取材日:2018年5月16日
新加入選手インタビュー Part.1
今シーズンからチームの一員となった選手たちをご紹介。
第一弾は、クボタスピアーズから移籍のHO鹿田翔平選手とニュージーランドの高校に留学した経験を持つCTB日下太平選手のインタビューをお届けします。
紆余曲折を経てコベルコスティーラーズの一員に。今シーズン、トップリーグデビューを目指す!
鹿田翔平
Shohei Shikata
PROFILE
- 1989年10月13日生まれ(28歳)、広島県尾道市出身
- 尾道高校→流通経済大学→尚武(韓国)→三菱重工相模原ダイナボアーズ→クボタスピアーズ
- ポジション/HO
- 身長・体重/171cm・100kg
ニックネームはシー・カーター!?
コベルコスティーラーズには大学の1年先輩の山崎基生選手や同期の中島イシレリ選手がいます。チームにはもうすっかり馴染んだ様子ですね。ちなみに、チームメイトからはなんと呼ばれているんですか?
「シー・カーターと呼ばれているんですよ(笑)」
何やら響きがダン・カーターぽいですね。
「ザキさんが呼び始めて。みんなからそう呼ばれるようになりました」
いじられキャラぽいですね。ムードメーカーとしても期待できそうな...。
「今までのチームでもチームメイトにいじられますねー(笑)。ムードメーカーというのは、自分で言うのもなんですが、そこも強みなのかなって。チームに元気がない時に、声を出して仲間を鼓舞していきたいと思っています」
プレーの持ち味は?
「コンタクトですね。ラグビーをはじめた頃からタックルが好きで。あとジャッカルも得意です」
どういう選手を目指しているんですか?
「オーストラリア代表のフッカー、タタフ・ポロタナウに憧れているんです。サイズは181cmとそれほど大きくないんですが、コンタクトが強くって。1発のタックルで流れを変える。僕もサイズがある方ではないので、ポロタナウのような選手を目指しています」
コベルコスティーラーズのポロタナウになる。
「そうなりたいですね。インパクトあるプレーをしていきたいです」
そのためにはどういうところを強化していきたいと。
「走ることがあまり得意ではないので、フィットネスを伸ばしていきたいと思っています。神戸に来てから、バズ(バジル・カージスヘッドS&Cコーチ)にフィットネスを強化するように言われて、フィットネスメンバーとして毎朝トレーニングを積んでいるので、フィットネスもフィジカルも徐々に数字が上がってきて手応えを感じているところです」
大学4年でフッカーにコンバート
期待していますね。ところで、鹿田選手のこれまでについて伺いたいのですが、まずラグビーをはじめた年齢ときっかけを教えてください。
「ラグビーをはじめたのは高校1年からです。それまでサッカーをしていたんですが、向いていないと感じていて。それで、中学のサッカー部の顧問の先生からラグビーをやってみればと勧められたんです。広島はそれほどラグビーが盛んではないので、ラグビーというスポーツ自体知らなかったんですが、やってみようかなと。軽い気持ちではじめました」
ラグビーは向いていたと。
「最初はタックルが怖かったのですが、小さい人が大きい人をドカンと跳ね飛ばしたら盛り上がるじゃないですか。それが楽しくて。サッカーはセンスに左右されるところがありますけど、ラグビーは努力次第かなって。特にタックルなんて気持ち次第。そういう意味でもラグビーの方が合っていると思いましたね」
ポジションは高校時代から1列目だったんですか?
「最初は何もできないので、ボールをもらったら走れ!という感じでウイングをしていたのですが、プレーできるようになってからはフランカーをしていました。フッカーをするようになったのは、大学4年からなんです」
フッカーに転向した理由を教えてください。
「社会人でもプレーしたいという思いがありました。ただサイズを考えたらフランカーでは厳しいと言われて、監督やコーチからフッカーへのコンバートを勧められたんです。それに能力の高いフランカーの選手が入った時でもあったので、コンバートすることに決めました」
ラインアウトのスローイングに、スクラム、フッカーとしての仕事はすぐにできるようになりましたか?
「まずフッカーはフランカーに比べるとプレーに自由さがないので、最初は苦労しました。でも徐々にできるようになってきて、特にスクラムは組んでいく内にどんどん好きになっていきましたね。相手がこう組んできたから、次はこうやってみようとか、そういうことを考えるのが楽しくて。スクラムは好きになりました」
韓国でのプレー経験もある異色のトップリーガー
大学4年の時に主将としてチームを初のリーグ制覇に導いた後、韓国でプレーしていたそうですね。
「そうなんです。トップリーグのチームから声がかからなくて、どうしようかと考えている時に、韓国合宿があって。その時に三星というチームのコーチからプレーしてみないかと提案されて、韓国に渡る決心をして準備も進めていました。ただ直前で、チームから日本人はプロ契約ができないと、話が白紙になってしまって...。でも日本ラグビー協会と韓国ラグビー協会の間で、僕が韓国でプレーすることは決まっていたので、なんとしてでも韓国に行かないといけない。それで、『尚武』という韓国の軍隊チームで、契約の関係上はコーチという肩書きでしたが、選手として1年ほどプレーしていました」
『尚武』というと、張碩煥選手も所属していた韓国のエリートチームですよね。
「そうです。張くんとはかぶっていないんですけどね。『尚武』は各大学のキャプテンやバイスキャプテンといった能力の高い選手が所属するチームでしたが、韓国のラグビー界は、日本よりも遅れています。ただ1人1人のコンタクトは強くって。韓国に行ってコンタクトの部分は成長させることができました」
その後は三菱重工相模原へ。
「どうしても日本でプレーしたいという気持ちがあったので、トライアウトを受けたんです。合格した時は嬉しかったですね。2年目から試合に出られるようになって、チームをトップリーグに昇格できるよう頑張っていたんですが、なかなか厳しくて。そんな時にクボタからお話しをいただきました。もう27歳になっていましたし、トップリーグでやりたいという思いが強かったので移籍することに決めたんです。でも昨シーズンは、メンバーに入ったその週に肉離れをしてしまうなど、怪我が多くて、結局、試合に出られないままシーズンが終わってしまいました」
コベルコスティーラーズで、トップリーグの試合に出場するという目標を達成したいですね。
「もちろんです。神戸にいる選手はレベルも高いですし、練習も厳しい。これまでとまったく違う環境の中で自分を成長させて、トップリーグの舞台に立てるよう頑張ります!」
応援しています。では最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
「試合に出たら、タックルやジャッカルに注目してください!ファンの皆様や周りの人たちの期待に応えられるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします!」
コンラッド・スミスのような選手を目指して。日下太平18歳、日々、成長中です。
日下太平
Taihei Kusaka
PROFILE
- 1999年11月8日生まれ(18歳)、神奈川県鎌倉市出身
- 鎌倉ラグビースクール→関東学院六浦中学校→関東学院六浦高校→クライストチャーチボーイズハイスクール
- ポジション/CTB
- 身長・体重/181cm・88kg
毎日が楽しくて仕方がない!
練習がはじまって1ヶ月以上が経ちましたが、どうですか?
「楽しいですね!選手のレベルが高くて、刺激を受けています。それに、先輩たちも親切に教えてくださって。毎日何かしら得るものがあり、日々、成長できているという実感があります。でも、他の選手と比べると、足りない点が多いので、もっともっと成長したいですね」
チーム練習の後、アダム・アシュリークーパー選手から指導を受けているそうですね。
「そうなんです。テストマッチに出ていた人がなんでここにいるの?という感じで、はじめてクーピーと会った時は興奮しましたし、今も一緒に練習しているのが不思議ですね。アンディー(アンドリュー・エリス)もそう。『うわっ、オールブラックスがいる!』って感じで(笑)。クーピーには、キック、タックルなど教えてもらっています。ただクーピーだけでなく、バックスの先輩全員にいろいろと教えてもらっていますね」
ニュージーランドの高校卒業後にトップリーグへ。勇気ある決断だと思うのですが、コベルコスティーラーズに入部を決めたのは?
「初めは高校卒業後に進学することを考えていて、ニュージーランドの大学に進もうと思っていたのですが、昨年、福本(正幸)さん(チームディレクター)からお話しをいただき、ウェイン・スミス(総監督)やダン・カーターが加わることを聞き、入部に気持ちが傾きました。それで、実際の練習の雰囲気を見てみたかったので、年末に練習に参加させていただいたんです。シーズン中の大事な練習にもかかわらず、みんな、とても優しく接してくださって。このチームでプレーしたいと思い、入部を決めました」
ご両親は賛成してくれましたか?
「両親はチャンスがあるなら神戸に行った方がいいと後押ししてくれました。父も海外に長期滞在した経験があるので、チャレンジ精神が旺盛で。実は、ラグビーをはじめたのも、ニュージーランドに行くきっかけも、父が作ってくれました」
前例がないことに挑戦するのが好きなんです。
ラグビーは何歳からはじめたんですか?
「3歳からです。父は高校の3年間ラグビーをやっていて、ラグビー好きなんです。それで、3歳の時に鎌倉ラグビースクールに入れられました。最初はイヤイヤやっていたんですが、ハマったきっかけがあったみたいで。僕自身は覚えていないのですが、両親が言うには、チーム内で1学年上の人たちと試合をすることになり、モチベーションが上がって取り組み方が変わっていったと。そこから本気でラグビーに向き合うようになって、当時は小中一貫の横浜国立大付属小学校に通っていたんですが、スクールだったら週2日しか練習がないので、中学はラグビーをベースに考えて受験し、中高一貫の関東学院六浦中学に進みました」
小中一貫校に通っていて、中学は違う学校へ。かなり珍しいですよね。
「普通はしないですよね(笑)。それに中学も中高一貫校なんですが、高校は違うところへ行って。人がやらないことばかりしていますね」
確かに(笑)。高校は単身ニュージーランドへ。
「2011年にニュージーランドで開催されたラグビーワールドカップを父と見に行ったんです。ニュージーランドにはあちこちにラグビー場があって、しかも芝生のグラウンドで。こんな世界があるんだと驚きました。それから、中学生の時に神奈川県選抜で優勝を経験して、もっと自分を磨きたくなって。もちろん関東学院六浦高校に行くという選択肢もあったんですが、より高みを目指したいと思い、ニュージーランドへ高校留学することに決めました」
ニュージーランドではラグビー漬けの毎日だったと?
「ニュージーランドは1年中、ラグビーをする訳ではないんです。冬はラグビーをして、夏はクリケットなど他の競技をするという感じで。そういう環境なので、意識的に毎日、ラグビーに取り組むようにしていました」
以前、イーリ選手がニュージーランドのラグビー部は人数が多いと言っていました。
「多いですね。生徒全員がラグビーをやるので、学校の生徒数イコール、ラグビー部の人数といった感じですね」
そんな中、高校3年で1軍のメンバー入りを果たした。
「そうです。高校3年の時に、ファーストフィフティーンに入りました。能力の高い人たちばかりの中で鍛えられました」
どういうところが鍛えられたと。
「まずフィジカル。高校入学当時は痩せていて、これじゃまずいと思い、ウエイトトレーニングをはじめました。やらなきゃ、壊されてしまいますから(笑)。体重は3年間で20、30kg増えました。あと、チーム自体に決まりごとがあまりなかったので、自分自身で状況を判断してプレーしなくてはいけない。そういう状況判断も鍛えられました」
ラグビー選手としての最終目標はW杯出場
今年3月にはフィジーで開催された「ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ2018」で、ジュニア・ジャパンのメンバー入りを果たしましたね。
「メンバー入りしたことは素直に嬉しかったのですが、1試合も出られなくて、悔しい思いもしました。ジュニア・ジャパンのメンバーは、1つ1つの動きが早かったり、スキルの精度が高かったりして、勉強になりました。この悔しさをバネにして、自分の成長につなげていこうと思います」
今後、どういう選手になりたいと思っていますか?
「センターはスタンドオフのように試合をコントロールする場面も多いので、ラグビー理解力も高くないといけません。そういう部分を身に付けていきたいなって。目指すところは、コンラッド・スミスやライアン・クロッティといったスマートなセンター。特にオールブラックスのセンターとして最多キャップを誇るコンラッド・スミスに昔から憧れているので、コンラッド・スミスのような選手を目指しています」
プレーの持ち味を教えてください。
「現時点では、フィジカルですね。でもトップリーグという舞台では、外国人選手がトイメンに来ることが多くなると思います。そうなるとフィジカルだけでは勝てないので、知識やスキルを身に付けていきたいです」
今シーズン加入するダン・カーター選手にはどういうことを教えてもらいたいですか?
「スタンドオフにもチャレンジしたいという思いがあるので、プレー全般について聞きたいと思います。とにかくダン・カーターの加入が楽しみで仕方がない。ダン・カーターは高校の先輩ですし、いろいろ話が聞きたいなって。実はクライストチャーチボーイズハイスクールには100年以上続く、ライバル校との交流戦があるんですが、僕らの代で、16年ぶりくらいに負けてしまったんです。その時に16年前に負けたのは誰の時なのかを調べたら、ダン・カーターが出場した代だったんですよ。縁があるのかなと思いました」
ダン・カーターが高校の先輩というのはすごいですよね。ところで、日下選手と同じく高校卒業後、すぐにパナソニックワイルドナイツに加入した福井翔大選手のことは意識しますか?
「どこかで意識しているとは思います。彼とは、U20日本代表合宿やジュニア・ジャパンでも一緒でした。パナソニックと対戦した時に、一緒に試合に出たいですね」
その場面、見たいですね!楽しみにしています。ずばり今シーズンの目標とラグビー選手としての最終目標を教えてください。
「今シーズンの目標は試合に出場して、優勝に貢献することです。ラグビー選手としての最終目標は、ワールドカップ出場。日本代表を目指して頑張ります」
では最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
「コベルコスティーラーズでプレーするというチャンスを与えていただき、その期待に応えたいという思いは強いです。開幕戦から試合に出られるように頑張りますので、応援よろしくお願いします!」