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KOBELCO

close-up KOBE -Long interview-

ロングインタビュー

退部選手インタビュー Part.3

 取材日:2019年2月7日

退部選手インタビュー Part.3

「多くの方々に助けられ支えられた12年間でした。これからもラグビーに携わり恩返ししていきたい」

今村雄太

YUTA IMAMURA

PROFILE
  • 1984年5月18日生まれ、三重県四日市市出身
  • 四日市農芸高校→早稲田大学→神戸製鋼コベルコスティーラーズ(2007年入部/12年間在籍)
  • ポジション/CTB
  • 2018-2019シーズンまでの公式戦出場回数/124
今の心境をお聞かせください。

「1年目は社員として働きながら、2年目からはプロとしてプレーしてきました。社員といっても、1年目は日本代表に選ばれていたので、ほとんど仕事はしていないのですが、プロになってからも当時の上司の方が応援してくれて、ありがたく感じていました。会社の方、チームのみんな、多くの方々に助けられ、支えられた12年間でした。コベルコスティーラーズでプレーして良かったと心から思いますね」

改めて今村選手がコベルコスティーラーズに入った理由を教えてください。

「コベルコスティーラーズには大学の先輩もいましたし、日本代表で活躍している選手もいて、いい選手がそろっているというイメージでした。そういうチームで自分をさらに成長させて、日本一に貢献したいと思い入部しました」

日本一を勝ち取るまで長い時間がかかりました。

「そうですね。才能ある選手がたくさんいたので、若い時はすぐに優勝できるだろうと思っていたのですが、なかなか勝つことができなくて...。(林)慶鎬さんやマツさん(松原裕司)といった2003-2004シーズンのトップリーグ優勝を知っている選手がチームを去っていき、自分たちがベテランと呼ばれる年齢になってからは、どうしたら勝てるんだろうと随分悩みましたね。あと、2016年2月頃に、平尾(誠二)さんと最後に会った時、『俺のいる間に優勝してくれ』と言われました。とても痩せていらっしゃったんですが、病気のことを知らなかったので、反応に困ってしまって...。でも、『わかりました』と答えました。そういうこともあったので、優勝への思いはますます強くなっていきました」

そして、今シーズン、ようやく優勝することができました。

「みんな、優勝したいと思っていたのですが、これまでは自信がなかったように思います。だけど、今シーズンは、自分たちのやることが明確になり、それを信じて、試合を重ねていくたびに自信を深めていくことができました。また、ウェイン(・スミス)から、自分たちは何を目標にしているのか、誰のためにラグビーをしているのかを常に意識させられ、試合に出ているメンバーもそうでないメンバーも同じ方向を向くことができていました。それが日本一になれた大きな要因だと思います。ただ、優勝の瞬間は、嬉しかったのですが、ジャージを着てグラウンドで味わいたかったなと少し複雑な気持ちでした」

入部1年目からレギュラーとして活躍されてきましたが、今シーズンは2試合のみの出場となりました。2017-2018シーズン第4節vsNECグリーンロケッツ戦での右膝靭帯断裂の影響があったのでしょうか。

「これまでも肩を脱臼したり、足首を怪我したりしたことはあったのですが、膝の手術は初めてのことでしたし、復帰するまでに1年ほどかかりました。グラウンドに戻ってからも痛みがなかなか取れなくて、ステップや走りの感覚も戻らない。トレーナーに治療をしてもらいながら、全体練習がない日に、感覚を取り戻すようなメニューを組んでもらい、ようやく第2節代替vs宗像サニックス戦で1年ぶりに試合に出ることができました。けど、その試合で肉離れを起こしてしまって...。せっかく復帰できたのに、残念に思いました」

怪我を乗り越えて得たものとは?

「怪我なくプレーできることが一番なのですが、いろんな方々にサポートしていただき、ようやく復帰することができました。これまで以上に、今シーズンは、感謝の気持ちを持ちながらプレーすることができていたと思います」

コベルコスティーラーズで「さらに成長したい」という思いで入部したと話していただきましたが、プレー面でもっとも影響を受けた選手を教えてください。

「多くの素晴らしい選手と一緒にプレーしてきましたが、僕が一番影響を受けたのは、モシ(ジャック・フーリー)です。モシが入ってくるまで、僕は13番でプレーしていたので、世界No.1のアウトサイドセンターが加入すると知った時は、これから試合に出られるのだろうかと危機感を感じました。結果的に、モシの加入で、僕はウイングをすることになり、世界トップレベルの選手の隣でプレーしたことで、多くのことを学ぶことができました。特にコミュニケーションの部分で得るものが多かったです。僕の課題のひとつに、周りとのコミュニケーションという点があったので、練習中や試合中に、モシが周りに声をかけているところを見て、僕も真似をしようと努力しました。もちろん、センターで出場したい気持ちはありましたが、モシの隣でプレーできた5年間は、成長できた時間だったと思います。また、センターだけでなく、ウイングでもプレーできるようになったこともプラスになりました」

今村選手というと、2009-2010シーズン、神戸総合ユニバー記念競技場で行われた第5節vsNECグリーンロケッツ戦での逆転の80m独走トライが印象的なのですが、ご自身の中でもっとも印象に残る試合は、どのゲームになるのでしょうか?

「逆転のNEC戦も印象に残っていますが、デビュー戦(2007-2008シーズン第1節vsNECグリーンロケッツ戦)もよく覚えています。あと、2012-2013シーズンの日本選手権大会準決勝vs東芝戦も。あの試合は、正面(健司)さん、大橋(由和)、僕のバックスリー全員がトライをマークしたんです。ほかにも、今シーズンのトップリーグのリーグ戦100試合出場を達成した第2節代替vs宗像サニックス戦に、コベルコスティーラーズのジャージを着て出場する最後のゲームとなったカップ戦順位決定トーナメント2回戦vsNTTコム戦も印象深いです。みんなが、僕にトライをさせようとボールを集めてくれて、その気持ちが嬉しかった。どれもこれも印象に残っていて、1つに絞りきれないですね」

今後について教えていただけますか?

「選手として続けていきたい、まだチャレンジしたいという気持ちがあります。もしそれが叶わなくても、どんな形であれラグビーに携わっていきたいですね。ラグビーに恩返ししたいと思います」

では最後にファンの皆様方へメッセージをお願いします。

「怪我をしている時、早くプレーしているところが見たい、走っているところが見たいと声をかけていただき、その言葉が励みになっていました。また、先日のファン感謝パーティーでも、多くの方々に『寂しい』と言っていただき、ファンの皆様にも支えられていたことを改めて実感できました。これからも、チームと選手のことを支えていただきますよう、よろしくお願いします。12年間、ありがとうございました!」

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