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ロングインタビュー

「ジャパンラグビートップリーグ2021」総括 part.1 デーブ・ディロンヘッドコーチ

 取材日:2021年5月14日

「ジャパンラグビートップリーグ2021」総括 part.1 デーブ・ディロンヘッドコーチ

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも、2月20日に開幕を迎えた「ジャパンラグビートップリーグ2021」。2年越しの連覇を目指して、神戸製鋼コベルコスティーラーズは最後のトップリーグに臨んだが、プレーオフトーナメント準々決勝で敗れて、ベスト8敗退という結果に終わった。チームを指揮したデーブ・ディロンヘッドコーチに「ジャパンラグビートップリーグ2021」の戦いを振り返ってもらった。

デーブ・ディロン ヘッドコーチ

DAVE DILLON

勝ち続けることの難しさを知った今シーズン 敗戦で得た学びを新リーグでの戦いにいかす

2018−2019シーズンからヘッドコーチを務められ、トップリーグでは負けなしでしたが、「ジャパンラグビートップリーグ2021プレーオフトーナメント」準々決勝vsクボタスピアーズで敗れ、初黒星を喫しました。

「2018−2019シーズンからリーグ戦では一度も敗れることなく勝利を重ねることができたことは素晴らしいことですし、選手を誇りに思います。その記録が途絶えたことは非常に残念です。負けるということは、正直、良い気分ではありません。まだあの敗戦から立ち直ってはいないですが、ここから得た学びをいかして、さらなる高みを目指さないといけません。今はどうして自分たちが敗れたのかを話し合っているところです。その理由を理解した上で、どこを修正して、どういうプランニングで来シーズンに臨むのかを考えていきます」

現時点で優勝を逃した要因はどこにあると思いますか?

「チャンスを作ることはできていたのですが、仕留めきれないという場面が多々ありました。各チーム、分析能力が上がっている中でうまく対応できなかったということもあります。また、アタック、ディフェンスともにミスの数が多かったですし、それまでできていた基本スキルの面でもできていないところがありました。今シーズンの結果を踏まえて、厳しくレビューし、修正していきたいと思います」

1月上旬、新型コロナウイルスの陽性者が出て、チームは活動停止を余儀なくされました。チーム作りにおいて影響はあったのでしょうか?

「チームビルディングの面で難しさはありました。しかし、他のチームも同じですから、言い訳にはできません」

レガシー活動はできたのでしょうか?

「工場を訪問するなどはできなかったのですが、OBの方々がクラブハウスを訪れてくれたり、加古川製鉄所をはじめ、各地の工場で働く従業員の方々がビデオメッセージを送ってくれたりして、コロナ禍でも会社や社員の皆様、OBとのつながりを継続することができました。これらの素晴らしい活動を通じて、大きな力をもらいました。社員の皆様、OBの方々には感謝しています。だからこそ、結果を出して、皆様に良い報告をしたかったのですが、それができずに終わり非常に残念です」

今シーズンの収穫は?

「勝ち続けることの難しさを学んだことが一番の収穫です。オンフィールド、オフフィールドで何をしなくてはいけないのかを見直す良い機会をもらいました。次にチームが始動する時には、全員がすべきことを理解しているようにしたいと思います」

髙尾選手や松岡選手といった1年目、2年目の若手が試合に出たことも収穫だと思うのですが。

「髙尾、松岡のほかにも、李がトップリーグの舞台に立ちました。また、今村は1年目に続き、今シーズンも試合に出ました。彼らが出場した理由は、明確です。練習から試合に出るに値するパフォーマンスや姿勢を見せてくれたからです。もちろん、出場機会がなかった選手も良いプレーをし続けてくれていました。メンバーだけでなく、バックボーンの努力は、必ずチームの将来につながります」

今後のスケジュールを教えてください。

「少しリフレッシュする期間を設けた後、選手はS&Cコーチから提供されたプログラムを行うことになります。選手、コーチ陣は、日本・ニュージーランド・韓国・南アフリカなどと各国に散らばっていますので、昨年と同じくオンラインを中心に情報を共有しながら、フィットネス、フィジカルの強化に努めます。その後、全員がグラウンドに集合し練習を再開する予定です」

声を出して応援することや応援フラッグの配布が禁止されるなど、さまざまな制約がある中で、今シーズンも多くのファンの方々が熱い声援を送ってくれました。そんなファンの皆様にメッセージをお願いします。

「コロナ禍で大変な中で応援していただきありがとうございました。どんな時でもあたたかいサポートをしてくれる皆様のためにも、最後のトップリーグで優勝を成し遂げたかったという思いがあります。来シーズンは、ファンの皆様が誇りに感じられるようなエキサイティングなラグビーをして、新リーグのタイトルを獲得できるようチームの強化に務めます。引き続き、応援よろしくお願いします」

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