっすぐに走り込むということしかしてこなかったので、スキルは日本で大幅にレベルアップできたと思います」
大学4年の時は、ロックで関東大学リーグのベスト・フィフティーンに選ばれましたね。ロック、フランカー、ナンバーエイトができるということですが、好きなポジションは?
「フランカーです!ロックはスクラムの時に耳を挟まれるので苦手なんです(笑)。というのは冗談ですが、フランカーの方がロックよりボールを持つ機会が多いので好きですね」
ラグビー選手としての最終目標を教えてください。
「高校生の頃は、トンガ代表になりたかったのですが、今は日本代表に魅力を感じています。日本代表に選ばれるようにハードワークしますが、まずはチームで活躍しないといけません。コベルコスティーラーズには、2列目も3列目も良い選手がたくさんいます。今シーズン、チーム内競争に勝って、レギュラーを獲得できるよう頑張ります!」
日本代表で憧れている選手は?
「アマナキ・レレィ・マフィです。彼も高校が一緒なんです。彼のようにチャンスを掴んでワールドカップにも出場したいと思います!」
では最後にファンの皆様方へメッセージをよろしくお願いします。
「ミドルネームの『ルイ』がニックネームです。ルイと声をかけてください。1年目からレギュラーを獲得して、チームの勝利に貢献できるよう頑張ります!熱い応援よろしくお願いします!」
力強いディフェンスに、激しいタックルマア・ノヌーのようなプレーヤーを目指す!
チャーリー・ローレンス
Charlie Lawrence
PROFILE
- 1998年5月27日生まれ(20歳)、ニュージーランド出身
- ハミルトンボーイズハイスクール→ワイカトU15〜U18→チーフスU18→ベイオブプレンティーU19→チーフスU20
- ポジション/CTB
- 身長・体重/172cm・88kg
フルタイムでラグビーに専念できるのが嬉しい!
20歳になったばかり。5月27日の誕生日はどう過ごしましたか?
「デーブの家族がお祝いしてくれました。1年前はまさか日本で20歳の誕生日を迎えるとは思っていなかったですね」
日本は初めてですか?
「今回で、2回目です。12歳の時に、遠征で福岡に1週間ほど滞在したことがあります。3チームで行われる大会で、日本チームの選手の家にホームステイさせていただきました。あと、高校時代の親友が日本人なので、彼からよく日本のことを聞いていて。国民性や文化のことなど、だいたいのことは理解しているつもりです」
日本のラグビーについてはどうですか?
「その親友のお父さんが、学生時代にラグビーをしていたんです。だから、2015年ラグビーワールドカップで、日本代表がスプリングボクス(南アフリカ代表)を下した時は、彼のお父さんから『やってやったぞ!』と興奮気味に電話がかかってきて。ニュージーランドでも大きなニュースになりましたし、日本が強くなっていることは知っていました。それから、日本の大学は練習が長いということも聞いていました(笑)。ラグビーについては、ニュージーランドと違って、決まりごとが多いというイメージを持っていたのですが、実際、コベルコスティーラーズに入って、それほど決まりごとが多いとは感じてはいません。それは、総監督やヘッドコーチがニュージーランド出身だからかもしれないですが。コベルコスティーラーズは、日本とニュージーランドの良いところをミックスしたラグビーをしていると思います」
ローレンス選手が日本でプレーすることに決めた理由を教えてください。
「理由は簡単です。高校卒業後、クラブチームでプレーしていましたが、フルタイムではなく、ラグビーをする傍ら、仕事もしていました。ほぼ毎日、約12時間、港でコンテナを積む作業をして、それ以外の時間をラグビーにあてるという環境だったんです。だから、コベルコスティーラーズからオファーをもらった時は嬉しかったです。これからはフルタイムでラグビーに専念できると思いました」
持ち味はディフェンス、課題はフィットネス
チームにはいつから合流しましたか?
「4月9日の初練習には参加しましたが、一旦、ビザの手続きの関係でニュージーランドに帰らないといけなくて、4月末から本格的に練習に参加しました」
チームにはすぐに馴染みましたか?
「3週間ほど遅れて合流したので、緊張しましたが、みんな、優しくて、すぐに打ち解けました。あと、チームには、アンディー(アンドリュー・エリス)やクーピー(アダム・アシュリークーパー)といった世界レベルの選手がいます。彼らと一緒にプレーするということにもはじめは緊張していました。だけど、彼らはすごくフレンドリーで、いろいろとアドバイスをしてくれて。彼らはプレーヤーとしてだけでなく、人としても素晴らしい。これからは、ダン・カーターとも一緒にプレーできる。信じられないことですし、今から楽しみで仕方ありません。アンディー、クーピー、ダン・カーターだけでなく、そのほかのチームメイトのプレーを見たり、質問したりして、多くのことを吸収していきたいです」
日本人選手とのコミュニケーションはどうですか?
「最初の2週間は難しかったですね。僕はセンターをしているので、周りの選手と常にコミュニケーションを取らないといけません。その部分に苦労しましたが、徐々にコミュニケーションが取れるようになってきました」
プレシーズンマッチvsコカ・コーラレッドスパークス戦がデビュー戦となりました。ご自身のパフォーマンスはどうでしたか?
「試合内容自体はあまり良くありませんでしたが、先発で出場し、私自身はこれまで練習をしてきたことを出すことができて、自信になりました。もちろん、まだまだレベルアップさせないといけないところは多いですが、『やっていける』と手応えを感じることができました」
試合では、どういうところを出すことができたのでしょうか?また、現時点で課題はどこですか?
「良い部分を出せたと思ったのは、ディフェンスです。もともとディフェンスは得意だったのですが、コベルコスティーラーズに入ってからタックルのスキルを教えてもらって、さらに良くなったと感じています。課題はフィットネス。80分間、早いテンポで動き続けることができるようにしていきたいと思います」
どんな選手になっていきたいですか?
「昔から好きなのは、ソニー・ビル・ウィリアムズなんです。彼のSNSをよくチェックしていて、そこから人間性の素晴らしさが垣間見られて。プレーも素晴らしいですが、人としても尊敬できるなって。ただ、僕はソニー・ビルのようなタイプではないので、目指すところは、マア・ノヌー。力強い突破に、激しいタックル。僕はまだまだその域に達していませんが、少しでも近づくことができるようにしていきたいですね」
夢はでっかくオールブラックス!
楽しみにしていますね。ところで、これまでの競技歴について伺いたいのですが。その前に、ローレンス選手はアジア枠だそうですね。
「父がイギリス人で、母がフィリピン人なんです。パスポートがフィリピンなので、アジア枠になります」
ラグビーをはじめたのは、何歳からですか?
「5歳でタッチラグビーをはじめて、8歳からコンタクトがあるラグビーをするようになりました。最初はスクラムハーフをしていました。それからスタンドオフをして、高校からセンターをするようになりました」
高校は?
「ハミルトンボーイズハイスクールです。オールブラックスのタウェラ・カーバーローやスコットランド代表のショーン・マイトランドなど、たくさんの選手を輩出しています。グラウンドにはラグビー場が6面ほどありました。20チーム以上あり、1年の時は2軍だったのですが、高校2年から1軍にあたるファースト・フィフティーンに入ることができました」
高校卒業後はどこでプレーしていたのですか?
「高校時代もずっとワイカトでプレーしていたんです。その後、チーフスU18、ベイオブプレンティーU19、チーフスU20に所属していました。そして、コベルコスティーラーズにやって来ました」
コベルコスティーラーズでの目標を教えてください。
「チームの目標であるトップリーグチャンピオンに対し、どれだけ自分自身が貢献できるのか。多くの試合に出て、勝利に貢献できるように頑張ります!」
ラグビー選手としての最終目標は?
「できる限り高いレベルでプレーしたいと思っています。オールブラックスのユニフォームを着てテストマッチに出ることが大きな夢であり、最終目標です」
では最後にファンの皆様方にメッセージをお願いします。
「チームは激しくて、ボールが動く、ファンの方が見ていて、楽しいラグビーをします!僕のプレーもたくさん見ていただけるように頑張りますので、応援よろしくお願いします!」